RIPAILLE

  フランスのプログレッシヴ・ロック・グループ「RIPAILLE」。作品は 78 年 の一作のみ。第二作も録音はされたらしい。トラッド・フォークをエレクトリック・サウンドで現代的に変容させたユニークな音楽。

 La Vieille Que L'on Brula
 
Jo Courtin accordion
Patrick (L'Oisao) Droguet acoustic & electric guitar, triangle
Pierre Holassian alto sax
Jacquy (Blet) Thomas bass, synthesizer, vibraphone, tambourine, vocals
Hughes De Courson drums, crumhorn
Michel (Pépé) Munoz drums, cymbal, percussion
Patrick (Niais) Audouin grand & electric piano, synthesizer, spinet, acoustic guitar, tubular bells, percussion, cymbal, vocals
Gégé (Le Petit) Duchemann lead vocals, synthesizer, string ensemble, spinet
Alain <Guignol> Hergouarc'h tambourine
Robert Le Gall violin
Emmanuelle Parrenin triangle, vocals

  78 年発表のアルバム「La Vieille Que L'on Brula」。 内容は、トラッドでアコースティックな弾き語り感覚を素地にさまざまな「揺れ」を盛り込んだ一種のエレクトリック・フォーク。 フォーク風のメロディやハーモニーをベースにして、宮廷室内楽やジャズを取り込み、さらにはシンフォニック・ロックやエレクトロ・ポップといったコンテンポラリー・ミュージックにまで手を広げて大胆な応用を利かせている。 アコースティック・ギター弾き語りや室内楽風のヴァイオリンにパイプ風にアナログ・シンセサイザーの電子音がからむ。 それなのに、ペーソスや郷愁はむしろ強まっているところが面白い。 そして、バロック・トランペットの代わりを務めるアナログ・シンセサイザーにも本物を越えた雅な味わいがあったりする。 この「偽物による本物感」または「チープなシミュレーションの生む妙なリアリティ」というのはどう考えればいいのだろう。 おそらく、メロトロン・ストリングスの音には本物の弦楽奏の音だけではなくそれを SP 盤に封じ込めたときの郷愁やペーソスまでが含まれていて、より胸を打つ、というのと同じことではないだろうか。 いつの間にかフォークを遠く離れて、10CC のように都会的なノスタルジーを醸し出すポップスへと変容していくこともある。 初期 KING CRIMSON に通じる薄ら寒い幻想味もあるし、EMMANUEL BOOZ のようなアジテートする「怒りのフォーク」もある。 かと思えば、思い切り田舎の祭囃子風の土臭い音もある。 原初的な土着性と電子音が交錯するという点でジャーマン・サイケ・フォークにも近い世界にあるようだ。 何にせよ、きわめてユニークな作風である。 クラムホルンの音を聴いたのは、GRYPHON 以来です。 プロデュースは、ユーグ・ド・クールソン。 レーベル・メイトのエマニュエル・パールナンも参加。 ヴォーカルはフランス語。

  「Fils De La Lune」(4:35)
  「Le Jardin Des Plaisirs」(5:35)
  「Il N'y A Plus Rien」(3:28)
  「Satané Jardin」(2:39)
  「La Veuve De Nicolas Kremer」(5:10)
  「Le Sabbat Des Sorciéres」(3:54)
  「Les Loups」(2:48)
  「La Vieille Que L'On Brûla」(3:54)
  「Epilogue」(4:18)
  以下、MUSEA CD のボーナス・トラック。
  「Ah, Faut Profiter (N.N.C.O)
  「Gratis Et En Plein Air
  「Les Chameaux
  
(BALLON NOIR 3 / FGBG 4231.AR)


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