アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「MAHAVISHNU ORCHESTRA」。 LIFETIME、マイルス・デイヴィス・グループで名を上げたイギリス人ギタリスト、ジョン・マクラフリンが自ら率いた超絶音楽集団である。 71 年からの三年間に三枚の優れたアルバムを発表、74 年にメンバー・チェンジとともに音楽性をやや変化させ、さらに三枚のアルバムを発表する。 84 年再編。 ジャズ・ミュージシャンによるハードロックへの挑戦。 ヴァイオリンをフロントに持ち込んだグループとしても特筆されるべき。
John Mclaughlin | guitar |
Rick Laird | bass |
Jan Hammer | keyboards |
Jerry Goodman | violin |
Billy Cobham | drums |
71 年の第一作「The Inner Mountain Flame」。
ジャズロックの金字塔として名高い作品。
その音楽の特徴は、重戦車のようなリズムに支えられたヴァイオリンとギターのインタープレイが生み出す壮絶なまでの緊迫感である。
テーマ(アンサンブル)& ソロ(アドリヴ)というジャズのスタイルをハードロックの文脈でデフォルメし、サイケデリック・ロック風に思い切り引き伸ばしたような手法は、混沌としつつも熱気ある英国シーンを経たマクラフリンが渡米をきっかけに獲得したものなのだろう。
マイルス・デイヴィスに「ジミヘンみたいに弾け」といわれたのがうれしかったのか、ここでもお手本はジミヘンのようだ。
それにしてもこの追いつ追われつの緊迫感、手に汗握るという表現が決して大袈裟でなく、導火線に火がついたが逃げられない状況に追い込まれたような気分になる。
もっとも、一気呵成の勢い任せなのも確かなので、若かりし頃に頭から浴びる、というのが本ディスクの正しい使い方である。
コケオドシもここまで気合が入っていれば岩をも貫く。
一時代の壮絶なる仇花といった位置にある作品だろう。
MAGMA のようで MAGMA よりもずっとプログレに近く感じられるのは、文化部風の思想的思い入れがほとんどなく、脳ミソ筋肉系運動部による全力疾走がメインなせいだろう。
個人的には、72 年に KING CRIMSON を新生させるロバート・フリップがこの音を聴いていたのかどうかに、非常に興味があります。
「Meeting Of The Spirits」(6:53)
極度の緊張と弛緩を繰り返す超絶的ジャズロック。
ミステリアスなシンコペーションのギター・リフからヴァイオリン・リフ、その上でギターとヴァイオリンが交互にスリリングなテーマを打ち出して攻めたてる。
超弩級のジャズ・ドラミングが挑発的な爆音を放ち、ヴァイオリンとギターのユニゾンは狂ったように暴れる。
この緊迫したアンサンブルに、繰り返しでは、エレクトリック・ピアノのアドリヴも加わってくる。
とにかく、あまりにスリリングである。
あえてスピードは抑え気味にして、何かとんでもないことが起きそうな予兆を不気味にちらつかせる。
期待と不安に心乱されないリスナーはいまい。
そして、緊張のピークで、メロディアスなユニゾンによる一気のカタルシス。
アルペジオを除くときわめて KING CRIMSON 的なサウンドである。
テーマとソロの組み合わせというジャズ的な構成ながら、内容があまりに破天荒である。
バカになりきったというか、一種の潔さに感動。
「Dawn」(5:20)
アシッドだがメランコリックなバラード。
ただし、過剰なエネルギーがため込まれてゆくため、ゆったりと歌う場面でも独特の緊迫感があり、ついには暴発気味に爆発してしまう。
まずは、エレクトリック・ピアノのバッキングでヴァイオリンとギターがユニゾンで歌う。
最初のソロは、手癖全開の歪んだギターから。イラついたままシャックリが止まらなくなったようなプレイである。
結局このキチxイ・ギターがアンサンブルに火をつけ、全員が一気に走り出す。
そのままヴァイオリンのアドリヴ。
クラシカルなタッチはなく、カントリーのフィドルに近い。
中間部が凄まじいだけに、前後のテーマが引き立つ。
ドラムスも全編自由自在なプレイを見せる。
3 連がカッコいい。
「The Noonward Race」(6:29)
性急につんのめるリズムと乱調ギター・リフで突っ走るヘヴィ即興チューン。
マクラフリンのアドリヴは、思いつきのほぼ無茶苦茶である。
ジャズ・ギタリストとしてこういう暴走は、おそらく凄まじく新鮮だったのだろう。
ジミ・ヘンドリクスのようでいてロックなカッコよさには雲泥の差があるが、そもそも目指しているものが微妙に違うような気がする。(単にジミヘンの真似をしようとして訳が分からなくなっている可能性もある)
続いて、雑音のようなヴァイオリン・ソロ。
ギターのリフに追いこまれると、エフェクトで歪みきったエレクトリック・ピアノ・ソロへ。
ギターとヴァイオリンによる情け容赦ないゴリゴリのバッキングがすごい。
