イギリスのジャズロック・グループ「ISOTOPE」。 73 年ブライアン・オーガーのグループや、STOMU YAMASH'TA'S EAST WIND を経たゲイリー・ボイルを中心に結成。 作品は三枚。 MAHAVISHNU ORCHESTRA、BRAND X と並ぶ硬派ブリテッシュ・ジャズロック・グループ。
Gary Boyle | guitars |
Nigel Morris | drums |
Brian Miller | keyboards |
Jeff Clyne | bass |
74 年発表の第一作「Isotope」。
メンバーは、ベーシストに元 NUCLEUS のベテラン、ジェフ・クライン、キーボーディストにレイ・ラッセルの ROCK WORKSHOP からブライアン・ミラー、そしてドラマーに新人のナイジェル・モリスを迎えている。
内容は、性急で角ばったビートの上でエレクトリック・ピアノとギターが火花を散らすワイルドなジャズロック。
ダイナミックというよりは荒々しい音で強引に突き進み、もつれながらもぐんぐん加速してゆく豪腕タイプである。
ギター、エレクトリック・ピアノともにディストーションとワウを少々カマせたようなサイケな音であり、手数の多いわりにはガチガチと固い個性的なドラムスと重なると、全体としてかなりせわしなく、酸味の効きに息づまるような演奏となる。
ギターのスタイルには、ジョン・マクラフリンからハッタリを抜いてジャズとロックを同時に極めようとするような誠実なものが感じられる。
ただし、生真面目なだけに融通は利かず、ひたすらにピッキングでゴリ押しする。
そのプレイが痛快だ。
RTF 時代のビル・コナーズにも近い。
キーボードのスタイルには、同じ時期のハービー・ハンコックと共通するファンク趣味が感じられる。
スピーディなインタープレイは、電化マイルス後期または中期 RETURN TO FOREVER に迫り、ファンタジックな演出もなかなかだ。
全体としては、軟弱さの欠片もないテクニカル・ジャズロックの佳作といえるだろう。
簡素なプロダクションも潔くていい。
全曲インストゥルメンタル。
作曲はブライアン・ミラー。
プロデュースはティム・シャーマンとグループ。
1 曲目「Then There Were Four」(4:09)
性急なドラムス、ベースが飛び込み、ギターとエレクトリック・ピアノによる激しいユニゾンのキメをきっかけにアンサンブルが走り出す。
もつれるようなエレクトリック・ピアノのオブリガート。
自己紹介ソロ回しは、まずエレクトリック・ピアノから。
速弾きとファンキーなフレーズ。 続いてギターはハードロック・ギターの三倍速弾き。
続いてドラム・ソロ。
息つく間もない硬質で手数の多いプレイだ。
再びベースのリフに導かれてテーマの全体演奏へと戻り、派手に終わる。
ユニゾンのテーマ・リフ + ソロ回しという古典的なお作法を守りつつも、桁外れのパワー・プレイを盛り込んだハード・ジャズロック。
凄まじいソロは、形式のたがをぶち切らんとするパワーの象徴である。
メンバー紹介的プレイを含む、目の醒めるアルバム・オープナーだ。
薄っぺらくデッドな音質がかえって生々しさを強めている。
2 曲目「Do The Business」(4:42)
テーマは、ブレイクを巧みに挟んだシンコペーション気味の変拍子リフ。
ギター、エレクトリック・ピアノのユニゾンである。
ドラムスのロールと、ブレイクするリフの組み合わせが、ファンキーなのにファンキーに感じられない独特のノリをつくる。
リフはベースが引継ぎ、まずはエレクトリック・ピアノのアドリヴ。
ギターは小気味のいいコード・カッティング。
ピアノはわりと落ちついたソロを無難に奏でる。
やがて、焦れたかのようにギターも勝手にソロを取り始め、エレクトリック・ピアノを追い抜こうとして正面から衝突する。
ギターとエレクトリック・ピアノによるフルパワーの自己主張は、じつにけたたましい。
最後まで妥協することなく、ぎりぎりと額をすり合わせて、ついには合流をあきらめたかのようにテーマへと帰ってゆく。
どことなく居心地の悪いまま、演奏は次第に落ちつきを取り戻してゆく。
カッチリした変拍子リフがぎこちなさを生む奇妙なファンキー・チューン。
後半、ギターとエレクトリック・ピアノが正面きってぶつかりあうエネルギーですべてが消し飛ぶ。
最後のテーマ演奏は、あたかもギターとエレクトリック・ピアノによる喧嘩の後の仲直りのようだ。
今更ながら、こういうアブストラクトな器楽が全面的に受け入れられた時代があったというのが驚きである。
3 曲目「Oh Little Fat Man」(5:20)
ハイ・テンションの全体演奏がフェード・インするも、ギターが応じるとやおらエレクトリック・ピアノが受け流して尻すぼみに終わってしまう奇妙なオープニング。
