APOTEOSI

  イタリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「APOTEOSI」。 Idà ファミリーによる家族バンド。 作品は一枚のみ。 イタリアン・ロックの隠し弾。

 Apoteosi
 
Massimo Idà keyboards, ARP synth
Silvana Idà vocals
Franco Vinci guitars, vocals
Federico Idà bass, flute
Marcello Surace drums

  75 年発表のアルバム「Apoteosi」。 内容は、キーボードを中心としたクラシカルなシンフォニック・ロック。 厳かな調子が底辺にあるので、主題はかなり宗教色の濃いものだろう。 演奏は、主としてアコースティック・ピアノ、シンセサイザー(バッキングのストリングス系とリードを取るムーグ系の音の使い分けが巧み)、オルガンを使用した、落ちつきと品のあるもの。 70 年代前半の作品群と比べると、格段に音が整理されている。 こなれたキーボードの演奏は、フラビオ・プレモリを思わせるところもある。 ギターも、かなりの技巧の使い手ながら、ワイルドさは抑えてメロディアスな表現を主としている。 また、フルートやコントラルトの女性ヴォーカルなどのアクセントもいい。 リズム・セクションは、技量のわりには頑張り過ぎている気もするが、細かなテクニックを駆使して迫り、録音もいい。 大曲では、格調あるテーマを軸にした短いモチーフを次々に巡ってゆく。 かなりせわしなく変転する演奏にもかかわらず、リズミカルに走るところとゆったりと歌うところのメリハリが自然であり、楽に聴き流すことができる。 そして、転げ落ちるような展開でも、強引さに身を任せない。 こういった作風は、P.F.M などの大御所に近く、いわゆるイタリアン・ロック特有のバロックな面白さよりも、端正かつ叙情的な面が際立っている。 ポリフォニックでメロディアスなアンサンブルに加えて、女声ヴォーカルやアコースティック・ギターの音がいいタイミングで切り込んできて、目の醒めるような瞬間も多い。 15 分にわたる組曲を筆頭に、小品でもとてもクラシカルでいい味わいがあり、安心して聴けるという面では稀有のアルバムである。 ただし、イタリアン・ロック特有の過剰なまでのロマンティシズム、放埓さ、のんびり感(天然怠けもの感)がない。 整理されるということと、未完無限の魅力とは相容れないのかもしれない。
   2 曲目は引き締まったスリリングな演奏とほのかなメランコリーが特徴のシンフォニック・ロック大作。 目まぐるしい変化のなかに浮かび上がる、伸びやかにして哀愁あるヴォーカル・パートが絶品。 クラシカルで緊張感のある演奏のなかで、ポップス風の女性ヴォーカルの歌唱とか細いフルート、つややかなシンセサイザーが、華やかな彩としてうまく機能している。 ファズ・ギターがリードするパートは、DEEP PURPLE がムニエラを演奏しているような独特のもの。 3 曲目で見せる、ジャズロック的なリズム・セクションとギター、EL&P を思わせるキーボード・プレイ、R&B 調のヴォーカル・パートから厳かなコラールへの落差は、まさにプログレの醍醐味。 冒頭のアコースティック・ピアノも印象的。 最終曲は、ギターをフィーチュアし、スリリングかつファンタスティックな GOBLIN 風インストゥルメンタル。
  プロデュースは、ベーシストのフェデリコ・アイダ。

  「Embrion」(2:35)
  「Prima Realta'」(14:40)
  「Frammentaria Rivolta
  「Il Grande Disumano」(8:36)
  「Oratorio (Chorale)」
  「Attesa
  「Dimensione Da Sogno」(3:48)
  「Apoteosi」(5:50)
  
(Said MAP 145 / MMP 139)


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