LIQUID TENSION EXPERIMENT

  アメリカのプログレッシヴ・ロック・ユニット「LIQUID TENSION EXPERIMENT」。98 年結成。 作品は別名義含め四枚。2021 年第五作「LTE3」発表。DREAM THEATER のインスト版。

 Liquid Tension Experiment
 no image
Michael Portnoy drums
John Petrucci guitars
Tony Levin bass, stick
Jordan Rudess keyboards

  98 年発表のアルバム「Liquid Tension Experiment」。 内容はインストゥルメンタル・オンリーのハイパー・テクニカルなプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル。 ヘヴィメタルの語法を基本にクラシカル、シンフォニック、アヴァンギャルドといったプログレのクリシェを盛り込み、さまざまな音楽のカットアップをまぶした、はち切れんばかりに奔放な高密度ミュージックである。 しかし、徹底して音数多くアグレッシヴながら、根っこにはエモーショナルでリリカルなストーリー重視の楽曲志向あり。 超絶的な技巧を駆使しつつも単なるアブストラクトなテクニックの応酬にとどまらない。 ドラマティックな展開から軽妙なユーモアを交えたリラックスした展開まで語り口は巧妙で明快である。 エキゾティックなアクセントも適宜利かしている。(その辺りはトニー・レヴィンの属したユニット BOZZIO LEVIN STEVENS と共通する) つまり楽想も表現もきわめて豊かなのだ。 ロック・バンドでアンサンブルを極めるとクラシックの室内楽に近くなるということのようだ。 タテノリのスピーディな展開よりもブルージーで腰のすわったグルーヴが主なところも個人的には気に入っている。 この時代のテクニカルなミュージシャンらしく素養の幅が広い。 ファンク、ヒップホップ、フュージョン、アフロ、ラテン、カリプソといったテイスト、ノリもばっちりと織り込み済み。 また、本家 DREAM THEATER 同様に HM サウンドの奔流の中に KING CRIMSONYES、そして KANSAS が浮かび上がる。 (ポートノイ、ルーデスのプログレ好きが露になる)
   プロデュースはグループ。

  「Paradigm Shift」(8:54)冒頭のぶっ飛び方もさることながら中盤からのグルーヴがすばらしい。U.K. も見える。大見えの切り方は、音こそまったく違うが、昔の GENESIS のよう。
  「Osmosis」(3:26)80'KING CRIMSON 的なエスノ・チューン。ブリューのヴォーカルが入りそう。
  「Kindred Spirits」(6:29)シンフォニックでアメリカン・ロックらしいポジティヴなヴァイヴレーションのある作品。キャンプファイヤーで肩を組んで歌いそう。
  「The Stretch」(2:00)ヒップホップ小品。
  「Freedom Of Speech」(9:19)泣きのバラードがクールで硬派なロックへ変貌する。終盤のハモンド・オルガンがカッコいい。男の成長を描くような曲調だ。
  「Chris And Kevin's Excellent Adventure」(2:21)ドラムンベース?
  「State Of Grace」(5:01)ピアノ、ギターによる美しく高雅なるバラード。
  「Universal Mind」(7:53)カラッとハイテンションなアメリカン・メタルのハイテク・パロディ。
  「Three Minute Warning」(28:31)サイケデリックでグラマラスでケイオティックなヘヴィ・ミュージック。演じてて楽しそう。ヘヴィメタ・チンドン屋的なニュアンスもあり。
    「Part 1」(8:20)
    「Part 2」(4:02)
    「Part 3」(5:18)
    「Part 4」(4:20)
    「Part 5」(6:31)
  
(MA-9023-2)

 Liquid Tension Experiment 2
 no image
Michael Portnoy drums, percussion
John Petrucci guitars
Tony Levin bass, stick
Jordan Rudess keyboards

  99 年発表のアルバム「Liquid Tension Experiment 2」。 内容は再びインスト・オンリーのテクニカルなプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル。 前作と同様な目まぐるしく多彩な作風をキープしつつヘヴィな音にはよりエッジを効かせて演出の彫りを深くしている。 ロックな性急さもアップし、込み入ったアンサンブルのまま無理やり突っ走るところに往年のプログレ(EL&P か?)と同じカタルシスあり。 ファンファーレ風のバロック・トランペットのようなシンセサイザーやソロ・ピアノなどルーデス氏のキーボード・プレイは「非常に分かりやすい」縦横無尽の活躍を見せる。(後のギター不在のトリオでの芸風の原型を感じる) 中東風のエキゾチズムはこの頃のマグナ・カルタ・レーベルのアーティストの作品にもよくみられる。(元はジョン・ロードか?) キレのいいリフでぐいぐいと押して筋金入りのハードロック魂を見せつけたり、唖然とするような長尺変拍子ユニゾンを火炎放射のように放ったり、ハードロックの博覧会のようだ。 そんな電撃雷撃が迸る修羅場で、手風琴とアコースティック・ギターによるアラビックで魔術的なブリッジやファンタジックなソロ・ピアノが光る。 ミニマルに抑制した展開ではサイケデリックでドラッギーな酩酊感も強まる。 これだけいろいろと盛り込まれて面白ければ、ヘビメタギターのザクザクなパワーコードを我慢する甲斐もある。 ジャケのポートノイ氏が若くてイケメン。

  「Acid Rain」(6:35)
  「Biaxident」(7:40)
  「914」(4:01)
  「Another Dimension」(9:50)
  「When The Water Breaks」(16:58)
  「Chewbacca」(13:35)
  「Liquid Dreams」(10:48)
  「Hourglass」(4:26)
  
(MAX-9035-2)


  close