繰り返しの後、一から出直し風に始まるのはエレクトリック・ピアノ・ソロ。
荒々しい音色を用い、シングル・コードでのジャジーな速弾きである。
スケール上昇、リズム崩しをからめてファンキーに跳ね回る。
続いて、焦らされてうずうずしながらバッキングで過激な和音を放っていたギターによるソロ。
ベンディングとペンタトニック・スケールのハードロック調速弾きに、ジャズらしいアウトな音も交える。
時おりリズムを追い越すのも微笑ましい。
アマチュア・ギタリストはなぜかリズム音痴が多いが、プロには許されません。
ギターのワウが強まるとともに、演奏は鋭く集中し始め、ノリノリのエレクトリック・ピアノも合流してオープニングのシャープなアンサンブルが再現される。
しかしイントロ同様、ギターが別のテーマで重なるとすぐにエレクトリック・ピアノに絡めとられてヘナヘナと流れてしまう。
エピローグ風に一瞬だけテンポを落としてリリカルに迫るも、最後は三度強烈にテーマをプッシュしつつフェード・アウト。
無表情で圧迫感ある、しかしどこかコミカルなテーマと才能一発なアドリヴによる「雑さ」が爽快なジャズロック。
テーマのリフはかなりカッコいいが、その展開のさせ方があまりよく理解できない。
一方、オーソドックスなエレクトリック・ピアノ、乱暴極まるギター、それぞれの生硬なアドリヴ(とその合奏)はいい感じである。
タイトなドラムスも堪能するべし。
じつに英国的な作品だと思う。
4 曲目「Sunshine Park」(3:57)
大きくピッチを揺らがせるエレクトリック・ピアノが、たゆとい、静かに歌うバラード。
エレクトリック・ピアノの和音の揺らぎの中で、ギターも静かにエレクトリック・ピアノの旋律へ重なってゆく。
ソフトなタッチながらもパッションを秘めた、芯の強さを感じさせるデュオだ。
シンバルのざわめきとともに情熱が高まり、ヴォリュームも上がるが、再び穏やかなデュオへと回帰し、美しい響きのうちに消えてゆく。
ドラムレス(シンバルはあり)の夢見がちで耽美なバラード。
アグレッシヴな曲が金属臭を撒き散らして渦巻く中、一服の清涼剤であり、物憂げながらもファンタジックな余韻が心地よい。
タイトル通り、ちらちらと揺れる木洩れ日を思わせる演奏だ。
初期 RETURN TO FOREVER 直系。
5 曲目「Bite On This」(2:21)
ファズ・ベースによる謎めいた 8 分の 6 拍子リフ。
ダブル・ベースの音も重なっているようだ。
波乱を予感させる凶暴なオープニングである。
ギター、エレクトリック・ピアノもベース・リフへと重なり、小刻みに連打されるスネアとともにヘヴィな演奏が幕を開ける。
そして、ワイルドなギターが容赦なく割り込み、自由奔放に暴れ始める。
キーボード、ベースが一徹に刻むリフ、リズムなぞおかまいなしだ。
それでも、演奏に一塊になったような一体感があるからすごい。
坂を登ってゆくような演奏は、意外にアッサリとフェード・アウトしてゆく。
フェード・イン、フェード・アウトで超絶プレイのクライマックスだけ抜き出したような、緊張感ある作品。
頑固なリフと爆発力あるギター・ソロのコンビネーションである。
大作の抜粋のようにも思えるが、定かではない。
6 曲目「Upward Curve」(5:43)
エレクトリック・ピアノによる RETURN TO FOREVER ばりの幻想的なオープニング。
饒舌でタイトなドラム・ビート、ギターとエレクトリック・ピアノによるビジーなユニゾンのリフに導かれて、一気に曲調はファンキーに湧き立つ。
ギターとエレクトリック・ピアノのアドリヴの応酬が両チャンネルから襲いかかる。
ソロの狂言回しは 11/16 + 9/16 のヘヴィなユニゾンのテーマ。
時おりオブリガートで切り込むムーグ・シンセサイザーの音が新鮮。
ギターは、ジャズ出身であることがよく分かるフル・ピッキング・スタイル。
誠実なフレージングが特徴的だ。
ベースはコード・チェンジを堅実なプレイで進めてゆく。
軽くワウをかけたエレクトリック・ピアノのソロは、ユーモラスなまでにファンキーで軽やかだ。
ギターはバッキングとリードがオーヴァー・ダビングされているようだ。
1 曲目と同じく息をつめるように性急に突っ走る、パワフルでファンキーなジャズロック。
ソロからデュオとめまぐるしく展開し、自由闊達な演奏が繰り広げられる。
ヘヴィながらもレガートな全体演奏と細かな音の粒が弾け飛ぶようなソロの音質の対比が面白い。
ギター・ソロはジャジーにして武骨、エレクトリック・ピアノ・ソロには R&B 色もある。
ガレージ風のざらついたサウンドによるファンキー・チューンというのも新鮮である。
なんとも楽しげな演奏だ。
7 曲目「Retracing My Steps」(4:58)
BRAND X を思わせる謎めいた密やかなオープニング。
