SOM IMAGINARIO

  ブラジルのプログレッシヴ・ロック・グループ「SOM IMAGINARIO」。 ミルトン・ナシメントのバックバンド出身。作品は三枚。

 Matança Do Porco
 No Image
Wagner Tiso keyboards Tavito acoustic guitars
Luis Alves bass Robertinho Silva drums
Ze Rodrix keyboards, voice, flute Laudir de Oliveira percussion
Nana Vasconcelos percussion
guest:
Nivaldo Ornelas sax Toninho Horta guitar

  73 年発表の第三作「Matança Do Porco」 初のフル・インストゥルメンタル・アルバム。 内容は、キーボードを中心に管絃も使ったジャジーなロック。 クロスーオーヴァーとサイケデリック・ロックをブレンドしてソフトな MPB テイストとクラシックの薬味を少々加えた、スリリングかつ洒脱な作品である。 キーボードはエレクトリック/アコースティックの両ピアノとハモンド・オルガンであり、主としてジャジーなフィーリングとクラシカルな表現をカバーし、ギターはファズをかけた荒々しい音でむせび泣き、また、けたたましくサイケデリックに迫る。 リズム・セクションは切れ味鋭いプレイを放ち、その上安定感もある。 また、エレクトリック・ピアノが主となると躍動的なジャズロックになり、アコースティック・ピアノが主役になるとほのかな哀愁のある叙情作となるが、そこへさらにギターが掟破りに飛び込んで、一気にサイケでヘヴィ、かつルーズな調子へと変化させる。 さらに管弦楽がどっとかぶさり、燃え盛る官能の炎を一気に高尚な精神世界へと昇華する。 映画音楽のようなゴージャスさである。 この荒々しさとエレガンスを合体させた抜群の演奏力は、70 年代中頃の NEW TROLLS 辺りを思い浮かべるといいかもしれない。 タイトル曲大作のアドリヴ合戦に至ってはフランク・ザッパなみのロックなグルーヴがある。 ジャズもクラシックもあるが、核にあるのはブラジル人のロックだと思う。
   特に注目すべきは、アコースティック・ピアノの表現。 音数が決して多くないのに、みごとなまでに胸に迫るものを描き出す。 ジャズ本流も鮮やかにこなすが、それ以上に素朴な童謡かフォークソングのようなプレイがいい。 このピアノによる独特のリリシズムが、あふれんばかりの演奏力を最後の一筆で整えて、単なるジャズロック、フュージョンにとどまらないドラマティックで深みのある作品に仕立てていると思う。
   アルバムは第一曲の変奏をブリッジにしてさまざまな雰囲気の作品を旅して回る構成になっている。 ほぼ全曲の作曲を手がけるワグネル・ティソの才能がジャズロック方面に大いに発揮された佳作といえるだろう。 なお、ここに載せた再発 CD のジャケットはオリジナル LP とは異なるらしい。

  「Armina
  「A 3
  「A No 2
  「Armina(Vinheta 1)」
  「A Matança Do Porco
  「Armina(Vinheta 2)」
  「Bolero
  「Mar Azul
  「Armina(Vinheta 3)」
  
(EMI Odeon 581195 2)


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