イタリアのロック・グループ「CELESTE」。 活動当時も無名のグループであったらしく、わずかに一枚の作品で名をとどめている。 GROG レーベル。
Giorgio Battaglia | bass, bass pedal, xylophone, vocals |
Leonardo Lagorio | ac & el piano, flute, alto sax, Mellotron, Eminent, spinetta, Arp odyssey/2600, vocals |
Ciro Perrino | percussion, flute, recorder, Mellotron, xylophone, vocals |
Mariano Schiavolini | guitar, violin |
guest: | |
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Aldo De Scalzi | plop |
76 年発表のアルバム「Celeste(Principe Di Giorno)」。
楽器と戯れ、音を慈しむような演奏が生む連想は、純白の絹に包まれて楽園に遊ぶ女神、激しく断たれることのない悠久のリズムの上で吹き続けるロマンの風、天使の奏でる竪琴、牧神の吹くフルート、ニンフ達が無邪気にかき鳴らすギター、吹き上げるサックス。
やがて、すべての秩序は静かに奔流をなすメロトロンに吸い込まれ、世界の果てへと去ってゆく。
乳白色のピアノの余韻を残して。
そして、地には再び香り豊かな風が吹く。
第一印象は「優しさに満ちた柔和な音」である。
ほとんどドラムレスであり、そのために全体に落ちつきどころがなくふわふわとした感じである。
アコースティック・ギターやフルートを用いたフォーク風味のアコースティック・アンサンブルに、シンセサイザーやメロトロンによる広がりとサステインが加味され、エレクトロニック・ミュージック特有の心地よい混沌も生まれている。
さらに、管楽器がフィーチュアされてジャズ的な展開を見せる場面もある。
英国やドイツのフォークに通じる素朴で沈んだトーンがあるが、いざというときの気品あるメロディには、いかにもイタリアらしい洗練されたポップ・センスがある。
また、ピアノの演奏はオーセンティックであり、クラシックの素養があるようだ。
愛らしい演奏にいきなりシンセサイザーが切り込み、雄大なオーケストレーションへと膨れ上がることもしばしばである。
即興でもなく緻密なスコアでもないというとらえどころのないサウンドだが、メロトロンが大幅にフィーチュアされることにより、プログレ・ファンの人気を集めたと思われる。
たしかに、フルート、ギター、ピアノ、ヴァイオリンらによる可憐なアンサンブルがシンセサイザーとメロトロンによって一気に表情を変化させ、シンフォニックな高まりを見せるシーンにおいては、あたかも眼前の霧が晴れて遥か遠くの峰々が一望できるような胸のすく快感がある。
PICCHIO DAL POZZO のアルド・デ・スカルツィがゲスト参加。
各曲も鑑賞予定。
「Principe Di Giorno(光明の統治者)」(6:12)
「Favole Antiche(時代の恵み)」(8:18)
「Eftus(エフトゥス)」(4:17)
「Giochi Nella Notte(夜の鐘)」(8:11)終盤の 1 分あまりにやおらヴォーカルが入る。
「La Grande Isola(大いなる島影)」(5:04)ドラムス、ティンパニなども用いたきわめてシンフォニックな場面からメロトロン・フルートやアコースティック・ギターによる密やかな演奏までダイナミック・レンジの大きな作品。
シンセサイザーが存在感を見せる。
「La Danza Del Fato(運命の舞)」(3:56)
「L'imbroglio(詐欺)」(1:06)
(KICP 2711)