丹念なリズム、ベースとエレクトリック・ピアノのリフが秩序を設け、ギターは自由に無邪気に音を散りばめてゆく。
ひき続くエレクトリック・ピアノのソロも自由だが、音の響きを大切にして、より詩的に迫っている。
シンプルなテーマを積み重ねて幻想世界に音の階を刻み込む。
ミニマルで抑制された、ややアブストラクトなイメージのミドル・テンポ作品。
もう少しで息苦しくなりそうな、その一歩手前のリリシズムをていねいにすくい上げて湛えている。
音響的、作風的に、後期 SOFT MACHINE にも近い。
独特の浮遊感は、12 拍をアクセントで 8 拍/4 拍と 6 拍/6 拍に分けていて 3 拍子と 4 拍子のノリが交じっているためか。
8 曲目「Windmills And Waterfalls」(3:30)
アコースティック・ピアノの左手が静かに和音を刻み、右手とアコースティック・ギターのユニゾンが切ない調べを奏でてゆく。
揺れる気持をそのまま音に移し込んだようなメロディ。
アコースティック・ギターは、スパニッシュなソロで情熱を吐き出し、ひとしきり高ぶると穏やかな表情に戻り、ピアノとのユニゾンへ帰ってゆく。
転がる鈴のようなピアノのオブリガートがいい。
静かな気品あるアンサンブルは、熱い感情を秘めつつ消えてゆく。
ピアノ、ギターともにアコースティックな音を用いた珠玉のバラード。
4 曲目とともに、アルバムの「静」の部分を担う。
不思議なことにモダン・ジャズではなく幻想的なクラシックの香りがする。
宝石のような調べの翳には情熱が埋み火のように燃えている、しかしエレガント。
ドラムレス。
デメオラとコリアへのオマージュでしょうか。
9 曲目「Honkey Donkey」(6:07)
フェードインでいきなり全開、ハイ・テンションの演奏である。
二つ前の曲が一回りして帰ってきたようだ。
激しいギターのアドリヴ、エレクトリック・ピアノも負けじとアドリヴで併走する。
もつれるようなユニゾンをきっかけに転調し、一瞬だけエレクトリック・ピアノの余韻とともにたゆとうが、リズムはそれを許さない。
強引に前に前にと炊きつける。
幻想的なブリッジを提示したムーグ・シンセサイザーも、いつしか煮えたぎる演奏に巻き込まれて、俊敏に渦を巻き始める。
ギターとシンセサイザーの激しいぶつかりあい、そして再びエレクトリック・ピアノとギターのソロの併走状態へ。
それぞれの音質を活かしたフレージングがみごと。
一瞬のよどみを経つつも、ぐんぐんエネルギーを溜め込んで、速度と密度を増してゆく。
エンドレスな展開を繰り広げ、急停止。心臓が止まりそう。
無限のエネルギーで走り続ける快速ジャズロック。
序奏を省いたいきなりのクライマックスであり、アルバム全体のリプライズのような内容だ。
前のめりにスネアの音を詰め込むドラミング、拍数もふっ飛ばすギターのフレージング、ビジーなユニゾン、強引なキメなどエッセンスはすべて入っている。
いくらでも、どこまでも続いていきそうなタフさと無邪気なテンションがある。
シンセサイザーの大胆なフレージングも魅力である。
テクニカルなギターとキーボードが火花を散らすクロスオーヴァー/ジャズロック。
ストーリーといえるような起伏は若干あるものの、基本は、勢い重視、剛球真っ向勝負の演奏である。
エレクトリック・ピアノの音は RETURN TO FOREVER をなぞった感じだが、アタックの強いギターによるパフォーマンスは遥かにワイルド。
特に 6 曲目「Upward Curve」のようなパワー・ソロになると、実に生き生きとしてくる。
そして、ギターとエレクトリック・ピアノを支えるリズム・セクションの技巧も、もかなりのもの。
ドラムスは手数勝負の若々しいプレイを見せ、ベースはベテランにしてはなかなか大人気ない音である。
しかしさすがに、プレイそのものは堅実にして俊敏である。
強引なところや音色が古臭いところもあるが、豪快なプレイから生まれるロマンに気づけば欠点は気にならなくなる。
とにかく、全体にみなぎるラフさと潔さが魅力である。
73 年というと、WEATHER REPORT は「Sweet Nighter」でグルーヴ路線に転身し、RETURN TO FOREVER は初めてギタリストを迎えてロック色を強め、MAHAVISHNU ORCHESTRA は、第一期のメンバーによるスーパー・ライヴ盤が出ていた頃だ。
また、SOFT MACHINE が最高傑作の一つである、フュージョン色濃い「7」を出した時期でもある。
ジャズロック絶頂期である。
本作も、短くも鮮やかに花咲いたブリティッシュ・ジャズロック/クロスオーヴァー・サウンドの代表作の一つといえるだろう。
(GULP 1002 / SEECD 432)
74 年発表の第二作「Illusion」。
