スペインのジャズロック・グループ「ICEBERG」。 バルセロナ出身。 70 年代中盤から活動し五枚のアルバムを残す。 リーダーのギタリスト、マックスはその後 PEGASSUS やソロで活動。 RETURN TO FOREVER に匹敵する本格ジャズロック・フュージョン・グループ。
"Max" Joaquím Sunyer | guitar |
Àgel Riba | vocals, sax |
"Primi" Primitiu Sancho | bass |
Jordi Colomer | drums, percussion |
"Kitflus" Josep Mas | Fender piano, organ, Moog, Mellotron |
75 年発表の第一作「Tutankhamon」。
内容は、甘く伸びやかなヴォーカル入りのシンフォニックなジャズロック。
YES を思わせるコーラスやギター、キーボードらによる叙情的なシンフォニック・ロックとラテン系のジャズロックとが合体した作風である。
ダイナミックかつ緻密なリズム・セクションと爆発力を持つギターによる超絶技巧アンサンブルに、ヴォーカルとメロトロンがビロードのようなシンフォニック・ロックのベールをかぶせており、テクニカルでありながらメランコリックな演奏スタイルは、フュージョンとハードロック、プログレの中間点に位置するかなり稀なものである。
メロディアスななめらかさだけではなく、尖がった音が弾け飛んでぶつかるようなイメージもあるが、それでも、ヘヴィというよりはポップで軽やかだ。
YES がジャズロックをプレイしているようなイメージ、というといかにも陳腐だが、実際それが最も近い。
(本家もこの作品とほぼ同時期の「Relayer」では、ジャズロックとの音楽的な邂逅を果たしていると思う)
スティーヴ・ハウをさらにテクニカルにしたようなギターのプレイや、ローズ・ピアノによるリズミカルで跳ねるようなプレイの生み出すスピード感とスリル、グルーヴは、いわゆるジャズロック特有のものだ。
しかし、ひとたびメロトロンがざわめきテーマが悠然と湧き上がると、やはりそこは純粋なプログレ、シンフォニック・ロックの世界なのである。
そしてこの、ストリングス・シンセサイザーではなくメロトロン(まあ音は似ているが)というところが、いかにも 75 年というポップ・カルチャーの分水嶺の時代らしい。
ピート・バーデンスは、この時すでにシンセサイザーに切り換えていただろう。
とにかく、この作品のサウンドはユニークだといえるだろう。
疾走するインストゥルメンタル・パートは RETURN TO FOREVER に十分匹敵する迫力ある技巧を誇り、バラードでは一転してジャジーでメローな歌心を発揮している。
また、スペインのグループに期待されがちなエキゾチックなメロディはさほど現れない。
これはすでにジャズ・フュージョンの基本テイストとして含まれている、とこちらの耳が勝手に決めてしまっており、改めて気がつかないだけかもしれない。
結論として、徹頭徹尾せわしなく刻み捲くる演奏を繰り広げつつもメランコリックな歌心を失わない傑作といえるだろう。
テーマは、タイトル通り古代エジプトの王朝を舞台とした壮大な物語のようだ。
いかにもプログレ、シンフォニック・ロックらしいではないか。
ヴォーカルは英語とスペイン語。
CD はタイムに誤りあり。
「Tebas」(1:17)オープニングのキーボード、ギターのハーモニーが高まるさまは、まさにブリティッシュ・プログレの醍醐味そのもの。
メロトロンを背景にしたギターとムーグが小気味いい。
星を引くような下降進行が面白い。
LE ORME か YES かといった感じの明快なシンフォニーだ。
「Prologo」(3:02)ノンストップでエレピとワウ・ギター、パーカッションがせめぎあう 8 分の 5 拍子のファンキーなジャズロックへと変貌。
ソフルフルなスペイン語のヴォーカルが熱い。
細かく弾力あるビート。
間奏はワイルドなワウ・ギターと転がるようなエレピのゴキゲンなかけあい。
スティーヴ・ハウが超絶的な速弾きをするとジョン・マクラフリンに接近するということに気がつきました。
「Sacerdotes De Amon」(2:53)ワイルドなギターに導かれてよりヘヴィでストレートな曲調へと変化。
ザックリしたバックビートでサックスとギターがカッコよく決める。
