ニュージーランドのプログレッシヴ・ロック・グループ「AIRLORD」。 76 年結成。78 年解散。作品は一枚のみ。 ツイン・ヴォーカルの一方はピーター・ガブリエル似。
Steve MacKenzie | guitar, vocals |
Ray Simenauer | guitar, vocals |
Alan Blackburn | keyboards |
Rick Mercer | drums |
Brad Murray | bass, vocals |
77 年発表のアルバム「Clockwork Revenge」。
内容は、GENESIS フォロワー若干ハードロック寄り。
エキセントリックなヴォーカル・パフォーマンス(声質もガブリエル似)、迷路を駆け巡るような独特のせわしなさのあるアンサンブル、アコースティック・ギターなどによる耽美な叙情性の演出などは完全に GENESIS 影響下である。
ギタリストがたまに気が緩んで「普通のハードロック」調になってしまう以外は、完璧だと思う。
(そのギタリストも、通常は、アタックを弱めたレガートなハケット節を極めている)
二人いるヴォーカリストの「ガブリエル」でない方がリードを取る作品では、当然ながらヴォーカルの分だけ GENESIS 風味が後退するが、それ以外の部分、つまり喜怒哀楽が極端に変わるような表情付けの演奏や奇妙なフレーズ、屈折した(長い)インスト・パートなどはやはり GENESIS 風である。
コピーを目指しているのなら全曲「ガブリエル」ヴォーカリストに任せるだろうから、そうではないということは、単純なフォロワーではないのだろう。
つまり、元々センチメンタルながらもファンタジー風の凝った曲つくりが得意で、そこに憧れのバンドの風味がストレートに混じってしまっただけなのだろう。
オーバー・プロデュースでないため音はやや地味、しかし、ていねいに作りこまれた英国風のポップ・アルバムである。
「Clockwork Revenge」「Get'em Out By Friday」GENESIS 炸裂のエキセントリック・チューン。
「Pictures In A Puddle」
「Ladies Of The Night」
「Earthborn Pilgrim」
「Out Of The Woods」
「Is It Such A Dream」ハケット風の叙情的なギターがフィーチュアされる。
「You Might Even Be」「I Know What I Like」風のポップな GENESIS チューン。
(INFINITY L 36286)