ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループ「MORPHEUS」。71 年結成。 2002 年再編。 まったりしたラウンジ・ミュージック調ジャズロック。
Peter Blömeke | bass, flute |
Gerold Adler | guitar |
Heinrich Holtgreve | alt sax |
Alfred Franke | drums |
76 年発表のアルバム「Rabenteuer」。
内容は、ブルージーで武骨、混沌とした「B な」ジャズロック。
クリス・スペディングばりにゴツいギターとギターを補うためかやたらと目立つベースによるテーマを緩めのドラミングが煽り、サックスが終始にこやかに歌い続ける。
尖った感じや力強さ、メッセージ性とは無縁の淡々とした表現が主である。
変拍子リフで攻め立てるも本格フリージャズほどにはキレはなく、隙間の多いのんびりとした演奏であり、サックスなどはむしろメロディアスでのほほんとしたプレイのほうが多い。
技巧で押し捲るわけではなく、ほんのり哀愁を帯びた明快なテーマ、口ずさめそうなフレーズをユニゾンやハーモニーを使って全体で支えてゆく作風であり、微妙な展開もあるにはあるが、ドラマで見せるタイプではない。
にじみ出る穏やかさ、のんびり感こそが特徴だろう。
粗っぽさとセンチメンタルな表現が交錯し、おそらく、意図していた演出よりも、意図していなかったことの方で味わいが出ている。
これは、70 年代初期の NEON、DERAM、VERTIGO あたりの英国ジャズロックと共通する音である。(位相系のエフェクトだけはいかにも 70 年代「中盤」らしい)
ただし、英国モノのような天邪鬼さや弩ヒネリはなく、代わりに謎めいた微熱と軽い酩酊感に彩られた叙情性がある。
この辺は「ドイツらしさ」だろう。(KRAAN からバカテクとキチガイじみた運動性を取り去った感じもある)
BEN や TONTON MACOUTE が好きな方にはお薦め。
76 年だと世間はもう少し洗練された音を出していたと思うが、サイケな夢から醒めきらない連中もまたいたのである。
もっとも、よく考えると、今でもそういう輩は多い。
全曲インストゥルメンタル。
自主制作。
Garden Of Delight の CD には 20 分あまりのジャム・セッションをボーナス・トラックとして収録。
「Rabenteuer」(9:55)
「Brandung」(5:00)
「Breitmaulfrosch」(5:09)
「Oktober '74」(2:16)
「Tanz Der Morphine」(3:10)
「Abflug」(15:00)即興ノリも若干ありそうな、まったりしたサイケ・ジャズロック。
「Morpheus Jam」(20:04)ボーナス・トラック。
(CD 024)