BACK DOOR

  イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「BACK DOOR」。 71 年結成。作品は、四枚。2003 年には再結成作発表。ギターレス、キーボードレスの特異な編成によるフリーキーなジャズロック。

 Back Door
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Colin Hodkinson Fender bass
Ron Aspery alto & soprano sax, flute
Tony Hicks drums

  72 年発表のアルバム「Back Door」。 内容は、サックスをフィーチュアしたブルーズ・フィーリングあふれるジャズロック。 端的にいって、オルガンのない TRAFFIC である。 特筆すべきは、サックス以上どころかギター以上に饒舌かつパワフルなベースのプレイだ。(実際コリン・ホジキンソンは「ベースのジミヘン」という異名を取るらしい) 通常のベース・ラインを遥かに超え、二声のアルペジオからコード弾き、クラシック・ギター張りの独奏までとにかく弾き捲くる。 もちろんリズムをキープし、躍動感の源泉となるベース・ラインもみごとにこなしている。 そして、饒舌であまりジャズっぽくないサックスとの絡みも個性的過ぎるほど個性的である。 ユニゾンもソロも、とにかくうるさい。 この忙しないけたたましさとサックスのブローの肉感的でどこか鈍さのあるタッチが生む、力ずくで垢抜けないところが特徴である。 そして、その中に突如浮かび上がる繊細で哀愁のある面差しがいい。 フルートを用いたリリカルな作品もある。 全体に楽曲は短めであり、ストーリーよりもアンサンブルとソロによる演奏の一瞬の沸騰を活写するのが主眼となっている。 その意味ではジャズのアルバムに近い。 全曲インストゥルメンタル。 本作は自主制作で録音されたが、その内容のよさから WARNER が翌 73 年に再リリースしたそうだ。 ここのジャケット写真はその再リリース盤のもの。

  「Vienna Breakdown」(2:24)
  「Plantagenet」(1:42)
  「Lieutenant Loose」(2:43)
  「Askin' The Way」(3:01)
  「Turning Point」(2:17)
  「Slivadiv」(3:48)
  「Jive Grind」(2:53)
  「Human Bed」(2:29)
  「Catcote」(1:59)
  「Waltz For A Wollum」(2:24)
  「Folksong」(3:06)
  「Back Door」(2:49)
  
(K 46231 / 936 247 759-2)

 8th Street Nites
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Colin Hodkinson Fender bass, vocals
Ron Aspery alto & soprano sax, flute, electric piano
Tony Hicks drums
guest
Felix Pappalardi electric piano, tambourine, percussion

  73 年発表のアルバム「8th Street Nites」。 内容は、ブルージーなジャズロック+ジャジーなブルーズ・ロック。 演奏技量は前作のハイレベルさのままに、それを楽曲の構成要素として駆使できている作品となった。 表現技法のまとまりをアピールするかのように、今回は 1 曲目から悪声ヴォーカル入りのブルーズ・ロック(カヴァー)である。 ベースは前作ほどの目立ち方はしないものの、それでも鮮やかなフレージングをさりげなく決めてくる。 そして、いざ 6 曲目のようなソロとなれば、遠慮なく前面に飛び出す。 また、フルートを中心にしたラウンジ風の演奏やエレクトリック・ピアノによるバッキングが新鮮だ。 自由闊達な演奏の迫力、スリルは前作、メロディ・ラインや楽曲としての展開の妙味は本作だろう。 また、ニューヨーク録音のせいかどうかは分からないが、アメリカン・ロック的なカントリー、ブルーズ・フレイヴァーがある。 ブルーズのカヴァーによってアルバムとしての安定感は確保できているが、飛び道具的な演奏力を前面に出した前作と比べると個性がやや薄くなったのではないだろうか。 エキサイティングな 12 曲目を耳にするとそういう思いも浮かぶ。 プロデュースはフェリックス・パパラルディ。

  「Linin' Track」(4:01)ハディ・レッドベターのカヴァー。
  「Forget Me Daisy」(2:15)
  「His Old Boots (Sein Alter Stiefel)」(3:24)
  「Blue Country Blues」(2:47)
  「Dancin' In The Van」(1:52)
  「32-20 Blues」(2:26)ロバート・ジョンソンのカヴァー。
  「Roberta」(2:51)ハディ・レッドベターのカヴァー。
  「It's Nice When It's Up」(2:55)
  「One Day You're Down, The Next Day Your Down」(3:35)
  「Walkin' Blues」(3:15)ロバート・ジョンソンのカヴァー。
  「The Bed Creaks Louder」(2:21)
  「Adolphus Beal」(3:54)
  
(K46265 / 936 247 761-2)


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