再び勢い任せのギター・アドリヴ。
ドラムス、エレピ、ヴァイオリンすべてが折り重なってぐしゃぐしゃなアンサンブルとなる。
最後のドラムス乱れ打ちとギターのデュオは、笑い出したくなるくらい凄まじい。
ゲイリー・ボイルの ISOTOPE はこの作品がヒントだろう。
「A Lotus On Irish Streams」(5:41)
ヴァイオリンとピアノ、アコースティック・ギターのトリオによるロマンティックなバラード。
12 弦アコースティック・ギターのプレイはピチカート気味でかなり荒々しいが、音色がきらびやかなので、ピアノ、ヴァイオリンと際どくバランスしている。
エキゾチズムの源の一つは、このギターの強烈なトレモロ。
一方、ピアノは夢の潮騒のようにさざめき、ヴァイオリンはほのかな異国情趣を漂わせつつ優美に歌う。
後半は、このデュオが主役となる。
寄せては返す波のような包容力のあるピアノである。
エレガントだが、マクラフリンの手癖がピアノとヴァイオリンに伝染しているような気もする。
「Vital Transformation」(6:17)
16 分の 9 拍子でヴァイオリンとギターが息せき切って交錯する、せわしなく荒々しい作品。
得意の、リフ一発、キメ一発、気まぐれアドリヴである。
緩急は一応つけているが、とにもかくにも、猛烈な全体演奏である。
主役は、間違いなく猛烈な手数で変拍子を機械のように打ち出すドラムス。
音塊の衝撃を真っ向受け止めて圧倒されるのが正しい聴き方です。
「The Dance Of Maya」(7:16)
16 分の 20 拍子による怪しげなテーマにべたべたのブルーズ・ギターを盛り込んだ作品。
ヴァイオリンが金切り声を上げ、ギターはジミヘンばりのワウを使ったブルージーなソロ。
冒頭のファズ・ギターによるアルペジオはロバート・フリップのスタイルに酷似。
「You Know You Know」(5:07)
「Awakening」(3:28)
パワー・リフで攻めるハードロック的な部分と、ジャズ的なインプロヴィゼーションをゴタ混ぜにして力で押し切った演奏。
どのプレイも凄まじいが、特にギターとヴァイオリン。
この快速ユニゾン・ラインが演奏の軸となって緊迫感を高め、スリルを生み出している。
ビシッと合ったユニゾンはまさに鳥肌ものの迫力だ。
ヴァイオリンがレガートなせわしなさとするとギターはスタカートのまま強引に暴走するせわしなさであり、これらの特徴的な音が一つにまとまって、この勢いを生んでいるのだ。
後にギターにおいて左手主体のプレイが一世を風靡するのは、マクラフリンのプレイでフル・ピッキング・スタイルが限界に達してしまったからなのかもしれない。
それほど超絶であり個性的である。
この二つの楽器のプレイに、同じように熱気をはらんだキーボードを加えたアンサンブルで破綻寸前の演奏を繰り広げるわけだが、その暴走を支えるのが機械のように正確無比でパワーも兼ね備えたドラミングである。
ロール、シンバル、フィル何を取っても凄い。
ジャズ的な精密さをキープしたまま力技を三倍速で打ち出すストロング・スタイルは、もはやハードロックの領域へと入っている。
さて、テクニックばかりに耳がゆきがちだが曲も佳曲が多い。
ゾクゾクするような緊張と爆発後の鮮やかさが際立つ「Meeting Of The Spirits」や、完全ハードロック・ギターの「The Noonward Race」、ヴァイオリンとギターの絡みがカッコいい「Vital Transformation」など、押し引きの妙のある作品が並ぶ。
エンディング・ナンバーは「ここまで聴いてくれてありがとね」というお別れの挨拶でしょう。
テクニカルなもののファン、HM ファン、CRIMSON のファンにはお薦めです。
(CK 31067)
John Mclaughlin | guitar |
Rick Laird | bass |
Jan Hammer | keyboards, moog |
Jerry Goodman | violin |
Billy Cobham | percussion |
72 年の第二作「Birds Of Fire」。
前作の延長上で密度、硬度、速度が増大、演奏は計画的暴走ともいえる様相を呈し始める。
プレイヤーの素養からいうと、変拍子リフによるきわめてヘヴィなエレクトリック・ジャズなのだろうが、新しいロック=プログレッシヴ・ロックといっても何ら問題はない。
今聴き直すと、第一作よりも叙情性とトータル・イメージを保つような演出を心がけたような感じもある。
叙景的な流れや構成もあるようだ。
しかし、何よりも、この圧倒的な音のパワーとその力強さが生み出す緊迫感こそが、新しく、魅力的だ。
アンサンブル、ソロ、すべてに、沸騰するという表現が相応しい。
全編インストゥルメンタル。
作曲は、ジョン・マクラフリン。
プロデュースはグループ。
最高傑作といわれています。
