オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「MADDER LAKE」。 71 年結成。 78 年解散。 作品は 2011 年の再編含め三枚。 シンプルなブギーに過激かつ詩的なアレンジを施した独特なロック・サウンド。
Mick Fettes | vocals |
Brendon Mason | guitar |
John McKinnon | piano, organ |
Kerry McKenna | bass, synthesizer, vocals |
Jack Kreemers | drums, congas, gong |
73 年発表の第一作「Stillpoint」。
内容は、サイケデリック・ロックの毒気や酩酊感、叙情性をそのままキープしてテクニカルに洗練したプログレッシヴ・ロック。
ギター中心のキャッチーなハードロックのようでいて、曲の大半でインストゥルメンタルに大きくスペースを取ったり、リズム・チェンジが多用されるなどアンサンブルの作りが凝っており、ジャジーなグルーヴと神秘的な広がりがある。
ギター・リフ主体のブギーに新しい音や展開を加えるアレンジ・スタイルは、英国の個性派 FAMILY に通じる。
リード・ヴォーカルは骨っぽい悪声型だが、ハーモニーは THE BEACH BOYS スタイルを貫いている。
また、ハードロックにとどまらない個性が発揮されているのは、ジャズ的なサウンドの丁寧なギター・プレイに加えて、演奏が軽くなり過ぎないようにアンサンブルの重心となっているピアノの存在もあると思う。
その洗練度合いから 77 年くらいのメイン・ストリームを先取りしている感もあれば、ビート、サイケな 60 年代をそのまま引きずっている感じもある。
おそらくはあまり時代に関係のない、今出てきてもあまり違和感のないバンドなのだろう。
ポール・マッカトニーやブライアン・ウィルソンと同じ気質、性質なのだ。
シングル・カットされた作品はアメリカン・ロックに英国の翳りを加えたようなヒネリのあるもの。
全体に地味めではあるが、多様で謎めいた風情は英国ロック・ファンにはストライク。
プロデュースはグループとジョン・フレンチ。
「Salmon Song」(8:23)ほぼインストゥルメンタルのスリリングな作品。
「On My Way To Heaven」(4:53)
「Helper」(5:12)
「Listen To The Morning Sunshine」(5:03)
「Goodbye Lollipop」(3:37)きわめてブライアン・ウィルソン的な作品。これは意図的でしょう。
「A Song For Little Ernest」(4:29)
「12LB. Toothbrush」(6:02)シングル・カット。アーシーな酔いどれヴォーカルによるヘヴィ・ロックとコーラスをかけたギターとエレクトリック・ピアノによるジャジーな演奏がなんともいえないミスマッチの魅力を生む。
(MRL 34915 / D19529)