PETRUS CASTRUS

  ポルトガルのプログレッシヴ・ロック・グループ「PETRUS CASTRUS」。 71 年結成、圧政下にて活動開始。74 年解散。76 年再結成。作品は二枚。

 Mestre
 No Image
Pedro Castro bass, acoustic guitar, vocals, chorus, kazoo
Jose Castro piano, xylophone, vocals,chorus
Rui Reis piano, organ, keyboards
Julio Pereira guitars, bass
Joao Seixas drums, percussion
Jose Mario xylophone on 6

  73 年発表の第一作「Mestre」。 内容は、オルガン、ピアノをフィーチュアした極上のアートロック。 若さゆえの理由なき憂鬱と熱狂が渦巻くプログレ以前の 60 年代末の英国ロックの混沌を引きずりつつ、大陸らしい(イタリアン・ロックと共通する)陽気でなおかつ幻想味ある牧歌調を交えて、安定した演奏力でタイトにまとめている。 演奏を支えているのはキーボード、特にピアノとリズム・セクションの高い技量。 シロホンやノンクレジットの木管楽器などもいいアクセントになっている。
   ヴォーカルはスペイン語。プロデュースはペドロ・カストロ。 2007 年発表の再発二枚組 CD では、CD 1 が本作を収録(ボーナス・トラック 2 曲)し、CD 2 には 2007 年の新録音が収録されている。
  
  「Mestre」(5:47)抒情的かつ重厚な名曲。
  「Pátria Amada」(4:02)
  「Porque」(2:21)
  「País Relativo」(4:49)
  「Macaco」(1:52)ヴォードヴィル風の小品。
  
  「S.A.R.L.」(3:24)
  「Pasárgada / Saudades Do Rio Antigo」(3:38)ピアノをフィーチュアしたバラード。佳曲。
  「Velho Avarento」(1:29)
  「Tiahuanaco」(5:58)タメの効いたサイケデリック・ロック。
  「História Do Azul Do Mar」(2:54)
  「Só Mais Nada」(0:47)弾き語りによるエピローグ。
  
   以下ボーナス・トラック。
  「Agente Altamente Secreto」シンセサイザーやエフェクトを多用したスペイシーなロックンロール。70 年代末風。というか ELO および CREATIONSHOGUN 路線。
  「Pouca Terra」スパニッシュ・フォークをジャジーにアレンジ。
  
(GUESS042 / CNM 202CD)

 Ascenção E Queda
 No Image
Pedro Castro vocals, guitars, bass
Jose Castro vocals, electric piano, arp odissey, vocals
Urbano Oliveira drums, percussion
guest:
Helena Aguas choirs
Rui Serrao bass on 4,5,6
Nuno Rodrigues vocals on 4

  78 年発表のアルバム「Ascenção E Queda」。 内容は、アコースティックで情熱的なシンフォニック・ロック。 全体にトータル・アルバムらしい濃密な演出が施されていてとにかくドラマティック。 力強いアコースティック・ピアノ、シンフォニー調のシンセサイザー、男臭さあふれる複数のリード・ヴォーカリスト、熱気あるヴォーカル・ハーモニー、幻想的な女性コーラスといった役者が描く劇的な展開が特徴的。 ピアノやギターの弾き語り風の歌ものを狂言回しにして適宜テクニカルでテンションの高いインストゥルメンタル・パートがぐいぐいと展開を引っ張ってゆく。 シンセサイザーによる管弦楽風のアレンジがいい。(パワフルなピアノもそうだがキース・エマーソンの影がちらつく) ドラマーも凄腕だ。 牧歌調の歌唱パートと対照的にソリッドで尖った演奏が非常にカッコいい。 歌唱は、モノローグだったり、ダイアローグだったりはたまたリスナーに向けて語りかけるような演劇調のスタイルを得意としている。 PINK FLOYD を思わせるアングラ芝居風の声色も使う。 効果が計算された緻密な展開に身を任せるリスニングは THE BEATLES の後期の作品に向き合うときと同じだ。 イタリアン・ロックの情感の濃さに英国ロックの反骨心、陰翳を交ぜ込んだスタイルといえるかもしれない。
   アコースティックな音をメインにしたプログレッシヴ・ロックの好アルバム。 プロデュースはヌーノ・ロドリゲス。 CD はボーナス・トラック 2 曲付き。
  
  「A Chegada」(7:03)
  「A Revolta」(5:04)
  「Ascenção」(6:00)
  
  「Declínio E Ruptura」(6:12)
  「Indecisão E Demência」(7:10)
  「Queda」(7:20)
  
  以下 CD ボーナストラック。74 年発表のシングル曲。
  「A Bananeira」(2:34)哀愁ある牧歌。
  「Seis E Meia Da Tarde」(4:50)洗練されたジャジーなロック。爆発的なピアノ・ソロがブリッジ。
  
(SLPDY 3004 / M2U-1002)


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