第一曲「Birds Of Fire」(5:46)銅鑼の音が鳴り響き、エフェクトでうねるベースと歪みきったギターによるエキゾチックなアルペジオを呼び寄せる。
ド迫力のオープニング。
ヴァイオリンは 9 拍子のリフを刻み、強烈なリズムをきっかけに、ギターとヴァイオリンが狂おしいのユニゾンで高めあってゆく。
迫力満点のヴァイオリン伴奏で、ハードロック・ギターがむちゃくちゃに暴れ回る。
フロア・タム回しのフィルに重機掃射のような迫力がある。
やがてしなやかにして攻撃的なユニゾンへと収束する。
一転シャフル・ビートでなめらかなアンサンブルへと突き抜けるが、すぐ熱気を取り戻し、緊張感あるヴァイオリンのリフを経てエフェクトを効かせたギターによる強引なソロが続く。
少しデメオラ風なのはレスポールを使っているせいだろうか。
バスドラを連打する強烈なドラミングとユニゾンの反復。
一瞬だけなめらかなアンサンブル(ARTI+MESTIERI はこの辺に影響を受けているに違いない)をはさむも、やはり鋭いヴァイオリンのリフと激しいドラミングが炸裂、エレピの乱れ弾きとともにフェード・アウトしてゆく。
ギターとヴァイオリンをフィーチュアした、緊迫感に息詰るハード・ジャズロック。
変拍子を効果的に使って緊張感を高め、クライマックスの瞬間でスムースなアンサンブルへと解き放たれてゆく。
あたかも二匹の獣(というか火の鳥なんだろうな)が噛み合いながら交合するようなイメージである。
ぐぐっと抑えて爆発するというカタルシス一発だが、単純なだけにインパクトは絶大。
とにかく、あっけにとられるほど凄まじいインタープレイが続くのだ。
ヴァイオリンは 4+5 の変拍子リフでこれでもかと挑発し、ワイルドなハードロック・ギターが火を吹いて暴れ回る。
東洋的なエキゾチズムも特徴か。
第二曲「Miles Beyond」(4:42)
エレクトリック・ピアノが和音を刻み、愛らしいアドリヴで舞うオープニング。
ベースが重なり、エレピが華麗にひらひらと踊る。
ドラムスは手数を抑えても迫力満点。
ギターのパワー・コードが唸りを上げ、やや荒々しい空気になるも、期待をかわすようにヴァイオリンとギターによる変拍子ユニゾン・リフレインへ。
もつれるように刺激しあうが、意外に盛り上がらず、ジャジーな余裕を見せながら、ミュートしたギターによる切れ味いいソロへ。
ミュート・ギターとエレピのアドリヴ。
再び轟くヘヴィなコードをきっかけに、ドラムスが突如爆発的な手数で迫る。
今度は、遠慮なしのドラム打撃と豪快なギター・ソロのコンビネーション。
反対にバッキングはおちついたものだ。
ヴァイオリンとギターによるけたたましい変拍子ユニゾンが、強引に幕を引く。
ジャジーにレイドバックしたバッキングの上でドスの効いたプレイが続くヘヴィ・ジャズロック。
ジャジーでまろやかなリフと絨毯爆撃のようなソロのアンバランスの妙である。
ギターはもちろんすごいが、それ以上にドラムスがすごい。
あまりに無茶である。
聴き終えたあとは不思議とジャジーでおだやかな余韻が残る。
第三曲「Celestial Terrestrial Commuters」(2:53)
カウントとはとても思えない、引っかかるようなドラム・ピックアップ。
リフは、ギターとヴァイオリンのユニゾンによる 19/16 拍子のシンコペーションと 3 連を交ぜたようなスピーディなフレーズ。
テーマもユニゾンであり、どうしようもなくこんがらがったまま突き進むので、強引この上なし。
まずは、けたたましいムーグ・ソロ。
ヴァイオリンとギターによるテーマをブリッジに、今度はギターとヴァイオリンによるせわしないかけあい。
双方華やかなプレイを連発し、相手を追いかけつつこれでもかと挑発する。
一匹の雌をめぐって挑発しあう二匹の雄のイメージ。
地鳴りのようなドラムスにも注目しよう。
ヴァイオリンとギターがユニゾンすると、今度はこの二者とムーグとのかけあいが始まる。
最後はギター、ヴァイオリン、ムーグが、天へと駆け上るようなユニゾンを決めて終わり。
あっという間に最高潮へ達し、ひたすら押し捲くる変拍子ジャズロック。
豪快だが意外に爽やかな感じもある。
ヴァイオリンのなめらかな音のおかげで、無理やりな変拍子ユニゾンがなんとかまとまっている感じだ。
ギターとヴァイオリンのかけあいは、シンプルなのだが華やかであり、胸のすくほど小気味いい。
ドラムスもすごいです。
すごいです、ばっかりになってしまうのです。
第四曲「Sapphire Bullets Of Pure Love」(0:23)電子音に、ミュートしたギターの無茶苦茶なプレイが重なる瞬間芸。
第五曲「Thousand Island Park」(3:22)
竪琴のようなアコースティック・ギターとピアノが静かに重なるイントロダクション。
ゆったりとしたアンサンブルが、なめらかに性急な調子へと変化するも、すぐに呼吸を整えるようにゆったりとしたうねりを取り戻す。
フォロースルーのように語尾を激しく波打たせるギターは、いかにもマクラフリンらしい。
フラメンコ・タッチもある速弾きだ。
