CORTEX

  フランスのジャズロック・グループ「CORTEX」。 ジャズ・ミュージシャン、アラン・ミオンにより 74 年結成。作品は三枚。 グルーヴィでノーブルなエレクトリック・ジャズロック。

 Troupeau Bleu
 
Alain Mion keyboards, vocals
Alain Gandolfi drums, vocals
Jean Grevet bass
Alain Labib alto sax
Jo Pucheu percussion
Mireille Dalbray vocals
Jean Claude "Le Boeuf" D'Agostini guitar

  75 年発表のアルバム「Troupeau Bleu」。 内容は、Herbie HancockHEAD HUNTERS とブラジリアン・フレイヴァーを等量バランスさせたスペイシーかつメローなジャズロック。 エレクトリック・ピアノ、アナログ・シンセサイザーとソプラノ・ヴォイスをフィーチュアし、ソウルフルでライトなファンク調とラテンな開放感がブレンドされた上にジャズらしい緻密な和声とリズムもある上質の音楽である。 ソフトでボサ・ノヴァ的なニュアンスの強い表現が多いのに「ジャズロック」と銘打てるのはテクニカルにして堅実なリズム・セクションのおかげである。 リズムを強く感じさせながら躍動するフレーズを放つベーシスト、刻むのも大きいノリで仕切るのも自在なドラマー、この二人は本当に凄腕であり、このリズム・セクションが本作品のグルーヴを支えている。 モダン・ジャズのブルージーなニュアンスはアルト・サックスとピアノ(リーダー格のキーボーディストはモダン・ジャズのベテラン)が要所で決めてくる。 ただし、キーボードは信号のようにアブストラクトな反復パターンなど、近現代音楽風の表現も取り入れている。 一方、ギターの割合が極めて少ないので、ロックのストレートなノリは希薄。 全体に黒っぽい熱気と南欧風の透明感とプログレな宇宙感覚が矛盾なく成立している。 マルク・モウリンの PLACEBO と並ぶユーロ・ファンクの佳作ともいえる。 タイトル曲は、スリリングかつメローな開放感もある傑作。 女声スキャットも全編フィーチュアされるので、NORTHETTES に魅せられた英国ロック・ファンにもお薦め。 ヴォーカルはフランス語。

  「La Rue」(4:23)
  「Automne (Colchiques)」(2:35)
  「L'Enfant Samba」(3:00)
  「Troupeau Bleu」(5:00)
  「Prelude A "60 Round"」(3:52)
  「Go Round」(1:20)

  「Chanson D'Un Jour D'Hiver」(5:20)カンタベリーに寄せた傑作。
  「Mary Et Jeff」(2:40)メロトロン・ストリングスか。
  「Huit Octobre 1971」(4:22)RETURN TO FOREVER 直系のスペース・ジャズロック。
  「Sabbat (1ère Partie)」(1:00)
  「Sabbat (2ère Partie)」(3:15)
  「Sabbat (3ère Partie)」(0:26)
  「Madbass」(2:50)
  
(ESP 155524 / DARE DARE DDCD0005)

 Vol. 2
 
Alain Mion Fender Rhodes, Clavinett, Mini Moog, Hommand organ, piano, chorus
Alain Gandolfi drums, percussion
Nicolas Mirkov bass, chorus, soprano & tenor sax, guitar
Philippe Vautrin guitar
François De Bricon soprano sax
Alice Pr&eacoute;vost vocals
Pascale Richard vocals

  77 年発表のアルバム「Vol. 2」。 内容は、ファンキーなノリと開放感のあるジャズロック、フュージョン。 リード、リズムともにエレクトリック・ギターの存在感が強まり、ディスコ調、ソウルっぽいグルーヴも押し出されている。 エレクトリック・ピアノは、より直情的になり、能天気なまでにオプティミスティックなテーマから、メロウなナイト・ミュージック風の艶っぽさまでもを演出し、シンセサイザーは凝ったベース・ラインとともにプログレの片鱗、残り香というべき宇宙語の口説き文句を能弁に放つ。 ドラムスは、スリリングなアップ・テンポのドラミングで演奏をしっかり引き締め、パターンもさりげなく多彩。 全体に技巧のキレは申し分なし。 前作以上に、エレクトリックな Harbie Hancock 的世界へと向かっているといえる。 一方、ブラジリアン・テイストは希薄となり(コパカバーナから江ノ島海岸に移ってきた感じ?)、カンタベリーっぽい現代音楽調もさほどではなくなり、街場のダンス向け、リラックスしたフュージョン(個人的にはナベサダの「California Shower」や「Stuff」辺りが基準である)といってもさほど的外れではない内容となった。 前作が売れず苦労したかどうかは知らないが、それは別にしても、雲外蒼天という言葉の似合う音楽である。 ノン・クレジットのフルートも活躍。

  「Devil's Dance」(2:28)
  「Funk Around The Punk」(3:20)
  「Hurluberlu」(5:17)ギター、ドラムスが主役のテクニカル・チューン。カッコよくてノリもいい。
  「Soul」(2:55)
  「Datura」(2:29)
  「Poxa」(3:16)
  「Régina」(3:36)
  「Mister J.」(5:06)
  「Efficace Swing」(2:58)
  「Oh! Lord」(6:21)
  
(ESP 165501 / FM114CD)


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