ASA DE LUZ

  ブラジルのプログレッシヴ・ロック・グループ「ASA DE LUZ」。87 年結成。作品は二枚。

 The Link
 No Image
Mauro Machado lead vocals
Salvador Neto keyboards
Ivan Correa bass
Guilherme Fontao acoustic & electric violin
Caue Robo guitars
Marcelo Braune drums

  98 年発表の第二作「The Link」。 内容は、ヴァイオリンをフィーチュアした清涼でメロディアスなネオ・プログレ系シンフォニック・ロック。 溌剌とし、オプティミズムあふれる爽やかな作風である。 演奏は、フュージョン風のクリアさを加味しつつも、奇数拍子のリフレイン、やたら泣きそぼるギター、クリアーなアコースティック・ピアノなど、典型的なポンプ・スタイルである。 しかしながら、キメのメロディのセンスがかなりいい。 タイトル曲や 5 曲目のサビのように、聴き終わった後で口ずさめるテーマが確実にある。 インストゥルメンタルにおいても、フレーズに人懐こさと暖かみがある。 それでいて、マッタリしているだけではなく、決めどころでは、超絶的な速弾きやたたみかけるようなプレイで盛り上げてくる。 ギターやシンセサイザーとヴァイオリンが刺激しあって感極まり、切なく狂おしく歌い上げるさまは、プログレ慣れして多少ひねた耳にも感動的に聴こえるはずだ。 また、バラードでも清々しく品があり、べったりしすぎないところがいい。 オーガニックで陽性のファンタジーという点では、英国ポンプの鬼才 SOLSTICE を思い浮かべるのも正解だろう。
   全体に、巧みなアレンジによる雰囲気作りもうまい。 情熱的でロマンティックなムードや胸のすくように雄大なスケール感や重厚厳粛な空気など、清潔感と純朴さを基本に的確に演出している。 エレクトリック・キーボードによるサウンド・スケープの作り方のうまさの寄与は大きいだろう。 6 曲目では、アコースティック・ピアノの爪弾きとオペラばりの混声唱で、クラシカルにしてエレガンスの極みのような表現を見せている。 ただのネオ・プログレ・グループに、この表現力の幅、多彩さはあり得ない。 8 曲目では、曲名もともかく、SAGRADO そのもののような演奏を繰り広げる。 違いは少し主張がうるさいギターくらいだろう。
   リード・ヴォーカリストの英語の訛りやいきみ返るハードロック寄りの歌唱スタイルは、メキシコの CAST に近いイメージである。 クラシック+ネオプログレという観点でも共通性を感じるだろう。 たおやかなバラードでは、ヴァイオリンが追いかけて、SAGRADO そのもののような、気高くも爽快でヒューマンな高まりが生まれる。 ただし、ヴォーカルは英語よりも原語で歌う方がいい。 最終二曲の表現がしっかりして聴こえるのも、原語で歌っているためだろう。 一部で参加のオペラ風の女性ヴォーカルは、SAGRADO からのサポートらしい。
   SAGRADO からニューエイジ風味を減らして、ややネオ・プログレ寄りにしたような佳作です。 プロデュースはベーシストのイヴァン・コリア。

  「Deep」(5:06)
  「The Link」(6:17)
  「Child Dream」(3:23)
  「The Distance」(3:35)
  「All For One」(4:00)
  「Memories Of A Great Love」(6:22)
  「Tales Of Tomorrow」(4:30)
  「Todo Sagrado」(6:51)
  「Canção Perdida」(6:09)
  「Dual」(5:13)
  「The Link (short version)」(2:37)
  
(PRW 046)


  close