イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「McDonald & Giles」。 70 年 KING CRIMSON を脱退したイアン・マクドナルド、マイケル/ピーターのジャイルズ兄弟によって結成された。 作品は一枚。
Ian McDonald | guitar, piano, organ, saxes, flute, clarinet, zither, vocals, sundries |
Michael Giles | drums, percussion, vocals |
Peter Giles | bass |
guest: | |
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Steve Winwood | organ, piano on 1 |
Mitchael Blakesley | trombone on 4 |
Strings |
70 年発表のアルバム「McDonald & Giles」。
英国らしい叙情味あふれるアコースティック・ロックの名作。
ひなびた、おだやかな田園風景を思わせるサウンドが、精緻にして複雑な楽曲構成と絶妙のブレンドを見せる。
マクドナルドは、フルート、サックス、木管、オルガン、ピアノ、ギターと、マルチプレイヤーぶりを遺憾なく発揮。
ジャイルズ兄弟は、ベテランらしい堅実さにけれん味を交え、それでいて緻密というとんでもないプレイを見せる。
何にせよ、KING CRIMSON のファースト・アルバムに漂う幻想性と瑞々しい詩情が、マクドナルドとジャイルズのものであったことがよく分かる内容なのだ。
管楽器やギターなど、アコースティックな音を主にしたサウンドは、さながら秋の空気のように澄み切り、それでいて夢のようにはかない。
ヴォーカルについては、その弱さをあげつらうのではなく、風になびくような佇まいを味わうべきだろう。
いつかは経験するであろう生きる哀しみや憂いを、さきぶれのように仄かに味わわせてくれた。
大げさな賛辞は似つかわしくない。
大事な人とひっそりと聴きたい。
スティーヴ・ウィンウッドがゲスト参加。
メロトロンがないのが、意外といえば意外。
「Suite In C」(11:21)ジャジーなアンサンブルが魅力の幻想的な大作。オルガン、ピアノのソロはスティーヴ・ウィンウッド。
「Flight Of The Ibis」(3:18)KING CRIMSON の「Cadance And Cascade」の原曲。
「Is She Waiting?」(2:40)憂鬱なブリティッシュ・フォーク。
「Tomorrow's People - Children Of Today」(7:00)R&B タッチの序盤からジャジーなフルート・ソロ、そしておだやかなブラス・ロックへ。マクドナルドのデリケートなフルートに酔う。
リード・ヴォーカルはマイケル・ジャイルズ。
「Birdman」(21:45)ジャジーな逞しさとファンタジックな空気がブレンドした物語風の大作。
さまざまなパーカッションを使用した緊張感あふれる即興(さすがに KING CRIMSON 直系)、
御伽噺風の語り口は、THE BEATLES の遺伝子によるのだろう。
ジャジーなビート・グループ調。
後半やや散り散りになるが、辛抱強く粘って拾い集めて、やがてストリングス高まる感動的なエンディングを迎える。
ピート・シンフィールドが作詞で参加。
(ATLANTIC 18P2-2852)