音楽的な見解の相違から、作曲のキー・パースンだったブライアン・ミラーとジェフ・クラインが脱退(後年二人は TURNING POINT を結成)、ベーシストとして元 SOFT MACHINE で EAST WIND の同僚だったヒュー・ホッパー、キーボーディストとしてセミプロのローレンス・スコットを招く。
細分されたリズム・パターンで性急にドライヴする緊迫感たっぷりのジャズロックという音楽性に大きな変化はないが、ドラミングやギターのプレイに象徴されるように、荒削りな角を取って、よりなめらかに表現する術を心得たようだ。
硬派に押し捲る演奏とともにミステリアスな演出も巧みになり、曲想の懐が広がった感じである。
ただし、アルバム後半はややモチーフどまりの曲が多いようにも思える。
また、ホッパー得意のファズ・ベースやシンセサイザーが大幅に使われているところも目新しい。
この時期、レーベルからのサポートも潤沢に行われ、充実した活動が行えたようだ。
このメンバーで、ヨーロッパおよび US ツアーも行われた。
ちなみに、ローレンス・スコットは歯医者さんが本業だったそうだが、歯科医とジャズロック・プレイヤーって適性に相関でもあるのだろうか。
全曲インストゥルメンタル。
プロデュースはポリ・パーマー。
「Illusion」(3:54)
アッパーな 8 ビートが駆動するお得意の爆走チューン。
ボイルのギターは、テーマではワウを用い軽妙な調子を見せ、後半のソロ・リードではトレモロ風の高速ピッキングで縦横無尽の速弾きを見せる。
ホッパーのワウ・ファズ・ベースも全開、不気味なドローンで迫る。
前任者の堅実にコード進行をサポートするスタイルとは対照的だ。
ネジを巻くようなキーボード・バッキングはクラヴィネットだろうか。
ドラミングは前作よりもシンバルを巧みに使い、固さも取れてダイナミック。
緊迫感あふれる演奏だ。
「Rangoon Creeper」(6:01)
ずるずると引きずるように気だるいリフが進行役となるミドル・テンポのファンキー・チューン。
あたかも前曲からつながっているような、強烈なファズ・ベースとクラヴィネットのゴリゴリの音。
ノリは悪くないがサウンドが角張っていてキツメである。
リフの上でピアノがアドリヴをはじめると眩暈がするようにポリフォニックな展開となる。
しかし、中盤、リズム・ブレイクとともに一気に視界が開け、ギターとエレクトリック・ピアノによるグルーヴィなインタープレイがはじまる。
もっとも、ギターは次第に加熱して、エレクトリックピアノを置き去りに独走し始めてしまうのだが。
エンディングは、再びヘヴィでファンキーなリフへと回帰。
全体にエフェクトの酸味が効いている。
ギターのアドリヴ・パートにもう一展開あるとよかった。
「Spanish Sun」(7:50)
ホッパーによるミステリアスなベースに、アラビア風モードのギターが重なってゆくオープニング。
シンバルがざわめき、シタールに似たアコースティック・ギターも交えると、すっかり MAHAVISHNU ORCHESTRA である。
アコースティック・ギターと超絶エレキ・ギターによる、落としどころの見つからなそうな、対話ならぬ対話が繰り広げられる。
潮騒のようなシンバル、ゆるやかなエレクトリック・ピアノの響き。
ベースによってビートが作られてくる中盤からも、二つのギターの対話は続くが、ドラムスによってリズムが加速すると、エレクトリック・ピアノのソロが始まる。
エレクトリック・ピアノのソロは脇でギターがやいやい騒ぐせいかやや控えめであり、結局はギター・ソロの導き手となる。
そして圧巻のギター・アドリヴ。
高揚を抑えたように穏やかなフレージングにも関わらず、ピッキングはすさまじいの一言。
なめらかなジョン・マクラフリンといたところ。
全体に融通無碍(気まぐれ)でミステリアスな曲調であり、MAHAVISHNU ORCHESTRA や BRAND X に通じる作風である。
「Edorian」(2:01)再び、テンポのいい快速 8 ビート・チューン。
SOFT MACHINE 風のファズ・ベースがリードし、エレクトリック・ピアノとギターのユニゾンへと発展する。
空高く飛び上がってゆくような曲調がカッコいい。
最後はサイケデリックなテープ逆回転。
「Frog」(2:31)8 分の 6+4 拍子によるヘヴィなテーマの変拍子ジャズロック。
再び、テーマに反応するギターとエレクトリック・ピアノの技巧的なユニゾンが全体の緊張を高めてゆく。
ファズ・ベースのスリリングなテーマの上で思うさまギターが暴れる。
こういう詰め込みすぎのようなアドリヴがじつにうまい。
パワフルにしてスピード感もある小品。
前曲同様、尺が短いため食い足りない。
MACHINE の「7」にホッパーがいたらこういう感じだったのかもしれない、なぞと想像を逞しくできるのは楽しい。