ヴォーカルも、ハードロック風の叩きつけるような歌い方だ。
しかし、ストリングスのうねりとともに一気に幻想的でゆったりとした調子へと移る。
管楽器とキーボードのまろやかなハーモニーが、メロディアスに分厚く流れる。
美しくたゆとうエレピ。
次第に高まる管楽器・キーボードの調べ。
再びハードな演奏へ。
サックスも加わって食いつくような演奏だ。
「Amarna」(2:53)今度はよじれるようなエフェクトを効かせたギターとエレピによるおだやかにしてサイケなデュオへ。
8 分の 9 拍子。
裏打ちシンバルとともに、メロトロンが湧き上がる。
8 分の 6+3 拍子のワイルドなギター・リフが立ち上がり、邪悪なムードが強まる。
再びリズムが去り、フェイズ・シフタでよじれるギターとエレピによる謎めいた演奏が続く。
再び、湧き上がるメロトロン。
ドラムスのピック・アップをきっかけに、再び、邪悪なギター・リフによるヘヴィな演奏へと戻る。
KING CRIMSON を思わせるヘヴィにして悪夢的なインストゥルメンタル。
「Lying On The Sand」(5:22)一転してエレピがメランコリックにささやくロマンティックな世界へ。
ギターもまろやかな音でつぶやく。
ストリングスが高まりメロトロンとムーグが柔らかく渦巻く。
メランコリックにして熱いヴォーカルは英語。
完全に AOR 調である。
メロディ・ライン、ハーモニーは 70 年代ラテン歌謡調。
ワイルドなギターのオブリガートに応えるのは、雨ににじむネオンのきらめきのようなエレピ。
サビはストリングスに支えられ、熱気とともに蜃気楼が立ち上りアラビア風味すら漂う。
間奏は、ブルーズ・フィーリングあるジャジーなエレピ・ソロ。
いい感じだ。
そしてストリングスを背負った迸るようなギター・ソロ。
泣きのバラード名品である。
「Amenofis IV」(3:05)
ラテン風の細かなリズムにあおられてギターが縦横無尽に走るハイ・テンションのインストゥルメンタル。
エレピとギターのユニゾンからイントロの力強い決めが繰り返される。
「Himno Al Sol」(4:35)「Siberian Khatru」を思わせるギター・リフ。
「La Muerte」(4:19)ドラムス・ソロを含む爆発的なインストゥルメンタル。
「Close To God」(4:08)シティ・ポップス調のバラード。ヴォーカルは英語。
「Too Young To Be A Pharaoh」(3:35)勢いのある YES 風テクニカル・ロックンロール。ヴォーカルは英語。
「Tebas(reprise)」(1:49)第一曲のリプライズ。
シンフォニックなテーマを金管風のムーグ・シンセサイザーとメロトロン・コーラスが彩る大団円。
(ACTUAL RECORDS CD 80 2026-02)
Joaquím "Max" Sunyer | electric & acoustic guitar |
Josep Mas "Kitflus" | electric & acoustic piano, synthesizer |
Jordi Colomer | drums |
"Primi" Sancho | bass |
76 年発表の第二作「Coses Nostres」。
ヴォーカリストが脱退。
サウンド面では、冒頭前作を思わせるスペイン風 YES のような演奏を見せるものの、以後はミステリアスな RETURN TO FOREVER 調のジャズロックとなる。
ハード & テクニカルなプレイと、いかにもスパニッシュな華やぎと哀愁を込めたプレイを巧みにからめた、初期の RTF そのもののような幻想味ある作風だ。
ギター、ピアノ、ムーグなどジャジーなソロも充実し、インタープレイの呼吸・アンサンブルの配合もすばらしい。
即興的で瞬発力にあふれる演奏に時おりきらめくエキゾチックなメロディが印象的だ。
ファンキーにはならない陰鬱な幻想性が、プログレ的である。
あえていうならば、大胆な展開がそのまま開放端で終わってしまうところが、まとまりを欠くイメージを与えるかもしれない。
しかし、豪快な演奏が与える衝撃が、それをにわかには感じさせないのも確かである。
Max のアコースティック・ギターはかなりの腕前。
マクラフリン+スパニッシュ/ラテンな感じ、というと「そりゃデメオラだろ」と突っ込まれそうだが他にいいようもない。