ピアノも負けずに激しい快速パッセージを繰り返す。
しかし、みごとなのはこの二者の呼吸のよさ。
最後は、再び美しいユニゾンへと落ちついて終わる。
ピアノ、アコースティック・ギター、ウッド・ベースのトリオによるリリカルな作品。
しみいるような静けさと緊張感ある動きが巧みに交錯し、幻想世界にロマンティックな息吹を感じさせている。
ピアノとギターの息の合った交歓がすばらしい。
ほんのりとラテン色もあり、デメオラ/コリアのデュオのようなイメージもあり。
再び、ARTI+MESTIERI に通じる道である。
第六曲「Hope」(1:58)
ヴァイオリンのテーマ一発のシンプルな小曲。
ヴァイオリンをアコースティック・ギター、ピアノが追いかけ、4+3+3 の変拍子テーマを反復しつつ次第に高揚してゆく。
雄大でシンフォニックな広がりのある作品だ。
フロアタムがこわい。
第七曲「One Word」(9:56)
機械のようなドラム・ロールが続き、ギター、ベースが重苦しくキメるオープニング。
ヘヴィなコードを叩きつけるギターと軽やかにオブリガートするエレピ。
緻密にしてすさまじい連打をバックに、まずはギター、ヴァイオリン、エレピが超絶的なアンサンブルを放つ。
テンポ・ダウンして、ベース・ソロ。
ロックらしさを気にしたようなシンプルなソロだが、全体的には、倍密ドラムスによる BRAND X といったイメージである。
ジャジーなベースが挑発すると、他のパートも我慢し切れずに飛び出してくる。
ノイジーなギターのコード・カッティング。
ベースがリードするも次第に周囲も盛り上がって、タイトなアンサンブルへと成長する。
ハードロック調のベース・リフがカッコいい。
イアン・ギラン・バンドにこんなのなかったっけ。
そして、ついに放たれるワウ・ギター、ムーグ・シンセサイザー、ヴァイオリンのかけあい。
ジャジーなソロ回しだが、とにかく挑発的で強引である。
呼応の間隔は次第に狭まり、オーヴァーラップし、オレがオレが状態が加熱する。
節操の欠片もない。
狂おしいユニゾンが炸裂してすべてが弾け飛ぶと、一転軽やかなドラムス・ソロへ。
熱気を冷ますようにクロックワイズなプレイだ。
しかし、千手百足観音ドラムスもまた次第に加熱してくる。
バスドラのロール辺りで、なぜか笑いがこみ上げてくる。
人間、怖くなると笑うのだ。
最後はエレピをきっかけに、ヴァイオリン、ギターらのヘヴィなリフが追いかけあい、重なりあい、もつれるように加速してゆく。
大人げなぞ、どこにもない。
無茶苦茶なキメでオワリ。
超絶的な技巧を駆使したソロをフィーチュアして疾走するハード・ジャズロック・チューン。
MO の代表曲といえるだろう。
BRAND X や 中期 RETURN TO FOREVER と並ぶエレクトリックでハード&ヘヴィ、かつスーパー・テクニカルな作風である。
基本的にはソロ回しのスタイルであり、前半はベース・ソロ含めリズム・セクションがフィーチュアされて、丹念なドラムスが次第に全体にエネルギーを蓄えてゆく。
中盤からは、ギター、ヴァイオリン、ムーグが、「ファンキーでノリノリなのに切羽詰っている」というユニークなインタープレイを披露。
後半は圧巻のドラム・ソロ。
すべてに重量感とスピード感があり、剛対剛が最高速でぶつかりあうという、たいへんな演奏である。
スピード/パワー/ヘヴィネス、どれをとっても一級の傑作。
オープニングとエンディングがとにかくカッコいい。
第八曲「Sanctuary」(5:05)
密やかなギターのリフレインにざわめくシンバル。
謎めいたオープニングである。
緩やかに、メランコリックにうねるのは、エレクトリック・ヴァイオリンの調べ。
途切れることのない歌、そして熱っぽいアンサンブル。
朗々と歌うヴァイオリン、ギターをリズムが支え、大きなうねりを成してゆく。
切り刻むようなスネア・ロールも、静かで謎めいた世界を変えることはできない。
シンセサイザーもフルートのように空ろに流れてゆく。
大きな波が膨れ上がるように、演奏のボリュームは上がってゆき、シンセサイザーが狂おしく身をよじる。
それでも、再び朗々たるヴァイオリン、ギターの調べへと帰ってゆく。
爆発寸前で身を翻し、去ってゆく。
轟音も余韻に過ぎない。
神秘的な味わいの作品。
憂鬱にして威圧感もあり。
第九曲「Open Country Joy」(3:56)
ギターとエレピによる牧歌的な演奏に、カントリー・フィドル調のヴァイオリンが爽やかに加わってくる前半。
一瞬のブレイクを経て、突然テクニカルな倍速暴走ユニゾンが炸裂、ギター、キーボードらによるファンキーなハードロックへと様変わりする。
ペンタトニックでグイグイと突き進むギター、もつれるようなユニゾンの爆撃。
ところが、すべては悪夢であったかのように、そ知らぬ顔でパストラルなアンサンブルが帰ってくる。
爆発的なハードロックをパストラルなテーマ演奏でサンドイッチにした過激な作風である。
肩の力の抜けた、楽しげなカントリー・フォーク調のアンサンブルがいい。
AREA にも同じような曲がありました。