「Sliding Dogs / Lion Sandwich」(5:58)
ファズ・ベースのオーヴァーダブによる、いかにもホッパー作品らしい不気味な音響主義風のオープニング。
ノイジーで危険なムードが高まる。
細やかなドラム・ビートが加わって、ギターとベースのユニゾンを軸に、フリー・フォームの演奏が次第にテンポを上げてゆく。
中盤からは、ギター、ベースによる凶暴なトゥッティにエレクトリック・ピアノが奔放な突込みを入れ、ギターも反発しつつ、ファズ・ベースも牙をむくという荒っぽい展開に。
フリーでエネルギッシュ、なおかつ一点に集中する鋭さのあるアンサンブルである。
息を呑む緊張が続くスリリングなジャズロック。
「Golden Section」(5:15)
エレクトリック・ピアノをフィーチュアしたミドル・テンポの作品。
ピアノのコード・ワークにファズ・ベース、ギターによるメタリックなテーマが重なるオープニング。
一転して突き抜け気味のエレクトリック・ピアノのテーマが示されて、ソロに突入。
珍しくファズなしの俊敏なベースがピアノのアドリヴとからむ。
ピアノの自己主張も十分強い。
各自勝手ながら、それでも盛り上がってゆくポリフォニックなアンサンブルがカッコいい。
リズミカルでファンキーであるにも係わらず、複雑さゆえかあまり跳ね回らず、おっとりソフトなタッチである。
最後は、ベースとギターのヘヴィなテーマが復活。
エレクトリック・ピアノのバッキングは和音がかなり大胆。
「Marin Country Girl」(2:10)
アコースティック・ギターとアコースティック・ピアノ、ベースによる情熱的にして幻想的なトリオの小品。
ピアノによるテーマの上で、ギターが速弾きなのに翳りのあるプレイを放つ。
展開不足のフェード・アウトが残念。
RETURN TO FOREVER への意識たっぷり。
「Lily Kong」(2:32)
テープを逆回転して再生したギターの音を重ねるというアイデア一発。
バッキングのエレクトリック・ピアノとリズム・セクションは普通通り。
これまた、展開不足のフェード・アウト。
「Temper Tantrum」(3:46)
エレクトリック・ピアノとベースによるミステリアスなオープニングから、ギターのテーマへと発展する、スパニッシュ・テイストと BRAND X 風のダークさを備えた作品。
アコースティック・ギターとエレクトリック・ピアノのビジーなユニゾンがふわりと着地する快感。
そして迸るギターとたたみかけるエレクトリック・ピアノ。
エレキ・ギターは二本オーヴァー・ダビングされており、左右のチャネルから攻めたてる。
アコースティック・ギターとエレクトリック・ピアノによる裏テーマ・ユニゾンが執拗に挑みかかるが、二本のエレキ・ギターはとどまるところを知らずひた走る。
ギターやピアノのせめぎ合いを中心に組み立てられた、シンプルだが、溜飲の下がる痛快な作品だ。
中期 RETURN TO FOREVER に端を発するこの作風は、スペインの ICEBERG というグループに継承されている。
内容は概ね前作を踏襲したハードなジャズロック。
しかしながら、攻めのプレイに抑制の効いたミステリアスなムードが加わり、音に深みの感じられる作品となった。
ブライアン・ミラーよりも控えめなキーボードのプレイおかげで、ボイルのギターがくっきりと浮かび上がっている。
器楽のせめぎあいの生む緊迫感、激しさとリリシズムのコントラストという点では前作に譲るが、オーヴァー・ダビングも用いて作られたギター中心の曲想はきわめて豊かである。
特に、オープニングからの三曲は、前作の手腕を見せた上でヴァリエーションへと進むという自信にあふれた作りになっている。
ただし、後半は素材どまりの作品が続き、ややフラストさせられるのも確か。
アイデアが豊富なだけに、もう少し聴かせて欲しかった。
一方ホッパーは、ゲストに近い参加ながらもしっかり色を出している。
余談だが、CD 内ジャケの彼の写真がすばらしくカッコいい。
(GULP 1006 / SEECD 432, SEECD 731)
Gary Boyle | guitars | Zoe Kronberger | acoustic & electric piano, string synth, clavinet, vocals |
Nigel Morris | drums | Frank Roberts | acoustic & electric piano, synthesizer |
Dan K.Brown | bass | ||
guest: | |||
---|---|---|---|
Morris Pert | percussion | Neville Whitehead | acoustic bass |
Hugh Hopper | bass on 7 | Laurence Scott | synthesizer on 7 |
