WIND

  ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループ「WIND」。 64 年結成。 71 年アルバム・デビュー。 作品は二枚。 72 年解散。 ハードにして叙情的なオルガン・ロック。 二作目で作風をぐっとファンタジックな音へと変化させた苦労人バンド。

 Seasons
 
Steve Leistner lead vocals, harmonica, schlotterla, flute, percussion
Thomas Leidenberger guitar, vocals, lead vocals on 2
Andreas Bueler bass, vocals
Lucian Bueler organ, piano, vocals, percussion
Lucky Schmidt drums, percussion, vibes, clavinet, piano on 3
Jochen Petersen flute on 1

  71 年発表のアルバム「Seasons」。 内容は、サイケ/ビートポップ色を強く残す、ヘヴィかつ叙情的なオルガン・ロック。 黒っぽく、汗びちょな R&B テイストとフォーキーな憂鬱さ、クラシカルな端正さが交差する、懐かしい音である。 轟々たるファズ・ギター、ワイルドに吼えるオルガンに対して、ピアノやフルート、ハーモニカらをリリカルなアクセントとして用いて、みごとなまでにドラマティックな演奏を組み立てている。 ガナリ立てるようなヴォーカルに分厚いハーモニーが寄り添って、不思議とロマンティックな味わいを生み、熱っぽい音なのにメロディは、意外なまでにクールである。 この甘さは、THE MOODY BLUES、初期 PINK FLOYD、さらにはサンフランシスコ・サイケすら連想させる。 初期 DEEP PURPLE 風のストレートでラウドなタッチもあるのだが、感傷スレスレのロマンティックな演出の利かせ方が、とにかくうまい。 憂鬱すぎず、空ろすぎず、泣きすぎずに、クラシカルにモデストに全体をまとめあげている。 ブリティッシュ・ロックの本質をしっかりと受け止めた内容といってもいいだろう。 全編を貫くのは、ラウドにしてアグレッシヴ、しかし暖かみあるオルガン。 最終曲のメランコリックにしてトランス感覚あふれるセンスはみごと。 総じて、演奏には安定感も色気もある。 アルバムとしての統一感はないのだが、熱気はムンムン伝わるアルバムである。

  「What Do We Do Now」(8:25)R&B テイストたっぷりのヘヴィ・チューン。引きの落差がみごと。

  「Now It's Over」(4:22)

  「Romance」(1:31)電気処理をしたピアノによる愛らしいインストゥルメンタル。
  「Springwind」(7:08)オルガンをフィーチュアした初期 YES ばりのビート・チューン。疾走感にあふれるが、序盤、中間部ではピアノによるクラシカルなアクセントを効かせる。

  「Dear Little Friend」(4:15)ATOMIC ROOSTER を重たくしたようなハードロック。後半、エコーを効かせたギター、ベース、ドラムスが絶妙の間合いを取ったアンサンブルを見せる。

  「Red Morningbird」(15:56)幻想的な序章から、バラード、そして吹っ切れたようなハードロックへと進む大作。
  
(Plus 3 / SB 016)

 Morning
 
Steve Leistner lead vocals, schlotterla, percussion
Thomas Leidenberger guitar, vocals
Andreas Bueler bass, vocals, percussion
Lucian Bueler keyboards, vocals, percussion
Lucky Schmidt drums, percussion, mellotron, vibes, piano on 5
Jochen Petersen flute on 1

  72 年発表のアルバム「Morning」。 ロマンティックな曲想はぐっと洗練され、英米のヒット曲に近いポップな表現をもつようになった。 前作でもサイケデリックなビート・グループとして英米の影響を感じさせたが、本作では、素朴なロマンティシズムがより自然で明快な形で現れている。 キャリアが長いだけあって、時流のポップスへの乗り方がうまいともいえる。 ヴォーカルはゲイリー・ブルッカーを越えてスワンプ風のこなれ方を見せ、ストリングスはポール・バックマスター調ですらある。 高鳴るメロトロンはさておき、プログレというよりは、ハートウォーミングでファンタジックなポップ・ロックというべきだ。 そこで描かれるのは、愛らしいマイセン人形が並ぶジャケット通りのメルヘンチックな物語世界である。 ていねいなドラムスが印象的。

  「Morning Song」(3:59)
  「The Princess And Minstrel」(6:39)
  「Dragon's Maid」(8:39)
  「Carnival」(7:56)
  「Schlittenfahrt」(3:08)
  「Puppet Master」(3:25)
  「Tommy's Song」(5:28)
  「Josephine」(3:38)ボーナス・トラック。
  
(CBS 65007 / Trick Music TM 9302)


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