本作品の中間部のような演奏は、今や典型的なテクニカル・ジャズロックのクリシェだが、ここがご本家、家元だろう。
グッドマンへの小さな謝辞。
第十曲「Resolution」(2:10)
叩きつけるようなギターのパワー・コード、重々しいベースのリフレインによるヘヴィ・ロック調のイントロダクション。
波乱を予感させる不気味な力をはらむ。
膨れ上がる音圧、スキャットのようなヴァイオリンがリフレインごとに高まってゆく。
クライマックス、エレクトリック・ピアノのせせらぎと爆弾の狂った時限装置のようなスネア・ロールが高まり、消えてゆく。
エピローグの小曲。
圧迫感のあるユニゾンで、挑発的に幕を引く。
美しくつややか、なおかつ暴力的という、いかにもこのグループらしい幕切れである。
第一作と同様のどえらい緊迫感と圧力。
タイトル曲に顕著なように、ギター、ヴァイオリンそれそれのプレイは過激なユニゾンとハーモニーからなるアンサンブルへと発展し、スコアの密度が演奏中にどんどん高まってゆくようなイメージである。
シンセサイザーも導入されて、二者のバトルから三者による対等なバトルも生まれている。
「One Word」のような古典的なソロ回しでも、あまりに激しいプレイが重なり合うせいで、演奏全体が大きな渦を巻いているように聴こえる。
また、「Thousand Island Park」や「Open Country Joy」のような作品でも、静けさ/おだやかさは表面上であり、内実はすでに暴走直前のいっぱいいっぱいなのではと思わせる雰囲気がある。
実際予想通り暴走する。
とにかく、走りっぱなしの曲でもメロディアスな曲でも、プレイが極限まで膨れ上がっており、楽曲という枠組みはあちらこちらで綻び、音が噴き出している。
小曲が多いものの、どの曲も魂とエネルギーが濃縮されており、ジャズロックという範疇ならざる範疇でさえぶち破りそうな勢いがあるのだ。
私は速弾きにはほとんど興味がないのですが、マクラフリンとコブハムだけはどうやって弾いているのか、間近で見てみたいです。
ゆったりとしたメロディに、ビルをなぎ倒す戦車のような迫力があるというのもじつに珍しい。
ところで、なぜヤン・ハマーがアルバム・クレジットからもれているのでしょう。
(SRCS 9177)
Mahavishnu John Mclaughlin | guitar |
Rick Laird | bass |
Jan Hammer | piano, moog |
Jerry Goodman | violin |
Billy Cobham | drums |
73 年の第三作「Between Nothingness & Eternity」。
オリジナル新曲のライヴ録音であり、第一期最後の作品となった。
本作収録曲のスタジオ・ヴァージョンは、「The Lost Trident Sessions」として 99 年に発掘/発表される。
さて、内容は変拍子リフの上でギター、ヴァイオリン、キーボードが騒々しいインタープレイと超絶ユニゾンを矢継ぎ早に繰り出す、アドレナリン全開、ヤケクソ気味のジャズロック。
ただでさえけたたましいギターは、さらに荒々しくなりほとんどハードロックと化す。
マクラフリンが私淑したスリ・シンモイの詞がジャケット・インナーに記載されているが、当たるをかまわずなぎ倒すような演奏と、この詞から連想される哲学/瞑想的なムードには、大きなギャップがあるような気がする。
インドの神格はなかなか間口が広いようだ。
1 曲目のヤン・ハマーのムーグとギターのかけあいは壮絶そのもの。
そしてコブハムのドラムスは地鳴り。
ジミヘンのようなギターに圧倒されていると、3 曲目ではいきなり CREAM も出現する。
ともあれ KING CRIMSON の「Lark's Tongues In Aspic」のファンへはお薦め。
もっとも、数分ですむところを思いつきと勢いで引伸ばしているといえなくもない内容のため、まずスタジオ盤を聴いてその後「生になるとこんなにムチャクチャスゴいのだ」とぶっ飛ばされる、という順序にすべきだろう。
「Trilogy」(12:01)
「Sister Andrea」(8:22)
「Dream」(21:24)
(CK 32766)
John Mclaughlin | guitar | Jean-Luc Ponty | electric violin, electric baritone violin |
Micheal Walden | drums | Gayle Moran | keyboards, vocals |
Marsha Westbrook | viola | Ralphe Armstrong | acoustic & electric bass, vocals |
Carol Shive | violin, vocals | Philip Hirschi | cello, vocals |
Michael Tilson Thomas | conductor, piano on 2 | London Symphony Orchestra |
