イタリアのヴァイオリニスト・管楽器奏者「Mauro Pagani」。 1946 年生まれ。P.F.M のオリジナル・メンバー。
Mauro Pagani | violin, viola, mandolin, recorder, bouzouki |
78 年発表のアルバム「Mauro Pagani」。
内容は、AREA と同じくロックにおいてルーツ・ミュージックである地中海音楽を探求した一つの成果である。
逞しいリズムがドライヴする祝祭的なアンサンブルに切れ味鋭いインプロヴィゼーションが注ぎ込まれて火花を散らす。
アコースティックなサウンドがフロントに立つがリズム・セクションや鍵盤には惜しげなくエレクトリック・サウンドも用いている。
ジャズロック調の作品ではコンテンポラリーなセンスも見せつける。
それでも基本はミステリアスで生命力あふれる中近東の音である。
パガーニはヴァイオリンのみならずフルート、ブズーキまでを自在に操る。
AREA や P.F.M のメンバーも参加。
この人はどちらかと言えば AREA 寄りの人だったようだ。(尤も、P.F.M での異分子としての存在がバンドの音楽性を高めたのだが)
「Europa Minor」(6:01)かなり AREA な民族変拍子ジャズロック。
好き勝手なオーボエがカッコいい。
パガーニはヴァイオリンでアグレッシヴなインプロを放つ。
タヴォラッツィのフレットレス・ベースがイイ感じ。
パルマと音程パーカッションで一気にサラセン化。
「Argiento」(4:40)女性ヴォーカルをフィーチュアした民俗音楽。間奏のオーボエのインプロとブズーキのデュオがいい。
「Violer D'Amores」(2:39)ヴァイオリン・ソロ。複弦を付加したのかオクターヴァーか、ハーディガーディのような音にしている。
「La Citta Aromantica」(3:32)ムッシーダのギターが MAHAVISHNU ORCHESTRA 風だが、全体としては ARTI E MESTIERI というべきか。
生の険しさがつきまとうフォークロアが主となるアルバムだがこの曲だけは素朴な華やぎが感じられる。
数年前にこの作風でまとめたら欧米でヒットしたに違いない。地中海フュージョン。
「Le Albero Di Canto (Part 1)」(4:49)特異なヴォーカルとジャジーなピアノのせいで序盤は完全に AREA。
ヴァイオリンで持ち直すも走り出すとやはり AREA。
タヴォラッツィのフレットレス・ベースがいい仕事をする。地中海変拍子ジャズロック。
「Choron」(5:22)縦笛フルート・ソロと音程パーカッション、ヴァイオリンのトリオの二部作。乾いた民俗音楽。
「Il Blu Comincia Davvero」(5:12)12 弦ギターとブズーキのデュオ。PENTANGLE のようなフォークっぽさ。
「Le Albero Di Canto (Part 2)」(3:22)ヴァイオリンとホーミーのデュオで Part 1 のテーマを再現。
(ASC 20093 / AMCE-557)