CONVENTUM

  カナダのプログレッシヴ・ロック・グループ「CONVENTUM」。 72 年結成。80 年解散。作品は二枚。カナダ前衛音楽シーンのキーとなるグループ。ギタリスト、ルネ・ルーシェはソロでも活躍。

 A L'affut D'un Complot
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Jean-Pierre Bouchard acoustic guitar, tenor recorder
Bernard Cormier violin, metallophone
Andre Duchesne classic guitar, vocals
Charles Kaczynski violin, viola, cello
Jacques Laurin bass, contrabass
Rene Lussier guitars, 12 strin, mandolin
Alain-Arthur Painchaud narrator
Michel Therrien alto sax, oboe

  77 年発表のアルバム「A L'affut D'un Complot」。 クラシカルなアンサンブルの妙味、溌剌と弾ける素朴なエネルギー、ユーモアと愛らしさ、アヴァンギャルドなセンス、すべてがとけあいクリアーなトーンでまとめられた、チェンバー・ミュージックの大傑作。 アコースティック・ギターやヴァイオリンなど弦楽器を主体としたキレのいいアコースティック・アンサンブルにシアトリカルなフランス語ヴォーカルが重なれば、ほとんど「アンプラグド ANGE」状態である。 もっとも、演奏そのものはロックというよりはトラディショナル・フォークと室内楽の交ざりあった、あまり他に例を見ないものである。 そして、おもしろいことにジャズ風の音使いはない。 アンサンブル主導の演奏であり、ギターとヴァイオリン、オーボエらの旋律が綾なす明快で立体的な音の構築物を愛で楽しむことができる。 フランスに MUSEA が発掘した NOETRA というグループがいるが、演奏スタイルはこのグループからジャズ・タッチを取りのぞいた感じである。 RIO といいつつも後期の HENRY COWUNIVERS ZERO のような険しさと破壊的な面が強調された作風ではなく(もちろんアンサンブルの作りは綿密で厳格ではあるが)、不協和音や変拍子もさほどではない。 だからといって、雰囲気に頼りっ放しのヘタウマ素人サロン系の音でもない。 楽器の豊かで素直な音色を自然な抑揚で活かした演奏であり、口ずさめるほどにテーマはアクセスしやすく、アンサンブルは心地よくリスナーを桃源郷へと運んでゆく。 明暗/陰影も音の流れの中で澱みなく描かれ、表情は常にチャーミングにしてほのかに神秘的である。 そして、凝り性とあっけらかんとした小気味よさが共存するところは、かなり MIKE OLDFIELD に近い。 というか、最終曲「La Ronde」を待つまでもなく、相当影響を受けていることが分かる。 とにもかくにも、丹念なアンサンブルと腫れぼったく調子っ外れなフレンチ・ヴォイスによるモノローグ風の歌唱やアジテーションが、これ以上無い感じでうまく調和しているのだ。
   ドラムレスのいわゆる室内楽的な編成ながらも、一番イメージが共通するのは英国プログレである。 おそらく無比の個性を突出させながらもポップな聴き心地があるところが、そう思わせるのでしょう。 この作風は、同国の MIRIODOR が継承している。 PROG QUEBEC からの再発 CD には 77 年のライヴ録音である 7 曲のボーナス・トラックがつく。
  
(TAM-27011 / MPM 12)

 Le Bureau Central Des Utopies
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Bernard Cormier violin, percussion
Andre Duchesne acoustic guitar, dulcimer, vocals
Jacques Laurin bass
Rene Lussier guitars, 12 strin, mandolin, percussion
guest:
Jean Derome flute on 2, 11
Pierre Cartier acoustic bass on 11
Edouardo Pipman drums on 11

  80 年発表のアルバム「Le Bureau Central Des Utopies」。 内容は、ユーモラスで躍動感もあるサロン/フォーク・ミュージック・アンサンブル。 前作よりもスリム・ダウンした構成になるも、音楽的に緊張感が高まっているわけではなく、飄々としたユーモアのある演奏になっている。 ストレートな民俗音楽風のダンス・ミュージックもあり、どちらかといえばクラシックよりもフォーク・ミュージックに力点があるようだ。 ただし、独特の緻密さがあり、ダンス・ミュージック本来の開放感と対立している。そこが個性的でおもしろい。 スネア・ドラム以外はリズム楽器はほとんどないが、歯切れのいいフレーズ、リフを使用したリズムを感じさせる演奏も難なくこなしている。 メロディそのものが強調される演奏ではなく、人懐こくも奇妙なフレーズを繰り出す各パートのからみに味があるタイプである。 楽器感の呼応という点ではジャズに近いニュアンスもあるが、即興性はあまり感じられず、室内楽的でありスコアが存在するものと思われる。 タイトル曲以外は、全曲インストゥルメンタル。 7 曲目のバスーンのような音はファズ・ベース? タイトル曲は、ヴォーカル(フランス語)も交えた 10 分あまりの大作。つんのめるように性急で、なおかつ謎めいたスリリングなチェンバー・ミュージックである。
   PROG QUEBEC からの再発 CD には 2 曲のボーナス・トラックがつく。2 曲目「Le Commerce Nostalgique」はキラキラしたサロン風味とカンタベリー風のシリアスさ、エキセントリックな感じが詰まった名曲。ルーシェのギターが冴える。この曲のみ専任ドラムスあり。
  
(CAD-1005 / MPM 13)


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