74 年の作品「Apocalypse」。
マクラフリン以外のすべてのメンバーを刷新した第二期 MAHAVISHNU ORCHESTRA の出発点となったアルバムである。
新たな盟友で目を惹くのは、ヴァイオリンのヴィルトォーゾ、ジャン・リュック・ポンティと弱冠十代のドラマー、ナラダ・マイケル・ウォルデン。
今回も超絶ギターとエレクトリック・ヴァイオリンによる火の出るインタープレイと怒涛のようなリズムは健在である。
マクラフリン、ポンティ、マイケル・ウォルデンが一体化したときの爆発力にはただただ呆気にとられるしかない。
しかし、本作最大の注目は、弦楽アンサンブルとロンドン・シンフォニー・オーケストラとの共演である。
管弦の響きと調べによって、異種格闘技的な緊張感を超えた、メディテーショナルで抒情的な広がりのある世界が生み出されている。
冒頭 1 曲目で悠然たるファンタジーを描き出し、あっけにとられていると 2 曲目では強烈なビートとシンフォニー・オーケストラが真っ向ぶつかりあう演奏からこれまでと同じ「ハードロック風にデフォルメされたジャズ」の超絶演奏へとなだれ込み息もつけない。
ゲイル・モランのヴォーカルなどによるスピリチュアルな空気も盛り込まれ、最終曲ではハードな演奏からストリングスが麗しいパートやファンキーな演奏などあたかもすべてを出し切ったかのようなゴージャスな展開を見せる。
この大仰なポップ・インストゥルメンタルの世界を提示するにあたり、ジョージ・マーティン、マイケル・ギブスというなみなみならぬ気合を象徴するような人選も行われている。
内容的には、クラシカルでオーセンティックな美と滑稽寸前のアクロバチックな躍動のきわめて挑発的な結合といえそうだ。
ジャズ・オーケストラともクラシック VS ジャズでもない独特の世界であり、これこそマクラフリンの目指した新たな音楽ということなのだろう。
まとまりがないというよりは、存在しない映画のサウンド・トラックといったイメージであり、真のストーリーはマクラフリンの頭脳にある映像を追わねば分からないのかもしれない。
オーケストラを導入し、スケール・アップと微妙な美的ニュアンスも表現した佳作。
ジャズのファンよりは物語性のあるシンフォニックでドラマティックな音楽、つまりプログレのファンにお薦めです。
一方、ハードロック的な野性味あふれる演奏に魅力を感じていた方はやや物足りないか。
「Power Of Love」(4:13)
「Vision Is A Naked Sword」(14:18)
「Smile Of The Beyond」(8:00)女声独唱と弦楽によるオペラ風の美しい序章が激しくもしなやかなジャズロックを導く。スピリチュアルな美と熱気の組み合わせは MAGMA や SAGRADO に通じる。
「Wings Of Karma」(6:06)瞑想的な序盤からファンキーなのに重すぎるというこのグループらしい展開へ。ビッグバンドを従えてギターとヴァイオリンが火花を散らす。幕引きは再びオーケストラ演奏。
「Hymn To Him」(19:19)オーケストラによる甘美な序章からまたもハイテンションのハード・ジャズロックへ、そして管弦とバンドとの微妙なやり取りから、この時期らしいややファンクがかったジャズロックへと展開。モランのアドリヴは個性的だがおとなしめ、もっとも周囲が濃すぎるという話もある。オーケストラとギターのかけあいという無茶な展開も。エンディングは交響楽風。
(CK 32766)
John Mclaughlin | guitars | Jean-Luc Ponty | electric violin, electric baritone violin |
Micheal Walden | drums | Ralphe Armstrong | bass, contrabass, vocals |
Gayle Moran | keyboards, vocals | Steven Kindler | violin |
Carol Shive | violin | Bob Knapp | trumpet, flugel horn, flute, vocals |
Phillip Hirschi | cello | Russel Tubbs | alto & soprano sax |
75 年の作品「Visions Of The Emerald Beyond」。
前作よりもハード・エッジなロックが強調され、初期三作に近い作風も感じられるアルバムになった。
マクラフリンはハードロックなリフをぶち上げるかと思えば得意の重量感あるアルペジオを刻み、ポンティは目の覚める技巧で華やかにヒステリックにギターにユニゾンし、ウォルデンはまるで解き放たれたかのように荒々しくも正確無比な打撃技で迫る。
ジャズ出身らしい即興がきらめき、アンサンブルにはあの破裂寸前のキリキリ舞いするようなテンションがよみがえっている。
