イタリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「LIVING LIFE」。CIRCUS 2000 出身のドラマーを中心に結成。作品は二枚。Shirak レーベル。
Gianni Cinti | oboe |
Flavio Capello | flute |
Aldo Valente | ARP 2600, piano |
Swami Zekuta(Piercarlo Bettini) | Yamaha CP 70, piano, Hammond organ, electric piano |
Gianni Bianco | ARP 2600 programming |
Daniele Pintaldi | electric & classical guitars |
Roberto Savarro | Rickenbacker bass, vocals |
Johnny Betti | drums, CS 50, vocoder, electric piano, voice, percussion |
81 年発表の第二作「Mysterious Dream」。
前作より 6 年をおき、若干のメンバー交代を経た作品である。
内容は、多彩なキーボードを使用した、テクニカルなのに混沌としたサイケ・ジャズロック。
オーボエがフィーチュアされるところと地中海音楽風のエキゾチズムが特徴である。
ただし、その民族音楽風の調べを思い切り派手なシンセサイザーで奏で、シンセサイザーがオブリガートし、シンセサイザーとハードロック風のギターがバックを彩るところが変わっている。
というか、プログレらしい。
垢抜けないアンサンブルを、けたたましいまでのシンセサイザー・サウンドが取り巻く。
怪しいドラムス・ソロが繰り広げられ、メロトロンのようなシンセサイザーが湧き上がるとオーボエの調べが切々と歌い出す。
初期の KING CRIMSON かと思わせて、突如ジャーマン・サイケばりに弛緩した民族音楽調に変転する。
実に不思議な光景である。
カラフルなのにモヤモヤッとルーズな感じからして、出自がサイケデリック・ロックであることに間違いはないだろう。
そう考えるとフルートの響きも自然になじんでくる。
さらに、これら管楽器を活かし、ピアノやハモンド・オルガンも盛り込んだきわめてこなれたクラシカル・ロックもあるから驚きである。
一方、エキゾチズムが適度に薄まるとジャジーな演奏が日本人には「普通のフュージョン」に聴こえてしまうところもある。
いってみれば「寝ぼけ眼の KRAAN」である。
音楽のレンジの大きさにリスナーが置いてきぼりになるのはイタリアン・ロックの特性だが、この作品は、サウンド面でも演奏面でも抜群の安定感を示しつつも脈絡の維持が危ういという不思議な個性を持っている。
試してみる価値はあります。
ヴォーカルは英語。作曲は、ジョニー・ベッティによる。「謎の大名盤」扱いが一瞬で終わったものの一つです。
「Welcome People」(5:02)シンセサイザー民族音楽。
「Mysterious Dream」(11:37)騒音、打楽器音による即興演奏、キーボードと管楽器による交響曲的表現を交えたジャーマン・ロック的な怪作。
「Oldeurope」(6:32)一転、オーボエやピアノによるクラシカルなアンサンブルを動員したシンフォニックな作品。前曲との落差が大きい。
「Living With The Music」(6:08)イタリアン・ロックらしい田園フォーク・タッチと SOFT MACHINE 風のメカニカルなリフが印象的な作品。
主役のオーボエがだんだんカール・ジェンキンズに聴こえてくる。
「Sliding Through The Clouds Of Cusco」(5:33)ラウンジ・フュージョン化。ピアノ、フルート、ギターが主役。
(SLL3308 / MMP 265)