カナダのプログレッシヴ・ロック・グループ「ET CETERA」。 ツイン・キーボードによる北米の GENTLE GIANT 決定版。 唯一作は、気品ある傑作であり、オンド・マルトノも用いた珍しい作品でもある。
Marie Bernard Page | keyboards, ondes martenot, vocals |
Denis Chartrand | keyboards, flute, saxophone, vibraphone, vocals |
Pierre Dragon | drums, percussion |
Robert Marchand | guitars, vocals |
Alain Yves Pigeon | bass, cello, vocals |
76 年発表のアルバム「Et Cetera」。
もっとも適切な表現は、「ケベックの GENTLE GIANT」だろう。
鋭いクロス・リズム、混声マドリガル、反復のようでいて奇妙に凝ったアンサンブル、的確なクラシカル・タッチ、モーダルな独特の無表情さなど、驚くべき完成度である。
クラシックの素養を持つミュージシャンによる意図的な GG スタイルの再現と思われる。
弦楽器によるモダン・クラシック調の演奏が生む、気品ある幻想性とシリアスな美感については、おそらく本家を凌ぐだろう。
その本家と異なるのは、女性ヴォーカリストの存在。
フランス語のヴォイスのおかげで、GONG はもとより、カンタベリー風に聴こえるところすらある。
演奏は、ピアノを始め、はじけるようなクラヴィネットから鮮やかなピッチ・ベンドを誇るムーグ・シンセサイザーなど、二台体制による多彩なキーボードに加えて、ヴァイブも駆使し、さらにはアコースティック・ギターとフルート、チェロなどの本格的なクラシック・アンサンブルもある。
リズム・セクション、特にドラムスは、ジョン・ウェザースそっくり。
リフ、テーマなどにはスタカートを多用しており、輪郭のはっきりした鋭いタッチの演奏になっている。
一方、包み込むようにレガートで深みのある音もあり(フランス語の響きの暖かみのせいでもあるだろう)、じっくりと聴き込める。
6 曲目のように、ファンタジックな美感を提示するセンスもみごとである。
全体に、飄然としたところとメロディアスなところのバランスがよく、破格の内容といえるだろう。
おそらく GENTLE GIANT を知らずに聴いても、ポップにして知的、クールにして気品も暖かみもあるサウンドはかなり新鮮でしょう。
GG の表現を応用するグループは数知れずあるが、これだけ全部がマンマというグループは他には見当たらない。
「Et La Musique Tourne」 (4:04)
「Eclaircie」 (5:14)
「Entre Chien Et Loup」 (7:02)
「Apostrophes」 (4:49)
「Newton Avait Raison」 (4:11)
「L'Age Dort」 (4:34)
「Tandem」 (6:08) オンドマルトノによる美しいソロがある。
(AP-800 / AGEK 2092)