イタリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「SPIROSFERA」。 作品は一枚。LIZARD レーベル。
Johnny Berto | drums, percussion, effect |
Giorgio Brubnone | bass, keyboards, Hammond, Mellotron |
Mirko Baruzzo | guitars, effect, altered piano, altered guitar |
Nocola Pavan | vocals, chorus, vibraphone |
guest: | |
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Nicola Genovese | contralto sax, eco-voice, sequencer, effect |
Michele Brieda | Hammond, Korg MS20, effect |
Sara Alba | vocals |
Roberto Scarpa | effect |
96 年発表のアルバム「Umanamnesi」。
内容は、AREA、P.F.M、後期 KING CRIMSON の影響色濃いへヴィ・プログレ。
プログレ・メタルというよりは、往時ブレイクしていたレーベル・メイトの DEUS EX MACHINA と同系統の前衛テクニカル・ハードロック系である。
(特に、濃い目の表情を得意とし一時も黙っていられないヴォーカリストはアルベルト・ピラスへの意識が明らか)
演奏で目立つのはヘヴィなギターと存在感抜群のヴォーカリストだが、音楽としては、和声やリズムの脈絡を広角にとらえて、アンサンブルの構造を複雑に工夫したテクニカルなものである。
そしてその総体が生み出すイメージは、モダンな邪悪さ、悪辣さ、エキセントリックさである。
基本的に、弾力に富んだリズム・セクションに支えられてフロントが音楽的無茶をしまくっており、まさに往年の LED ZEPPELIN と同じ流儀だが、無茶の範囲が、不協和音やリズム・チェンジ、ミニマリズム、即興演奏などかなり広い。
別の言い方をすると、頓狂なリード・ヴォーカリストが、調性のぶっ飛んだ歌唱メロディを使って大胆に発展したがるアンサンブルを収束させる役割を果たしている、ということだ。
アヴァンギャルドな方向へと進むも、AREA ほどジャズ、ジャズロックには寄らず、あくまでヘヴィ・ロック、ハードロックに踏みとどまるところも特徴だろう。(最終曲の後半では本家ばりの即興演奏とヴォイス・パフォーマンスも披露する)
変拍子とともに演奏がギクシャクするのがシナリオ通りなのか破綻しているのかがにわかに分からないばかりか、しばらくするとカッコよく聴こえてくるから大したものである。
イタリアン・ロックの一つの大きな特徴である「強引さ」をしっかりと備えているということだ。
スタイリッシュなものを目指しつつもヘヴィなギターのパターン反復がいつしかユーモラスな響きを生んでしまうあたりに、このグループの個性を感じる。
個人的にはサックスが加わった演奏が目指している楽想をよく表現していると思う。
技巧的にはやや背伸びしすぎな感あるも、70 年代イタリアン・ロックと同質の情熱とインテリジェントな冒険心があふれる力作。
本作品が旧 LIZARD レーベル(現 LIZARD RECORD)の配給第一号。
「Babele」(4:09)いきなり CRIMSON。
「Alienazione」(6:27)
「Ossessione」(6:42)
「Pensiero」(6:08)
「Io Come Io」(5:38)
「Pecula Copula」(2:37)
「Emanamnesi」(5:10)
「Un Tempo Lontano」(5:44)
「Deteoria」(15:19)力作。デメトリオ・ストラトス風のヴォーカル・パフォーマンスあり。
(LIZARD 5490012)