Nicky Skopelitis

  アメリカのギタリスト「Nicky Skopelitis」。 ギリシャ出身。 ビル・ラズウェルやフレッド・フリスら前衛系のミュージシャンとの共演が多い。

 Ekstasis
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Nicky Skopelitis guitars, coral sitar, baglama, dobroJah Wobble bass on 1,4,5,7,8,9
Joseph "Zigaboo" Modeliste drums on 1,3,6,10Foday Musa Suso doussongoni(harp) on 8,9, kora on 4,7
Zakir Hussain tablaSimon Shaheen violin on 1,2,3,4,6,9, oud on 2
Bill Laswell bass on 2,3,6,10Guilherme Franco cuica on 2,3, littel hammer on 2, whistle on 2, berimbau on 3,6, cowbell on 3, tambourine on 4, congas on 10
Jaki Liebezeit drums on 2,4,5,7,8,9Bachir Attar flute on 3, ghaita on 5
Amina Claudine Myers Hammond organ on 3,5,6,8,10Aiyb Dieng chatan on 3,6, talking drum on 5,8, metals on 8

  93 年発表のアルバム「Ekstasis」。 内容は、西アジア、アフリカ風のエキゾチズムを基調にリズムを強調したダブ風のインストゥルメンタル・ロック。 パフォーマンスをリードするのはドラムスを筆頭にリズム・セクションであり、そのドラムンベースにギターやオルガン、ヴァイオリンがキレのいいアドリヴを乗せてゆく魔術的な恍惚感のある演奏である。 さりげなくもグルーヴィな変拍子、エレクトリックな SE と野趣溢れる民族楽器(特に管楽器)の取り合わせも効果的だ。 パワフルなリズム、ビートに支えられた上ものは、ざらざらに毛羽立ったエフェクト・サウンドとハープやヴァイオリンらのデリケートなナチュラル・トーンを巧みに対比させて不思議な美感を生み出している。 特に、他の楽器にはないエモーショナルな面を一手に引き受けるヴァイオリンが存在感を放つ。 ドラマーは、CAN の名手、ヤキ・リーベツァイトと THE METERS のジョセフ・モデリステがつとめる。 ベーシストには、PUBLIC IMAGE LIMITED のジャー・ウォブルも参加。 ギターのプレイは比較的オーソドックスだが、ロバート・フリップばりのロングトーンが特徴的だ。(だから、80' CRIMSON に通じる面もある) 個人的にはオルガンのドローンが気に入っている。 かように多面的な音の活躍はあるが、ギターのフレーズ、和声によってダブからフュージョンに接近する場面もあったり、アコースティック・ギターのプレイによって地中海民族音楽風になることもあるので、主導権を握っているという点で主役はやはりスコペリティスなのだろう。 ぐいぐいとマッサージをされているような快感のあるトランス・ミュージックである。
   全編インストゥルメンタル。 プロデュースはビル・ラズウエルとニッキー・スコペリティス。

  「Tarab」(7:19)黒々と逞しいリズムに胸打たれる傑作。ギターのロングトーンが加わると KING CRIMSON になる。

  「Meet Your Maker」(5:57)変拍子ダブ。

  「Ghost Of A Chance」(5:06)ギトギトの痛快サイケデリック・トランス・ロック。

  「Proud Flesh」(4:48)ヴァイオリンと kora(リュートのような撥弦楽器)、ギターをフィーチュアしたメロドラマティックな作品。キャッチー。

  「Sanctuary」(5:57)けたたましい ghaita と逞しいベースがフィーチュアされたへヴィ・チューン。

  「One Eye Open」(4:41)逞しくスクエアなビートの上でアタックのないヨレたような上ものがゆるゆると舞うサイケデリック・チューン。

  「Heresy」(5:36)kora とスライド/ロングトーン・ギターをフィーチュアした作品。明快なエスニック・ロックの秀作。

  「Jubilee」(4:39)開放感あるエスニック・フュージョン的作品。ただしリズムは村祭り。 機械がマメをばら撒いているようなスネア・ドラムとベースのうねりが印象的。

  「Witness」(7:34)ヴァイオリンがリードする交響楽的なイメージの作品。ただし、ドブロが入ると一気にカントリー調に。

  「Telling Time」(4:57)ミクスチャー感覚溢れるゴキゲンなファンク・ロック。オルガン、カッコよし。
  
(314 514518-2)

 Next To Nothing
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Nicky Skopelitis guitars
Bill Laswell bass
Ginger Baker drums
Simon Shaheen oud, violin
Aiyb Dieng percussion
Fred Frith violin

  89 年発表のアルバム「Next To Nothing」。 内容は、西アジア、アフリカ風のエキゾティズムやカントリー風味を盛り込んだアヴァンギャルド・ロック。 リズムを強調しながら民族楽器、ヴァイオリンを交えて構成する巧みなアンサンブルに横溢する異国情趣、祈りや呪術といった現実からの遊離感、そしてすべてに通底する独特の軽妙さが特徴である。 素朴な反復にむやみに力強い野趣があるが、暴力性ではなく、自然と対峙するときに必要な逞しさが示されている。 ほのかなユーモアが立ちのぼることすらある。 アコースティック、エレクトリックともにスライド・ギターがカッコいい。 キャッチーなエスニック・ロックの秀作。
   全編インストゥルメンタル。 プロデュースはビル・ラズウエルとニッキー・スコペリティス。

  「Bad Blood」(3:34)
  「Black Eyes」(4:31)
  「Shotgun News」(5:13)
  「Altai」(3:28)
  「Ta Magika」(4:32)
  「Second Skin」(5:51)
  「Omens 」(7:22)
  
(CDVE 41)


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