スペインのプログレッシヴ・ロック・グループ「IBIO」。スペイン最北部カンタブリアの出身。78 年に一作目を発表。 2006 年再結成し、第二作「El Regreso」を発表
Ito Luna | drums |
Dioni Sobrado | guitars |
Lily Alegria | bass, vocals |
Mario Gómez Calderón | electric piano, clavinet, synthesizer, Solina strings, Mellotron |
78 年発表のアルバム「Cuevas De Altamira」。
内容は、ノイズすれすれの生々しいキーボード・サウンドを中心としたクラシカルかつフォーキーなシンフォニック・ロック。
インストゥルメンタルが主である。
演奏は、アンサンブルの呼吸やアクセントの強弱、緩急の変化をつけずに一気にひた走るスタイル。
流麗たるべきストリングスは激流のように迸り、シンセサイザーのテーマやオブリガートはキャンバスに原色を叩きつけて塗りたくるようだ。
かように荒々しいタッチではあるが、クラシカルな表現や民族音楽的な表現は明快に打ち出されていて、交響楽的な音の広がりや構築性によってスケール感を生み出そうとする意図は理解できるし、実際それなりに成功している。
遠慮のないむき出しのけばけばしさは、キーボード以外の器楽サウンドもほぼ同等である。
フラメンコにしても性急過ぎるギターのフレージングとその酸味の効いたファズ・サウンド、野太いばかりのベース・ライン、鼓笛隊のスネアか土木工事の杭打ち機のようなドラムス。
この演奏を下手といってしまうと何も始まらない。
おそらく、凝ったスコアを強くためらいない主張をもって表現するとこういう風になるのだろう。
特にドラムスは、ロックではなく吹奏楽のような他の音楽畑出身だと思う。
というか、メンバー全員がロックではない他のエリアのミュージシャンのような気がする。
クラシックやフォークの素養はありそうなのに、ロックとしては妙に未成熟な感じがするのはそこに起因するのかもしれない。
音楽性の多様さもさることながら、唐突で素っ頓狂な、いわばびっくり箱のような(それでいて一応一貫性もある)パフォーマンスにプログレッシヴな個性を感じる。
1、6、7 曲目のみ朗々たるリード・ヴォーカルが加わる。
最終曲の 7 曲目では突如邪悪系ハードロック風になるが、やはりクラシカルな表現が持ち込まれている。
ヴォーカルはスペイン語。
プロデュースはゴンサロ・ガルシアペレイヨ。
「Cuevas De Altamira」(5:36)
「Romance Del Conde Lara」(2:34)
「La Viryulencia Del Ferrocarril」(6:01)
「Las Chicas De Laredo」(3:21)
「A Lo Alto Y A Lo Bajo」(3:09)
「Pastor」(6:08)
「La Baila De Ibio」(7:45)
(17.1341/6 / 5046703312)