オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「MACKENZIE THEORY」。71 年結成。74 年解散。作品は二枚。真夏の夜のジャズロック。
Rob Mackenzie | guitar |
Cleis Pearce | electric viola |
Mike Leadabrand | bass |
Andy Majewski | drums |
73 年発表の第一作「Out Of The Blue」。
内容は、エレクトリック・ヴィオラをフィーチュアしたジャズロック。
時期的に MAHAVISHNU ORCHESTRA を聴いていたことは間違いなさそうだが、こちらはよりブルージーでダーク、そしてロックンロールらしい敏捷さで迫っている。
サウンド面の工夫やさりげない腕前の披露でセンスのよさを感じさせるギター、狂気をはらんだエレクトリック・ヴァイオリンのプレイの表情もいい。
攻撃性と憂鬱さ、息せき切る性急さと虚脱感といった極端なムードを行き交いながら、時おりびっくりするほど繊細で叙情的な表情も見せる。
ライヴにもかかわらず勢い任せという感じがせず、プレイヤー同士がいい呼吸で相互反応しながら演奏をしている。
テクニックやスピード、衝撃度、単位時間当たりの音の数では MAHAVISHNU に大きく譲るも、タメやグルーヴといった小気味のいいロック的カッコよさについては間違いなく凌いでいる。
しかし、そもそも比較が誤っている可能性もある。
荒々しいサウンドからしても、こちらはジャズロックではなく、ヴィオラの入ったニューロック、ハードロックというべきなのかもしれない。
謎めいた雰囲気は PINK FLOYD に近いと思う。
いわゆるジャズロックよりは「プログレ」している。
4 曲目後半のハイテンションの演奏はファンを選ばないはずだ。
全編インストゥルメンタルだが、演奏はきちんとコントロールの効いたものになっているので、個人的にはヴォーカルが入ればもっとよかったと思う。
作曲はすべてロバート・マッケンジー。
1973 年 メルボルン Television City Sound スタジオでのライヴ録音。
ギターはオーヴァーダビングを行っているとのこと。
「Extra Terrestrial Boogie」(5:47)
「O」(9:53)
「Opening Number」(8:02)
「New Song」(11:38)
「Out Of The Blue」(2:59)
「World's The Way」(7:57)
(MRL 34925 / MUSH32227.2)
Rob Mackenzie | guitar |
Cleis Pearce | electric viola |
Paul Wheeler | bass |
Greg Shean | drums |
Peter Jones | piano |
73 年発表の第二作「Bon Voyage」。
1974 年 5 月 15 日、ダラス・ブルックス・ホールでのライヴ録音。
内容は、エレクトリック・ヴィオラをフィーチュアした、ライヴらしいエネルギッシュなジャズロック。
アンサンブルの音数や空間系の音処理よりも、楽器そのもののソリッドな音を前面に出した、いわばガレージっぽさの強い、パンキッシュとすらいえそうな演奏である。
プロデュースは、グラハム・オーウェンとポール・ホィーラー。
「Clouds」(15:44)津軽三味線ばりに荒々しいギターのコード・カッティングと狂おしいヴィオラが強調された即興風ジャズロック・インストゥルメンタル。
「The A Thing」(5:24)
「The C Thing」(8:03)
「Supreme Love」(7:33)
(L-35276)