76 年発表の第三作「Deep End」。
再びキーボード奏者、ベーシストがメンバー交代、新メンバーによるツイン・キーボード構成と多彩なゲストで録音されたラスト・アルバムとなる。
これまでのテクニカルで緊迫感のあるギター・ジャズロックに、キーボードが陰影と深みを加えており、ジャジーでグルーヴィな音という意味では一番だろう。
思い切って、ロマンティック、といってしまっていいだろう。
エレクトリック・ピアノとともにシンセサイザー、アコースティック・ピアノがフルに活かされてサウンドが多彩になっている。
そのため、過激な衝突や何もかもふりほどくような暴走やワイルドなファンキーさとは相反するメローで落ちついたフュージョン・タッチも目立つ。
また、リズム・セクションがやや軽めなせいか、華やいだ上モノの音が、さらりと流れてしまう感じもする。
それを抑えるのがボイルのギターであり、力の入ったプレイで一人剣が峰へ立ち尽くしている。
潔く突っ込む演奏は健在だ。
きわめてオーソドックスなジャズ・ギターにロック・スピリットを注ぎ込んだような熱いスタイルは、ジョン・マクラフリンとともにブリティッシュ・ロック・シーンの生み出した化学反応の豊かな実りの一つといえるだろう。
このギターがリードしてこそ、まさにロックからジャズへと(ジャズからロックへか ?)一歩踏み入れた「同位体」なのだ。
プロデュースはロビン・ラムレイ。
See For Miles の再発 CD は、既存曲の曲順が変更されている。
またリミックスされたボーナス・トラックつき。
1曲目「Mr. M's Picture」(4:54)ボイル作。
前作までのハードなスタイルをシンセサイザーで彩ったカッコいい快速チューン。
荒々しいベースが唸る挑戦的なリフ、食いつきそうなドラムスによる、テクニカルなユニゾンが特徴的な、前のめりの演奏である。
シンセサイザーのテクニカルなソロがフィーチュアされる。
この深い残響のある音は明らかにロビン・ラムレイによるものだろう。
ギター・ソロは、唖然とするほど超絶。
東欧諸国のジャズロック・グループに多い作風だ。
2曲目「Crunch Cake」(3:55)ロバーツ作。
ヘヴィなエレクトリック・シーケンスと四つ打ちドラムがドライヴするディスコ、ブラコン風のファンキー・チューン。
レゾナンスの効いたシンセサイザーが強烈。
エレクトリック・ピアノはジャジーに超然かつ饒舌に舞い、ギターはエフェクトを効かせて小気味いいツッコミを入れる。
3曲目「Another Side」(4:00)クロンバーガー作。
アコースティック 12 弦ギター、ピアノ、ベースのトリオ。
スクエアな反復アンサンブル、ピアノは一瞬だけエレガントな姿を見せる。
うっすらと聴こえるスキャットはクロンバーガー女史?
フランス系ジャズロック、たとえば ZAO あたりにありそうな作風である。
クラシック、室内楽とのクロスオーヴァーということだろう。
4曲目「Black Sand」(5:45)モリス作。
おとなしめだが、ミニマルなジャスト・ビート上のノンシャランとしたテーマとおだやかなサウンドが心地よい作品。
モーリス・パートの多彩なパーカッション、アコースティック 12 弦ギターとエレクトリック・ピアノをフィーチュア。
フレットレス・ベースがホワイトヘッドだとすると、SUN TREADER 状態である。
モエルランの GONG の作風にも近い。
5曲目「Pipe Dream」(6:27)スコット作。
弾力あるベースラインと軽妙なギターによるダンサブルなファンク・ジャズロック。
きっちり堅固な 8 ビートでかちかちに固まっているが、どこかユーモラス
前半はエレクトリック・ピアノの独壇場。
なぜか、終盤突如スピード・アップし、このグループの初期の作風とおりの、ギター主導の快速ジャズロックと化す。
「Pipe Dream」はアヘン煙草を吸ってみる夢のこと。つまり、はかなく突飛な夢のこと。
6曲目「Attila」(4:25)ボイル作。初期の BRAND X のイメージ。
つまり、フュージョンのようでいて、なぜか悩ましく翳りが強い。
前半のエレクトリック・ピアノ・ソロはほんのり、はんなり。
後半のギター・ソロは、荒々しいサウンドがいい。
ロックなドラミングが心地よい佳品だ。
7曲目「Fonebone」(4:25)ホッパー作。
ホッパー、スコットをフィーチュアした、ライトなアメリカン・テイストのファンク・フュージョン。
ベースにファズはなしだが、アナログ・シンセサイザーはスペイシーで深みのあるいい音だ。
ピアノが入ると、さらにウェスト・コースト風の爽快で弾むようなグルーヴが強まる。
余談だが、ホッパーはボイル、ラムレイのファンキー指向になじまず袂を分かったようだ。
とすると、本作は苦渋の結果?
