イタリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「I DIK DIK」。 65 年結成のベテラン・ポップス・グループ。作品多数。 72 年の第二作はキーボードを駆使したプログレッシヴなアレンジの作品。
Mario Totaro | keyboards |
Erminio Salvaderi | guitar, keyboards, vocals |
Giancarlo Sbriziolo | vocals, bass, guitar |
Pietro Montalbetti | vocals, bass, guitar |
Sergio Panno | drums |
72 年発表の作品「Suite Per Una Donna Assolutamente Relativa」。
内容は、メロトロンから新進のムーグ・シンセサイザーなどエレクトリック・キーボードを駆使したポップ・ロック。
クラシカルで気品ある管弦楽/オペラ調、フォーキーな牧歌調、甘美で情熱的なラヴ・バラードなど、そのままでも十分イタリアン・ロックらしい魅力のある楽曲をエキセントリックなキーボード・サウンドで飾り立ててみたという挑戦的な作品である。
キーボードはオブリガートやソロで目立つだけではなく、バッキングでも歌唱に広がりと深み、スケール感を加味して演出効果を上げている。
アナログ・シンセサイザーの特徴的なサウンドとメロディアスでロマンティックな楽曲、歌唱との取り合わせは、若干の唐突さや音楽的必然性ということにかかずらわなければ決して悪くない。
水に漬かったトランペットのような不思議な音色のブラス・セクションとみなせば、こういうのもありか、くらいに思える。
テーマとなるメロディは美しい上に親しみやすく、複数のヴォーカリストによるハーモニーも暖かみがあり安定している。
ピアノとアコースティック・ギターの伴奏で弾き語る曲での純朴な表情もいい。
6 曲目のように思いのほかシャープに迫る快速チューンもあり。
そして、ギターの刻む第一曲のテーマ・リフレインを最終曲でピアノが再現するなど、トータルなアルバム作りもきちんとなされている。
しかし、本作品、オールド・ファンには路線変更を認めてもらえず、若者には昔のグループの作品ということでそっぽを向かれ、さんざんだったらしい。
力作のなのに残念。
メンバー・クレジットがないのは、本人たちもこれでいいのかどうか自信がなかったためではないだろうか。
もう少し分離のいい録音だったらなおよかった。
「Donna Paesaggio」(4:01)「女の景色」
「Il Viso」(4:03)「顔」
「Il Cuore」(4:50)「心」
「Intermezzo」(0:28)「インテルメッツオ」
「La Cattedrale Dell'Amore」(4:42)「愛の聖堂」
「Le Gambe」(4:50)「脚」
「Suite Relativa」(1:40)「相対組曲」
「Monti E Valli」(4:12)「山と谷」
「I Sogni」(4:55)「夢」
「La Notte」(4:10)「夜」
「Sintesi」(4:42)「融合」
(BMG Italy 74321988532)