タイトルから想像するに、マフィアがテーマになったトータル作のようだ。
RTF 流正統テクニカル・ジャズロックにして、華のある逸品。
全曲インストゥルメンタル。
「Preludi I Record」(2:14)ストリングス・シンセサイザーが湧きあがり YES を思わせるドラマティックなオープニング。
テーマ部は、ギターとシンセサイザーによるきわめて正統的シンフォニック・ロック。
しかし、展開部でジャジーな演奏へとなだれ込む。
序章というイメージである。
「Nova」(8:56)弾力あるアンサンブルにシンセサイザーとギターの激しいソロを交えた雄大なジャズロック。
BRAND X 風のミステリアスな序章を経て、ユニゾンによるスパニッシュなテーマへと収束、その後はムーグとギターによる挑戦的なかけあいが続く。
タイトな演奏だ。
堅実にして敏捷なベース・ランニング/リフにも注目。
3 分半から、快活なムーグのリードによる新展開へ。
再び、メランコリックなスパニッシュ・テイストを強め、謎めいたブリッジへ。
8 分の 6 拍子の跳ねるようなリフ、ドラムスの乱れ撃ちの高まりとともに、演奏は長いクレシェンドを成し、次第に緊張も高まる。
6 分半辺りからスパニッシュなテーマの再現を経て、今度はギターのリードで情熱的な演奏が復活する。
終盤は、すべてを回顧するかのような、神秘的な即興パート。
スタジオ編集を活かした大胆なエンディングである。
細かなつなぎの部分に YES 風味を散りばめられている。ロマンのある傑作だ。
「L'acustica」(9:10)
スペイシーな即興をプロローグにジャジーなソロ合戦がシーンを綴る傑作。
静かなインプロの応酬を経たムーグとギターのトレモロによるファンタジックな演奏は、意外にもモダン・ジャズ・ピアノ・ソロへと展開する。
追いかけるアコースティック・ギターのソロもイルドなタッチだが、同時にロマンティックでありジャジーである。
ただし、リズムは変則的だ。
エレクトリック・ピアノとギターのデュオは、たおやかというにはあまりに繊細である。
吹き上がるムーグの調べとアコースティック・ギターによって復活したテーマは、GENESIS を思わせる。
終盤の即興パートでもラフなプレイの応酬が繰り広げられるが、ファンタジックな演出は切れ目なく続き、プログレッシヴ・ロック的である。
プログレらしい演奏と、いかにもジャズ的でメローなソロを組み合わせた、おもしろい作品だ。
「La D'en Kitflus」(6:49)ギターとシンセサイザーが華やかな共演を見せる名作。
密やかなエレピによるオープニングからシャープなギターのリードによるテーマへ。
ストリングスが高まり、ギターとムーグが情熱的なユニゾンを迸らせる。
ワウを用いたエレキギターとムーグの流れるようなかけあいがカッコいい。
リズム・セクションも躍動感にあふれ、緊密にしてグルーヴィな演奏が楽しめる。
後半テンポ、音量を落とした後はフレットレス・ベースもフィーチュア。
ISOTOPE や FERMATA に通じる痛快なジャズロックである。
「La Flamenca Electrica」(5:56)クラヴィネットのイントロ、ギターによるテーマがややクラシカルなイメージを与えるも、再び、一気にスパニッシュなエモーションあふれるフラメンコ・ジャズロックへと展開する。
ベンディングでコブシを効かすムーグやベースのパターンなども含め、RTF に酷似。
ギターは、メロディアスなプレイと突っ込み気味の速弾きを効果的に使い分けている。
終盤のシンセサイザーとギターのユニゾンによるスパニッシュ・テイストあふれる演奏もカッコいい。
最後は、開放感あるテーマが復活する。
タイトル通りフラメンコの特徴を活かした聴きやすい作品だ。
「A Valencia」(8:45)
愛らしきエレピの演奏にギターとドラムスがアクセントするロマンティックなオープニング。
ややファンキーなノリも入れ込んだ演奏が続く。
引いたり押したりが繰り返される、面白い演奏だ。
再びエレピによるメローなテーマへ。
ギターも快調ながらも、なぜか奥へ引っ込んでいる。
ストリングスの高まりとともに、全体に元気が出てくる。
再び、ややファンキーな調子を取り戻し、ムーグによるブルージーなソロへ。
ベース、ドラムスの存在感も強い。
なぜか本曲はノイズが酷い。
「11/8」(6:54)冒頭でドラムスをフィーチュアするスリリングな快速変拍子ナンバー。