アブストラクトな野心作が多いホッパーだが、こういうメイン・ストリームに倣う曲も達者である。
8曲目「Deep End」(8:22)ボイル作。
謎めいたオープニングが連想させるのは BRAND X の「Livestock」。
後ノリの鋭くも軽妙なリフがドライヴし、抑制と解放を繰り返すハード・アンド・ミステリアス・チューン。
クラシカルにしてなかなかぶっ飛んだアコースティック・ピアノがフィーチュアされる。
ギターは、オクターヴ和音の小気味よいカッティングの後に、迸るようにパワフルでしなやかなソロを放つ。
このバンドらしい劇的かつ熱気のこもった作品である。
(VIP-6587 / GULP 1017 / SEECD 731)
Gary Boyle | 6 & 12 string electric guitars, acoustic guitar | Zoe Kronberger | acoustic & electric piano, string synthesizer, mini-Moog |
Robin Lumely | electric piano, string synthsizer, mini-Moog | Rod Argent | mini-Moog |
Dave Macrae | clavinet, elecric piano, ARP synthsizer | Morris Pert | percussion |
Doni Harvey | bass | Steve Shone | bass |
Simon Phillips | drums | Jeff Seopardie | drums |
77 年発表のソロ・アルバム第一作「Dancer」。
内容は、メロディアスなプレイや音質がフュージョンに近づきつつも、全体の表情はストイックでタイトなイメージを与えるジャズロック。
急旋回を繰り返す破天荒なボイルのギター・プレイを BRAND X 的なサウンドの中へと導き、独特の緊張感と薄暗いファンタジーを生み出した傑作だ。
いわば ISOTOPE の本当の最終作。
BRAND X の面々からサイモン・フィリップスに至る豪華ゲストのプレイも光る。
全曲インストゥルメンタル。
プロデュースはロビン・ラムレイ。
「Cowshed Shuffle」(5:08)BRAND X そのもののようなダークなジャズロック。
ボイルもトレモロ気味のプレイに「らしさ」があるものの、ジャズというよりはロックっぽさのあるグッドソール調のヘヴィな速弾きがメインである。
ベースのドニ・ハーヴェイは、もろにパーシー・ジョーンズ。
華麗なピッチ・ベンドを披露するキーボードも BRAND X 風である。
唯一音質の異なるのは、あまりに華麗なフィリップスのドラムス。
すばらしいプレイです。
キーボード、ギターの順でソロが進み、最後にバトルへと雪崩れ込む。
名作「Livestock」に通じるサウンドです。
「The Dancer」(7:30)ピアノ、エレクトリック・ピアノ、ストリングス・シンセサイザーなど華やかなキーボードに彩られてギターが思うさま走るチャーミングでグルーヴィなジャズロック。
リズムに前曲のようなカミソリの如き切れはないのだが、それでもリズム・チェンジやポリリズミックな展開は華麗に決めている。
モーリス・パートのヴァイブは新鮮だ。
ベーシストはここでもフレットレスのベンディングでジョーンズ風のプレイを見せる。
フュージョン調の軽薄さをエレガントなピアノなどの巧みなアクセントで回避している。
終盤近くエレクトリック・ピアノ、ムーグ、ストリングス・シンセサイザーの順で、ギターとのかけあいを見せる。
「Now That We're Alone」(1:30)
フレットレス・ベース・ソロによる幻想的な小品。
エレクトリック・ピアノが静かに背景を描く。
余談だが、ベースはクラーク、ヴィトウス、ジョンソンあたりからソロ楽器として前に出始め、パストリアスによってその存在が決定的となった。
しかしリズムを感じさせることがおろそかになり、「弾ける」がちっとも腹に応えないプレイヤーが増えたのも事実。
ドラムンベースの出現はそういった傾向へのアンチテーゼだったのかもしれない。
「Lullaby For A Sleepy Dormouse」(5:25)ゆったりと広がる波紋のようなストリングス・サウンドが取り巻く美しいムーディなメロー・フュージョン・チューン。
デメオラ風のアコースティック・ギター・プレイをフィーチュア。
シンプルなリズム・パターンで即興風のギターがざわめくだけのミニマルな展開だが、ギター・プレイの表情の変化が微妙な波風を立てる。
聴き心地は悪くない。
「Almond Burfi」(5:02)軽めの音ながらもスピーディでドライヴ感のあるフュージョン。
エフェクト処理されたクラヴィネット、ベースによる小気味のいいビートとグルーヴ、ギターはその上で硬派なソロを繰り広げる。
中盤からは安定した 8 ビートのファンクで一気に走る。
ギターも生き生きしたプレイを放っている。
テンポ・チェンジの後は変則的なアクセントのリズムでムーグ・シンセサイザーがリードするシンフォニックな演奏へと落ちつく。
リズム、テンポの変化のせいかややオムニバス風に感じられる作品だ。
「Pendle Mist」(5:40)再び BRAND X を思わせる神秘的な即興風の作品。
ひそやかな混沌から静かに秩序が生まれてゆく。
時を刻むのはベース。
キーボードはあくまで控えめに寄り添う。
アコースティック・ギターは思い通りにならない苛立ちや悲しみを吐き出すように力の入った音を刻む。
幻聴か木霊のようなストリングス。
遠吠えのようなシンセサイザー。
抑制とルーズさが入り交じったような奇妙な味わいを残す。
フュージョンとはサイケデリック・ロックの焼き直しだったのか。
ドラムスはサイモン・フィリップス。
「Apple Crumble」(3:18)デイヴ・マックレエの超絶エレクトリック・ピアノをフィーチュアした快速ジャズロック。
エレクトリック・ピアノに触発されてか、ギター・ソロも初期 ISOTOPE を思わせる激しさ。
後半は、巧みなインタープレイへ突っ込む。
要所で見せるフィリップスの打撃技がカッコいい。
「Maiden Voyage(For Brian Auger)」(4:15)ハービー・ハンコックの名作のカヴァー。
原曲をモチーフに自由な発想でアドリヴを繰り広げる感じ。
楽曲という構築物ではなく一つ一つのプレイをライヴのように味わうべきだろう。
ブライアン・オーガーに捧げられている。
(GULP 1020)
Gary Boyle | guitars on 1-9 |
Nigel Morris | drums on 1-6 |
Brian Miller | keyboards on 1-6 |
Jeff Clyne | bass on 1-6 |
Zoe Kronberger | keyboards on 7-9 |
Steve Shone | bass on 7-9 |
Sergio Castillo | drums on 7-9 |
Geoff Downes | keyboards on 7-9 |
2004 年発表の「Live At BBC」。
HUX レーベルの発掘による BBC スタジオライヴ・アルバムである。
1 曲目から 6 曲目までは、73 年および 74 年の録音、7 曲目から 9 曲目は 77 年の録音である。
内容は、よけいな加工は一切なし、真っ向勝負のハードエッジなジャズロックである。
これでもかと煽りたてるドラムスとともに、ギターがエレクトリック・ピアノが前のめりで突き進む。
酸味の効いたサウンドに息苦しくなりそうだ。
BUGLES、ASIA のジェフ・ダウンズが、最後期のメンバーであったことが分かったことが収穫。
音質は最上級の海賊盤程度。
ボイルのギター・プレイは、ジョン・エサリッジからスパニッシュ、ジプシー・テイストを除いてジョン・マクラフリンと同種の手癖を突っ込んだ感じです。
「Upward Curve」第一作より。BBC Radio 1 "In Concert" 1973.10.12.
