イタリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「PHOLAS DACTYLUS」。72 年結成。73 年解散。 作品は一枚。 2018 年再結成。アヴァンギャルドな感性に賭けた唯一作で知られる。
| Paolo Carelli | vocals |
| Eleino Colledet | guitars |
| Valentino Galbusera | keyboards |
| Maurizio Pancotti | keyboards |
| Rinaldo Linati | bass |
| Giampiero Nava | drums |
73 年発表のアルバム「Concerto Delle Menti」。
煽情的なポエトリー・リーディングをヘヴィな伴奏が盛り立てるトータル・アルバム。
A 面パート 1、B 面パート 2 の 50 分近い大作である。
精緻でダイナミックな演奏に取り巻かれた演劇調の抑揚をつけたスタイルの朗読は、さながら現代の吟遊詩人の趣がある。
言葉が分からないために確信はないが、レニー・ブルーズのような過激なアジテーション、プロテストに感じられるところもある。
一方、演奏は、オルガン、ピアノのツイン・キーボードとワイルドなギターを中心としたヘヴィなサウンドのアンサンブルによるシンフォニックなもの。
特徴は、すべてのパートの旋律が立体的なハーモニーを構成する全体演奏と鋭いソロの巧みなコンビネーション、泥酔気味で大胆な乱調アドリヴ空間、
ラウドなエレクトリック・サウンドとリリカルなアコースティック・プレイの巧妙な対比、執拗な反復と変則リズムが生み出す歪で波乱含みの調和、アジテーションとささやくようなモノローグの落差など。
これらを主にして場面展開するところは典型的なプログレッシヴ・ロックのスタイルである。
特に、オルガンによるクラシカルかつジャジー、奔放なプレイはキース・エマーソンの影響がありあり。
一方ギターは、音こそ下品だが、プレイそのものはかなり破天荒でおもしろい。
アウト気味の音をふんだんに使って無理やり気味にフレットを駆け回るスタイルは、あたかもスティーヴ・ハウがロバート・フリップの真似をしてるようだ。
また、モダンな和声によるせわしないユニゾンを多用し、反復パターンを強制して緊張を高めるのも得意技だろう。
さて、楽曲は両面ともほとんど無窮動といってよく、さまざまな種類の演奏が目まぐるしく矢継ぎ早に繰り出される。
大胆な気紛れ、思いつきにバックグラウンドらしき現代音楽やジャズが立ち現れてこれだけの時間をもたせている。
この力量はただごとではない。
残念なのは、匂いたつような神秘性はあちこちにあるのに、全体を象徴するイメージが今ひとつ浮かびにくいことだ。
同様な手法でみごとにトータルイメージを提示している OSANNA の名作と比べるとやや分が悪い。
もちろん、言語の壁のために、主役のポエトリー・リーディングの機能性を十分に受けとめられていないわたしにも責任の一端はある。
詩の内容をその「響き」も含めてかみ締めることができれば、他国でももっと高い評価を得られる内容なのかもしれない。
MAGMA レーベルの ALPHATAURAS に続く第二弾。プロデュースは STUDIO G。
シングル化不可能な作品ながら、抜粋再構成したシングルはあるようだ。
「Concerto Delle Menti(Prima Part)」(29:15)意外なほどジャジーで軽めの導入部、ここでしっかりシートベルトを確認しておきましょう。
中盤の変拍子のリフが駆動するサイケデリックで破天荒な空間的ブリッジに迫力あり。後半は大胆過ぎる音響的即興からスタートし、やがて回帰した穏やかな演奏の詩的感興に酔う。
「Concerto Delle Menti(Seconda Part)」(23:51)現代音楽調やジャジーな展開、奇天烈アジテーションなど眼前を巡るパノラマのごとく振り回されるままに楽しむべき。それでも後半は迷路に入る。
(MAGMA MAGL 18002 / VM 041)