フランスのプログレッシヴ・ロック・グループ「IRIS」。70 年結成。73 年解散。 作品は一枚。2007 年に再編し、2009 年に新作を発表。
Alain Carbonare | keyboards, vocals |
Gérard Cappagli | guitars |
Gilbert Henry | drums |
Tony Carbonare | bass, vocals |
72 年発表のアルバム「Litanies 」。
内容は、オルガンをフィーチュアしたサイケデリック・エラの残り香豊かなプログレッシヴ・ロック。
メロディやハーモニーなどはきわめてビート・ポップ的(そしてフランス語のせいでよりシャンソン的な洒脱さもある)なのだが、さまざまにトーンを調節して音色に凝るオルガンを梃子にして、幻想的なムードの演出に成功している。
その幻想は 60 年代風のドラッグ的な生々しい悪夢とよりコンテンポラリーな人間疎外に基づく神経症的な白昼夢の巧妙なブレンドになっている。
PINK FLOYD がサイケデリック・ロックのまま進化して古びずに 70 年代を過ごしていたのと似た状況だ。
また、雰囲気は茫洋としてはいるが曲想に忠実な緩急強弱自在のパフォーマンスを支えるだけの基本的な演奏力がある。
エフェクトによってくぐもったクラシカルなオルガン・サウンドとデフォルメの効いた独白調のヴォーカル表現は ANGE と同じ。
プログレにおいて 60 年代ロックの味わいを巧妙に継承した好作品だと思う。
「Chrysalide」(6:16)
「Jus De Citron」(4:39)
「Donnez Moi De L'eau」(2:32)
「Songe」(4:25)
「Oracle」(3:15)
「Décadence」(3:45)
「Ballade Pour Une Minette Plastique」(2:50)
「L'étoile Artificielle」(2:53)
「Le Livre De Litanies」(4:35)
(CTN 69 561 / OM 71072-1)