「Do The Business」第一作より。BBC Radio 1 "In Concert" 1973.10.12.
「Retracing My Steps」第一作より。BBC Radio 1 "In Concert" 1973.10.12.
「Honky Donky」BBC Radio 1 "In Concert" 1973.10.12.
「Bite On This」第一作より。Old Grey Whistle Test 1974.3.26.
「Upward Curve」第一作より。Old Grey Whistle Test 1974.3.26.
「The Dancer」ソロアルバムより。Peel Session 1977.8.22.
「Cowshed Shuffle」ソロアルバムより。Peel Session 1977.8.22.
「Almond Burfi」ソロアルバムより。Peel Session 1977.8.22.
(HUX 048)
Gary Boyle | guitars |
Hugh Hopper | bass |
Nigel Morris | drums |
Laurence Scott | keyboards |
Aureo De Souza | percussion on 1-6 |
2008 年発表の作品「Golden Section」。
第二ラインナップによる既発曲(第二作および第三作にて発表)の未発表ライヴ録音音源。
パーカッショニストとして RIFF RAFF にも参加していたオレオ・ディ・サウザを迎えた構成での 75 年西独ブレーメンでのライヴ録音 6 曲、75 年ニューヨークでのライヴ録音 2 曲、74 年ロンドンでのライヴ録音 5 曲である。
内容は、情熱的でエキゾティックなエレクトリック・ギターがリードするハード・ジャズロック。
ボイルのプレイの特徴は「強引なまでに真っ直ぐ駆け上がる駆け下りる」ところ、そして、デメオラばりの技巧をさらに追い詰めたような独特の性急さである。
息苦しいまでにワイルドでスピード感たっぷりなのに、どこかマジカルなムードもあるところがおもしろい。
スコットのワイルドなエレクトリック・ピアノとの相性もいい。
音数に頼らない、アイデアにあふれたヒュー・ホッパーのベースもおみごと。
ツアーの思い出満載のライナーノーツも楽しい。
予想通り、メンバーは WEATHER REPORT や MAHAVISHNU ORCHESTRA の大ファンだったようです。
「Illusion」(4:03)75 年 5 月 20 日西独ブレーメン。第二作より。ギリギリ感あふれる疾走チューン。
「Rangoon Creeper」(4:43)75 年 5 月 20 日西独ブレーメン。第二作より。グルーヴィなファンキー・チューン。
ここまで好一対の二曲のメドレーはアルバムと同じ展開。ギターのアドリヴは生命の迸りを越えて祈りに近づく。
「Attila」(6:03)75 年 5 月 20 日西独ブレーメン。第三作より。
「Spanish Sun」(9:48)75 年 5 月 20 日年西独ブレーメン。第二作より。エキゾティズムあふれる作品。力演。
「Crunch Cake」(5:22)75 年 5 月 20 日西独ブレーメン。第三作より。作曲のフランク・ロバーツはこのツアーの後加入した模様。
「Mr. M's Picture」(6:50)75 年 5 月 20 日西独ブレーメン。第三作より。MAHAVISHNU 風のブギー。
「Frog」(5:16)75 年 3/4 月ニューヨーク。第二作より。変拍子のシンコペーションがスピード感を生む。破綻スレスレのギターがいい。
「Attila」(6:10)75 年 3/4 月ニューヨーク。第三作より。
「Spanish Sun」(6:47)74 年 6 月 23 日ロンドン。第二作より。やっぱりデメオラです。
「Lilly Kong」(1:36)74 年 6 月 23 日ロンドン。第二作より。
「Edorian」(3:12)74 年 6 月 23 日ロンドン。第二作より。
「Golden Section」(5:38)74 年 6 月 23 日ロンドン。第二作より。
「Illusion」(3:14)74 年 6 月 23 日ロンドン。第二作より。
(RUNE 273)