アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「COVENANT」。 実態は、テキサス人デイヴ・グライダーによるソロ・プロジェクト。 一人でドラムス、パーカッション、キーボードを操る。 現在はハードロック・バンド「STORM AT SUNRISE」に所属。
Dave Gryder | acoustic & electric drums, percussion, Hammond B-3 organ |
Mellotron, ARP Solina, Prophet-5, Korg CX-1/M-1 | |
guest: | |
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Bill Pohl | guitar, bass on 1 |
92 年発表のアルバム「Nature's Divine Reflection」。
サウンドは、攻撃的かつドラマティックな正統派キーボード・シンフォニック・ロック。
90 年代プログレ・リヴァイヴァルの一つの流れとなった、一人テクニカル・キーボード・ロックの代表の一つである。
スピード感とキツキツの曲展開こそ現代風だが、音色やパターンはまさに往年のもの。
実際、75 年の作品といわれたら、そのまま信じられそうな内容である。
エリック・ノーランダー氏ほどポップではなく、MASTERMIND (イェンス氏か)やシェリニアン氏ほどメタル色はなく、ルーデス氏ほどは音楽学校最優等という感じもなく、まさに EL&P にダイレクトにつながる音だ。
キーボード・プレイは頭抜けて超絶というわけではないが、ヴィンテージな音色と高らかなストリングス/なめらかに走るモノの両シンセサイザー、邪悪にたたみかけるオルガンらの巧みなコンビネーションと変拍子リフ、ラフな弾き倒しなど、プログレらしさのツボを心憎いまでにおさえている。
ドラムスはけたたましく軽い音質が、いかにもキーボードと馴染んでいる。
このドラムスの存在はチープさを短所に聴こえさせないどころか、醍醐味にまで変貌させようという意図すら感じる。
全編せわしなく走り続けるが、それゆえにメリハリを失いかけており、ヘヴィな音すら次第にインパクトがさほどでなくなってくるのが残念。
クラシカルなフレーズやメカニカルなプレイが散りばめられた曲調は、意外にも軽やかで、スピード感のほうが印象に残る。
また、キース・エマーソンほどには音楽性の幅が広くなく、EL&P のロックンロールとクラシックの部分のみを引き継ぐイメージもある。
すんなり乗ってゆけるフレーズが多いところがいい反面、直線的に伸びてゆくだけの曲調に疲れてしまうところもある。
引きというか、ひねりがないところは、アメリカの方なのであきらめるしかない。
しかしながら 3 曲目になると、すでに本人もイラついているのか、どことなく演奏がトゲトゲしい。
全曲インストゥルメンタル。
ゲストは、UNDERGROUND RAILROAD のビル・ポール。
元のバンド仲間らしい。
「Toccata」をずっと聴いていても平気という方か、徹底したキーボード・ロック・ファンにお薦め。
「Premise Of Life」(17:05)
「Eschatolic Covenant」(5:41)
「Sunchild's Spiritual Quest Through The Forest Of Introspection」(19:47)
(SYNCD 13)