一方、弦楽、フルートやピアノによるロマンティックな表現もある。
また、新機軸の混声のハーモニーが神秘的な雰囲気を加味している。
かようにメリハリをつけたことがストーリー・テリングに奏功し、カラフルなエンタテインメント作品になっている。
元来爆発的な運動量と一気呵成のエネルギーの噴出が特徴で、ストーリーやイメージを喚起するには激しすぎる演奏だったのだが、本アルバムはそこをうまく調節してシーンを描くことに成功している。
今回も管弦セクションが効果的に導入されており、ポンティと弦楽トリオの優雅でスリリングなインタープレイもある。
また、当時のメイン・ストリームであるソウル(より特定的にはスティーヴィ・ワンダー)、ファンクへの目配りもされている。
3 曲目「Lila's Dance」のような初期作品と第二期の好ブレンド(「火の鳥」に似ているだけか)があることからも、前作の反省を踏まえた上でのこの内容なのだろう。
楽曲はコンパクトなものが主だがその中できっちりとイメージを提示している。
アルバムは、今にも破裂しそうな緊張感と流麗な響きによる爽快感と癒し、そしてダンサブルなグルーヴまでもが組み合わさってナチュラルに流れてゆく。
初期三作に痺れた方にはお薦め。
プロデュースは、ケン・スコットとマクラフリン。
個人的には、75 年以降の「プログレ」の代表作の一つと思っています。
「Eternity's Breath - Part 1」(3:10)重量感あるハード・ジャズロックと呪術めいたハーモニー。
「Eternity's Breath - Part 2」(4:51)バッキングの反復と祈祷のような混声ハーモニーにはやはり MAGMA のイメージが。そこに無理矢理なギターとヴァイオリンが乱入する。
「Lila's Dance」(5:37)螺旋を遡るようなユニゾンの魔術性が初期作を思わせる。後半はブルーズ・ロック気味のギターが爆発。どうしても CREAM から離れられない模様。
「Can't Stand Your Funk」(5:10)ファンクを茶化したような作品。
「Pastoral」(3:42)ワウ・ギター、弦楽セクションによる室内楽風の作品。
「Faith」(1:59)アコースティック・ギターのきらめくアルペジオと多彩なドラミングが飛翔するヴァイオリンを支える。瞬間芸。イタリアの ARTI E MESTIERI があこがれたに違いない世界。
「Cosmic Strut」(3:29)ライト・ファンク調と伸び伸びとしたヴァイオリンのミスマッチ。ドラムスのフィル・インがすさまじい。ポリリズミックで目が眩む。
「If I Could See」(1:16)SAGRADO が目指したスピリチュアル系ジャズロック。メドレー。
「Be Happy」(3:31)ハイテンションでアッパーな変拍子ジャズロック。ドラムスがうるさい。
「Earth Ship」(3:44)さんざめくエレクトリック・ピアノ、祈るようなフルート、ヴァイオリンをフィーチュアした静かなバラード。
「Pegasus」(1:51)音響的即興か。ディープスペース。
「Opus 1」(0:21)
「On The Way Home To Earth」(4:45)ノイジーなギターがリードするヘヴィ・チューン。
(CK 46867)
Mahavishnu John Mclaughlin | 6 & 12 string electric guitar, acoustic guitar |
Rick Laird | bass |
Jan Hammer | electric piano, synthesizer |
Jerry Goodman | electric violin, viola, violow |
Billy Cobham | drums |
99 年の発表の「The Lost Trident Session」。
タイトル通り 73 年に収録されるも未発表であった作品。
一部はライヴ盤「Between Nothingness & Eternity」にて発表されているも、本来は第三作となるべきであったフル・アルバムの発掘である。
「Dream」はライヴの半分のサイズだが、そのハイ・テンションでワイルドな演奏はライヴにまさるとも劣らない。
いわば、ジャズ・ミュージシャンによる DEEP PURPLE セッションである。
「Trilogy」はエキゾチックな旋律とジャズロックの緊張感がマッチし、ARTI+MESTIERI を思わせる情趣あり。
オープニングの華麗なアンサンブルに陶然とするうちに、いきなりハードロックへ突入する。
「Sister Andrea」はファンキーなリズムとダークな曲想が交錯し、やがてサディスティックなムーグ・ソロがすべてを切り刻む。
この音の迫力、あらためて、才走った若僧(DIXIE DREGS 辺りか)では勝負にならない、モンスター・バンドであると感じた。
全体に第一印象ではライヴに収録された曲がややおとなしく聴こえましたが、音の分離やバランスなどはさすがにこちらに分がありそうです。