タイトル通り 8 分の 11 拍子が刻まれ、その上でギターが奔放に暴れまわる。
ムーグとギターによるブリッジ風のデュオをはさみつつ、爆発的なギター・ソロが続いてゆく。
身悶えるような上昇音形のユニゾン・リフレインを経て、ムーグ・ソロ。
こちらもスピード感満点。
後半、エキサイトするドラムスにドライヴされてひた走る演奏がカッコいい。
このワイルドさ、やはり ISOTOPE をスパニッシュにした感じじゃないだろうか。(それは RTF だろ、といわれると二の句がないですが)
(ACTUAL RECORDS CD 80 2025-02)
Joaquím "Max" Sunyer | electric & acoustic guitar |
Josep "Kitflus" Mas | electric & acoustic piano, clarinet, synthesizer |
Jordi Colomer | drums |
Primitiu "Primi" Sancho | bass |
77 年発表の第三作「Sentiments」。
サウンドは完全にハードなジャズロックへとシフト。
「第七銀河」の RETURN TO FOREVER (ムーグがあるので正確には「銀河の輝映」か)や MAHAVISHNU ORCHESTRA のようなアグレッシヴなテクニックの粋をこらした演奏である。
これらの大御所と同じく、後年のいわゆる「フュージョン」と比べると、ギターやドラムスに象徴される通りサウンドにハードロック的な荒々しさがある。
スパニッシュなメロディは RTF への憧れプラス自らの血のなせる業なのだろう。
ギター、キーボード、ベース、ドラムス、すべてのプレイがゴリ押しの超絶モノであり、爆発的なソロとともに強引にユニゾンを決めまくる演奏にはもう唖然とするしかない。
作品も、ハードロックに近いインパクトをもつものからメロディアスなものまで多彩である。
そしてそのどれもが、すさまじい圧力と濃厚さで迫ってくる。
前述の二つのグループ含め、欧米のグループと比べて全く遜色ない、ひょっとすると凌ぐかもしれない傑作。
細かくいうとギターはマクラフリンがハムバッカーを持った感じに近く、シンセサイザーはどちらかといえばヤン・ハマー、ドラムスはコブハムほどはジャジーなところがない。
「Sentiments」(1:50)
「Andalusia, Andalusia」(5:37)
「A Sevilla」(5:13)
「Ball De Les Fulles」(5:30)
「Magic」(6:23)ユーモアの効いたファンキー・ポップ・チューン。
ゴツイ演奏なだけにくだけた感じも悪くないです。
「Joguines」(3:00)
「Alegries Del Mediterrani」(9:17)
(ACTUAL RECORDS CD 80 2024-02)
Joaquím "Max" Sunyer | electric guitar |
Josep "Kitflus" Mas | electric piano, synthesizer |
Jordi Colomer | drums, percusson |
"Primi" Sancho | bass |
78 年発表の第四作「En Directe」。
エレクトリック・ピアノと攻撃的ながらもしなやかなギターがやや硬めの弾力あるリズムの上で自由闊達に走り回る好ライヴ盤。
内容は、エッジの効いたフュージョン。
全編、伸びやかでオプティミスティックな調子がいい。
グルーヴィなフュージョンにハードロック的なスリル、サラセンの幻想性や浪漫が盛り込まれて、一ステージ上の音楽として不易な輝きを放つ。
マックスのカッティングによるバッキングとソロの切りかえが勉強になります。
「Oh! Un Ànec Sìmfonic / Ones」(17:40)ドラムスがよく録れているので迫力あり。
後半の爽やかでロマンティックな展開もいい。
「Cançò Per Qualsevol Orquestra」(7:03)ライヴらしさ満点のファンキー・チューン。
「Històries」(10:54)RETURN TO FOREVER と MAHVISHNU ORCHESTRA が合体したような、スピード感とファンタジーあふれる作品。シンセサイザー・ソロは圧巻。最後でブッツリ切れてしまうのが残念。
