AMAROK

  スペインのプログレッシヴ・ロック・グループ「AMAROK」。 90 年結成。2008 年解散。2015 年再結成。作品は十枚。エキゾティックで開放的なフォーク系プログレ。

 Cancione De Los Mundos Perdidos
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Robert Santamaria keyboards, twelve-string guitar, glockenspiel, sounds, santoor
Asy Guerrero spanish guitarAlfredo Arcus drums
Kerstin Kokocinski oboeManel Sesé percussion
Joan Morera violinPablo Tato guitar
Lídia Cerón vocalsMireia Sisquella sax
Marta Segura backing vocalsManel Mayol flute, tin whistle

  95 年発表のアルバム「Cancione De Los Mundos Perdidos」。 内容は、RENAISSANCE かと見まがうばかりのソプラノのスキャットが心地よいアコースティック・ロック。 土臭さにもエスプリ(スペイン語だとチィスパか)を感じさせ、美麗で愛らしくなおかつフォーキーな躍動感にあふれている。 ざわめくクラシックギター、本格的なピアノに加えて、木管楽器、弦楽器の響きを十分に生かしている。 どちらかといえば音色の魅力をストレートに伝えてシンプルな美感を大切にした作風だと思う。 喩えてみればフェトの踊りのような分かりやすさ。 フレッシュで健やかでほんのり夢見るような甘さがある。 グループの色を決めた初期の傑作。
  プロデュースはロベルタ・サンタマリア。全楽曲は 90 年から 94 年までにかけて作曲されたが、一部の作品の作曲は 80 年代にまで遡るらしい。 2008 年 MUSEA の再発 CD ではボーナス・トラックが 4 曲付く。

  「Prólogo」(4:24)スキャットの調べに耳を惹きつけられる開放的で躍動感ある作品。
  「Canto Celta」(8:58)
  「El Vuelo Del Pelícano」(2:45)
  「Cuevas Submarinas」(1:20)
  「Islas」(2:01)
  「Els Darrers Caçadors」(4:55)
  「Nàufrags」(4:47)
  「Danza Y Lamento」(4:51)
  「Bolero」(2:40)
  「Homenaje A J.R.R. Tolkien」(7:12)チェンバロ独奏のあるオムニバス・ファンタジー。叙景的。コアングレズが美しい。
  「El Viejo Lugar Prohibido」(6:49)
    「Niebra Sobre Los Prados
    「Mascaras
    「El Bosque Mitico
    「Melodias Secretas
    「Totems
    「Invierno
    「Lavondyss
  
(LYRICON 21066)

 Gibra Ara
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Robert Santamaría keyboards, piano, twelve-string guitar, percussion, voice
Víctor Estrada classical guitar, bassLídia Cerón vocals, backing vocals
Magno Maccaferri violinManel Mayol flute, didgeridoo, tin whistle, vocals, backing vocals
Delores Vidal celloMauricio Anton percussion
Jordi Vallverdu percussionJuan Alberto Arteche percussion
Manel Sesé percussionKerstin Kokocinski oboe
Mireia Sisquella saxDavid Salvans keyboards

  98 年発表のアルバム「Gibra Ara」。 内容は、ピアノとソプラノ・ヴォイスをフィーチュアしたクラシカルなフォーク・ロック。 エレクトリック・ベースが加わるもリズムは前作ほど強くはない。 ビート感は主としてピアノによる。 躍動感の代わって際立つのは音色の多彩さ。 管弦がふんだんに散りばめられて宝玉の輝きを放っている。 オーボエ、イングリッシュ・ホルンの調べの妙なることよ! マイク・オールドフィールド的な転調と反復の効果が取り入れられている。 その渦を巻く反復と蠱惑的なソプラノの呪文によってマジカルなムードではち切れそうになる。 同じような音質の前作と比べると格段と楽曲の雰囲気が複雑、多面的になり、どこかにうっすらとした澱みのある謎めいた妖気を漂わせている。 音楽が大人になったと言えばいいだろうか。 タイトル曲はイベリア半島風のエキゾティズムにあふれる傑作。 スパニッシュギターの響きがいい。
  プロデュースはロベルタ・サンタマリアとホアン・アルテチェ。ベルアンティーク版 CD には二曲のボーナス・トラック付き。

  「Laberintos De Piedra」(4:36)
  「El Mestre De La Caverna」(6:34)
  「La Danza De Los Murciélagos」(5:31)
  「Merla Aquàtica」(7:16)
  「Tormenta」(4:35)
  「Por La Senda De Los Cerezos En Flor」(10:37)
  「Gibra'ara」(4:52)
  「Al Otro Lado」(7:13)
  「Laberintos De Piedra (conclusión)」(2:40)シンセサイザーが魔法の仕上げをする終曲。アコースティックな音との対比が効果をあげるみごとな使い方だと思う。佳曲。

  「Ancient Venus
  「Lorsd Of The Sky
  
(BELLE 98439)

 Tierra De Especias
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Robert Santamaria keyboards
Víctor Estrada classical guitar
Manel Mayol flute
An Marí Morón vocals
Mireia Sisquella sax
Carles Gallego vocals, guitars
Jose Walero tabula
Pau Zañartu drums

  2000 年発表のアルバム「Tierra De Especias」。 内容は、哀愁と情熱のサードワールド・アコースティック・ロック。 紫煙の立ち込める饗宴での妖艶なるアラビアン・ダンスをイメージさせる楽曲から野辺送りの挽歌のようなアコースティック・チューンまで作風は幅広い。 全体として前作と比べても女性ヴォーカルがリードするほんのりと哀愁あるマジカルなトラッド・ミュージックというニュアンスは強まっている。 (露わなマイク・オールドフィールド志向は減退している) そのエキゾティックなトラッド・ミュージックが逞しい民俗舞踏のリズム感に揺さぶられるままにコンテンポラリーなロックと交差するところが興味深い。 それはアジアの弦楽器やフルートに加えてシンセサイザーとエレクトリック・ギター、ベースが役割を果たしているからでもある。 サックスとピアノはジャジーなニュアンスもためらいなく盛り込んでいる。(四曲目!) エレクトリック・キーボードによるシンフォニックな演出や変拍子オスティナートが現れれば、それが伝統音楽の文脈のものであっても、プログレの作法を意識しているとしか思えなくなってくる。 堅固なアンサンブルによるアコースティック・ロックにプログレ・テイストが加われば、それは間違いなく無敵で、スペインから現れた 初期 KING CRIMSON(マクドナルド&ジャイルズかも)か アンソニー・フィリップス GENESIS になってしまう。 最終曲は 18 分を超えるオムニバス風プログレ大作。

  「Dioses」(3:27)
  「El Torrent De Colobres」(4:12)
  「M'Goun」(5:25)
  「Chenini」(3:25)
  「El Caramillo Del Alba」(3:50)
  「Naki Naki」(1:51)
  「Els Millors Bufons」(5:01)
  「El Gran Bazar」(3:54)
  「Danza De Samotracia」(3:29)
  「Azabel Cuentacuentos」(18:10)
  
(KPD-10.991)


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