特にキーボードの音やドラム・フィルが鮮烈(ヴォリュームでびっくりさせる独特なミックスともいえる)。
発掘作品は数多いが、日の目を見て本当によかったといえる一枚です。
「Dream」(11:06)マクラフリン作。ドラムスもすごいが酔っ払ったジミヘンのようなギターもすごい。
考えようによってはすでに CREAM がやり尽くしたことをやり直している感あり。
「Trilogy」(9:30)マクラフリン作。冒頭のユニゾンのテーマはトレードマークに近い。
「Sister Andrea」(8:22)ハマー作。
「I Wonder」(3:07)グッドマン作。
ロマンティックな曲想がいつしか熱く沸騰し異様な緊張感を持ち始める。
「Steppings Tones」(3:09)レアード作。
5 拍子の上でバランスをからくも保つイメージの小品。
反復に爆発寸前のスリルがあるところがやはり独特。
「John's Song#2」(5:53)マクラフリン作。
(CK 65959)
John Mclaughlin | acoustic guitars |
Airto Moreira | percussion on 1,2 |
Charie Haden | bass on 1,2 |
Billy Cobham | drums on 1,2 |
Jerry Goodman | violin on 1,2 |
Badal Roy | tabla on 1,2 |
Dave Liebman | soprano sax, flute on 1,2 |
Mahalakshmi | tambura on 1,2 |
71 年の作品「My Goal's Beyond」。
リーダー第三作。マクラフリンはアコースティック・ギターのみを演奏している。
LP A 面を占めた大作「Peace」は、インド楽器も交え、御大のアコースティック・ギターをフィーチュアしたジャズロック。
迫力やドラマ性など MAHAVISHNU ORCHESTRA のアコースティック版といっていい内容だ。
LP B 面の作品は、多重録音による、西アジア風味の漂うアコースティック・ギター・アンサンブルまたは独奏。
猛然としたトレモロや超速パッセージで攻め立てるところもあるが、基本は情熱を静かに湛えたリリカルでジャジーな表現である。
ギタリストとして、ブルーズ・フィーリングをクールに出す(現代クラシック寄りの表現で、といってもいい)のがたいへんにうまいと思う。
たとえば、B 面 3 曲目「Hearts & Flowers」では、すでにフュージョン的なギター・スタイルを提示している。
B 面 5 曲目であるチック・コリア作の「Waltz For Bill Evens/Song Of The Wind」は、現代的な和声を使った名演。
B 面 最後はマイルス/エヴァンスの名作「Blue In Green」。素直に流れ出るノスタルジーとそこにある哀感がいい。
ジャケット写真は、KNIT CLASSIC からの CD のもの。
(KZ 30766 / KCR-3010)
John Mclaughlin | Synclavier II, digital guitars, Les Paul special |
Billy Cobham | drums, percussion |
Jonas Hellborg | fretless & fretted bass |
Bill Evans | tenor & soprano sax, flute |
Mitchell Forman | Fender Rhodes, Yamaha D.X.7, Blow Torch piano on 5 |
guest: | |
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Danny Gottlieb | percussion |
Katia Labeque | Synclavier II, Yamaha D.X.7, piano on 9 |
Hari Prasad Chaurasia | percussion on 9 |
Zakir Hassain | percussion on 9 |
84 年の作品「Mahavishnu」。
ビリー・コブハムを迎えた数年ぶりの復活作。
シンクラヴィアやギター・シンセ、パーカッシヴかつクリアーなサウンドで一世を風靡したヤマハのデジタル・シンセなど 80 年代サウンドの典型要素を駆使した作品である。
この時代にこのバンドとして現れた意義はあまり明快ではないが、パット・メセニーばりのスペイシーでオーガニックなタッチやライトなグルーヴもあり、普通のフュージョンだと思って聴けば相当なクオリティの内容である。
ただし、「これだけギターのないマハヴィシュヌって?」、または「解脱したらニューエイジ?」と思ってしまう自分がある。
スウェーデン人ベーシストのヨナス・エルボーグが全国区になった作品でもある。
(WOU 5190)