(ACTUAL RECORDS CD 80 2023-02)
Primi Sancho | bass |
Jordi Colomer | drums, percusson |
Josep "Kitflus" Mas | electric & acoustic piano, synthesizer |
Joaquím "Max" Sunyer | electric & acoustic guitar |
79 年発表の第五作「Arc-En-Ciel」。
ライヴ盤に続くスタジオ四作目。
内容は、中期 RETURN TO FOREVER によく似たラテン/サラセン系ジャズロック/クロスオーヴァー。
ワイルドかつセクシーにして涙を一杯にためたようなセンチメントが魅力のギター・プレイを中心にしたテクニカルな演奏である。
キーボードも、70 年代らしいアナログ・シンセサイザーでヤン・ハマーを上品にしたような華麗なベンディング・プレイを放ち、70 年代にはソウル、R&B を守り立て AOR な 80 年代を導いた透明感あるストリングス・シンセサイザーでギターやリズムを優美に抱き、彩ってゆく。
ギターとキーボードはまるで情熱にかられた若い男女のように刺激しあいながらテンションを高めてゆき、やがて、すべての音が大空へと舞い上がり、一つになって風を巻き、目のくらむスピードで飛翔してゆく。
情愛に満ちた音はエネルギーの奔流となってリスナーの本能を刺激する。
IMAN と同じく、いわゆるフュージョンとはニュアンスの異なるシンフォニック・テイストがあるところも特徴だ。
全体として、サウンドとそれで描こうとするものがぴったりとマッチした極上のファンタジック・ジャズロックである。
「El Caminant Nocturn」(8:21)甘めの名曲。
「Cantics Die La Carn」(11:18)
「Riu D'Agost」(7:41)アコースティック・ギター、ピアノをフィーチュアしたモロ RETURN TO FOREVER な作品。
不思議なことに本家よりもスパニッシュ・テイストが希薄で、むしろクールである。
息せき切るようなプレイの連続にもかかわらず余裕を感じさせる。
「Embrujo」(6:14)
「Crisalide」(6:30)
(ACTUAL RECORDS CD 80 2022-02)
Max Sunyer | electric & acoustic guitar |
Josep "Kitflus" Mas | electric & acoustic piano, strings, synthesizer |
Avalo Is | electric piano |
Caries Benavent | bass |
Santi Arisa | drums |
Tito Duarte | flute, soprano sax, percussion |
Santi Arisa | drums |
79 年発表の作品「Babel」。
マックス・スゥーニェのソロ第一作。
内容は、アル・ディ・メオラを思わせる猛烈な速弾きギターがリードするエネルギッシュかつロマンティックなジャズロックである。
RETURN TO FOREVER や WEATHER REPORT と共通する濃密で深いファンタジーを抱えた作風である。
不思議なことに本場ラテンであるにもかかわらず(というか本場だからこそ)、いわゆる「フュージョン」の似非ラテン臭さはなく、熱く高貴なロマンがストレートかつエレガントに伝わってくる。
アメリカばかりを向いていた日本のリスナーはバッタもんで誤魔化されていた可能性が高い。
マックスのギターは無造作なようでいてなめらかに歌う達人の技である。
2 曲目はジョー・ザヴィヌルの名曲「In A Silent Way」。
3 曲目は、フランシスコ・ターレガやミゲル・リョベートを思い起こさせるカタロニア民謡のアレンジ。官能的なギター・ソロが繰り広げられる。
「Autopista」(10:30)
「D'una Manera Silenciosa」(9:50)
「Reflexions (A Sobre D'una Canco Anonima Catalana)」(5:47)
「Les Maquinaries De L'alegria」(5:45)
「Jo Crec」(9:00)
(ACTUAL RECORDS CD 80 2021-02)