ベルギーのプログレッシヴ・ロック・グループ「HYPNOS 69」。95 年結成。作品は五枚。ストーナー・メタル系から KING CRIMSON に接近した。ノルウェーの MOTORPSYCHO にも通じる作風。
Steve Houtmeyers | conductor, voices, various instruments |
Steven Marx | woodwinds, brass, Rhodes, Hammond |
Tom Vanlaer | sub-ends, Moog |
Dave Houtmeyers | metronome, percussion, Korg MS |
2010 年発表のアルバム「Legacy」。
メロトロンがほとばしり、ギターの金属音が痙攣する KING CRIMSON 直系のへヴィ・シンフォニック・ロック。
邪悪暗黒面と無常感漂う詩情を行き交い、混沌の中からダイナミックなドラマを作ってゆく作風である。
渦巻くような力強さは VAN DER GRAAF GENERATOR にも迫る。
木管楽器の渇いた調べやギターの空ろなアルペジオ、絶叫するサックスなど、巧みにツボをおさえて薬味を利かせ、最終的にはヒステリックなギター・アドリヴとメロトロンの轟音で決着をつけてゆく。
テーマとなるリフやオブリガートなど、シンプルな旋律をうまく使って、あおり、泣かせる。
ギターは、ペンタトニックのハードロック調にディミニッシュやオーギュメントを使ったフリージャズっぽいフレーズに交えるなかなか新鮮なスタイルである。
ANEKDOTEN とは別方法から同じ場所に到達したようだ。
1 曲目の大作「Requiem」は脳天直撃級の傑作。切迫感、緊張感、怒涛のようなリリシズム。
どこか不器用な感じも悪くない。
ヴォーカルは英語。
ジャケットのガロ系(白戸三平か?!)のイラストもいい。
「Regacy」(17:51)
「An Aerial Architect」(6:47)
「My Journey To The Stars」(6:53)
「The Sad Destiny We Lament」(4:57)
「The Empty Hourglass」(10:48)
「Jerusalem」(6:52)
「The Great Work」(18:27)
(EH 145)
Steve Houtmeyers | guitars, vocals, theremin, space echo |
Tom Vanlaer | bass, Moog Taurus, Hammond, Fender Rhodes |
Steven Marx | tenor & baritone sax, Fender Rhodes, Hammond, Mellotron, clarinette |
Dave Houtmeyers | drums, percussion, timpanis, glockenspiel, Korg MS20, MS50, SQ10 |
2006 年発表のアルバム「The Eclectic Measure」。
内容は、英国ロック流のメランコリックなハード・シンフォニック・ロック。
やるせない思いや苦悩を音として迸らせるタイプである。
叙情性にしても攻撃性にしても、また終末観にしても、初期 KING CRISON、BLACK SABBATH などを中心に 70 年代初期の英国へヴィ・ロックの作風を取り入れている。
オールド・ファンは、メロトロン、サックス、ギターによる緩やかなユニゾンに痺れるはずだ。(まろやかでどこまでも寂しげな木管の響きもうれしい)
ハードロックではあるが、メタリックなハードさではない、陰鬱な切実感に基く暴力性がある。
そして、あまり品はないのになぜかスタイリッシュという不思議な魅力もある。
個々のプレイやテーマとなるメロディではなく、ヴォーカルを核とした全体の無闇な圧力と醸し出される猥雑なムードで迫るタイプの音である。
若々しくはあるが、カッコよさとは縁遠いドンヨリした世界であり、強い共感を呼びそうな音だ。
ストーナー系出身というのもじつにうなずける。
ギタリストはかなりの名手。
ロバート・フリップばりのアグレッシヴなストロークそしてペラペラな音なのにフレージングに説得力がある。
5 曲目は突き抜けたような快速ハードロック。「Speed King」を思い出す。
テーマは心理学者のユングの著作に関連するらしい。
サイケデリック・ロックを経由して KING CRIMSON に近づき、結果として ANEKDOTEN と同質のヘヴィネス、リリシズムを獲得したように思う。
「I And You And Me (I)」(1:26)
「The Eclectic Measure」(6:56)ANEKDOTEN、ANGLAGARD から込み入った展開を取り除いてヘヴィさに集中したようなシンフォニック・ロック。ギターの音が「太陽と旋律」や「暗黒の世界」と同じ。
「Forgotten Souls」(3:45)弾き語り風バラード。メインテーマのアブストラクトな哀愁の響きに魅せられる。
「My Ambiguity Of Reality」(1:56)クラリネットとサックス、アコースティック・ギターによる物悲しいアンサンブル。
「The Antagonist」(3:57)
「Halfway To The Stars」(3:39)
「I And You And Me (II)」(6:25)
「Ominous (But Fooled Before)」(5:42)
「The Point Of No Return」(7:43)
「Deus Ex Machina」(6:57)
(Electrohasch 115)