NORTH STAR

  アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「NORTH STAR」。 76 年結成。 82 年 EP デビュー。 2004 年新譜「Extremes」発表。作品は六枚。

 Triskelion
 
Glen Leonard drums, keyboard solo on 11
Kevin Leonard keyboards, acoustic guitar on 3, bass on 8, 12
Joe Newman bass, vocals
Dave Johnson guitar on 1,4,7,10, bass on 13

  93 年発表のアルバム「Triskelion」。 82 年のデビュー EP と 84 年の第一作をカップリングした再発 CD。
  内容は、ハモンド・オルガン、ムーグ・シンセサイザーなどキーボードを多用した中期 GENESIS とアメプロ・ハードのハイブリッドのような(つまり STYX 辺りに近い)シンフォニック・ロック。 ややチープなサウンドながらも演奏はスピーディで小気味よく、キャッチーな歌メロを中心にすえたアクセスしやすい作風である。 弾けるように溌剌とした、時として若干忙しなくなり過ぎるアンサンブルが特徴だろう。 また、張りのある音でスピーディに変拍子を叩きだすドラマー、アタック強く刻み込む重いベーシスト、表情にデフォルメを効かすポンプ・ロック風のヴォーリストらが GENESIS の影響下にある一方で、キーボードはトニー・バンクスとリック・ウェイクマンの中間くらいの演奏からキース・エマーソン風の無茶弾きまで幅広いプログレ・スキルを発揮する。 弾き倒しソロから堅実なバッキングまでをクラシカルなセンスを感じさせるプレイである。 特に伴奏、変拍子オブリガート、間奏など、ヴォーカルを取り巻くプレイがいいようだ。 残念なのはシンセサイザーの音に厚みがないことと録音全体に奥行きがないこと、そして一本調子の繰り返しが多いこと。
   楽曲はヴォーカルを主体としたコンパクトなものが中心である。 これは、80 年代という時代の要請というよりは、エッセンスを凝縮できるセンスのよさと取るべきだろう。 ギターは数曲に入るのみながら、サスティンの効いたメロディアスなプレイを主体にしっかり見せ場を作っている。 構成要素としては明らかに GENESIS フォロワーのメロディアス・ロックだが、一本調子のけたたましさとあっけらかんとした明るさ、他ジャンルへ横断する雑食性の逞しさなど、アメリカン・ロックらしさも目立つ。 歌にもダンサブルな勢いのよさを求めているような節があり、伴奏とヴォーカルがユニゾンで走り回ることも多い。 いわゆるプログレ的な、クラシカルな対位アンサンブルもあるが、それを気づかせないほどテンション高くエネルギッシュである。 つまり、知力勝負の前にまず体力勝負がある、という信条を地で行ったスタイルなのだ。
   また、時期的に MARILLION のデビューと本作の発表が前後しているだけに、実際どれほど英国ポンプから影響があったのかは興味深いところである。(ポンプ勢のうち最も似ているのは CITIZEN CAIN である) もっとシンプルな音ならば製作次第で ASIA 同様売れ線に乗ったかもしれないが、テクニカルで密度が高い分だけ損をしたのだろう。
   忙しなさはともかく、パワフルな弾き倒しのおかげでポンプ・ロックよりも爆発力を感じさせるシンフォニック・ロックの佳作。 インディ系としてはなかなかの出来だろう。 これで、アコースティック・ギターで静々と歌う場面でもあるとさらに深みが増すような気がするが、それをあえてしないのがアメリカン・プログレなのだろう。 再発 CD はジャケ違い。

  「Effective Elective」(6:17)キャッチーにしてシンフォニックな力作。EP より。 メロディアスにしてハイテンションなポンプ・ロック。
  「Another Road Of One」(4:47)
  「Bullfight」(5:55)
  「Time Traveller」(4:05)
  「Ancient Kings」(3:07)
  「Fox Scoff」(4:42)
  「The Stick」(4:36)なかなか変わった作品。終盤にギターの見せ場。 しかし途中で切れるような奇妙な終わり。EP より。
  「USA」(3:56)
  「Herman Muenster」(3:18)
  「Serving No One」(4:23)
  「Revelations」(5:16)初めて懐の深い叙情性を垣間見せる佳作。
  「Seventh Day」(4:34)
  「Robot Reaction」(5:02)チープな白玉シンセサイザーに困るが、ヴォーカルを聴いていると当時の GENESIS を思い出す。 やはりエンディングが無理やり。EP より。

(FGBG4076.AR)

 Feel The Cold
 
Glen Leonard drums, marimba, keyboard on 3, 6
Kevin Leonard keyboards, flute, acoustic guitar, bass on 7
Joe Newman vocals, bass, electric guitar

  85 年発表の第二作「Feel The Cold」。 トリオ編成での第二作は、概ね前作の路線である。 GENESIS の叙情路線にキース・エマーソン風の鍵盤捌きが加わったようなイメージも変わらない。 キーボードの存在感はさらに強まっている。 バンクス流の早弾きオスティナートは当然として、B 面にはハモンド・オルガン、アナログ・シンセサイザーが走り回る痛快なインストゥルメンタルもある。 一方、A 面 1 曲目で分かるとおり、ヴォーカルは完全にピーター・ゲイブリエル、すなわちポンプ・ロック・スタイル。 重みには欠けるが手数はやたらと多いドラミングと 7 拍子進行もモロである。 アメリカのグループらしく、「引き」なし(7 曲目は逆に引きっぱなし)の体力勝負型ハイ・テンションなので、デリケートなドラマ性は期待すべくもない。 しかし、演奏が安定しているので B 級ポンプ・ロックを聴くような苦痛はない。 メロディアスかつスピード感もある演奏は、イギリスの有名ネオ・プログレ・グループに十分匹敵する。 また、ヴォーカル・ナンバーでは、メロディ・ラインこそうわずり気味だが同時にポップな聴きやすさもあり、この点でも、エレ・ポップとプログレの中道で成功した 80 年代の GENESIS と同様のセンスを感じる。(たとえば、2 曲目のバラードならチャートインしても不思議はない) 80 年代中盤にしては、すべてが軽過ぎず薄っぺらくないという点でマシな方ではないだろうか。 もっとも、Mama-That's All-GENESIS があれだけポップになってもどこか翳りがあったのに対して、こちらはアメリカ人らしく格段に明るい。 ここの写真は BELL ANTIQUE の LP。 他にもジャケ違いで LP、CD あり。

  「Feel The Cold」(7:03)
  「Sands Of Time」(4:41)
  「Moving The Base」(5:30)
  「Plastic Fantasic」(7:36)
  「Time Warp」(4:30)
  「Tomorrow Never Comes」(8:58)
  「Ocean On Venus」(4:34)
  「Finale」(3:11)

(BELL ANTIQUE 8703)


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