フランスのプログレッシヴ・ロック・グループ「STRAVE」。 MAGMA に強い影響を受けたドラマー、セルジュ・ブランゴルフのグループ。作品はソロ名義とライヴ盤を含めて三枚。80 年始動。83 年解散。
Serge Bringolf | drums, perscussion, sax, vocals | ||
Richard Muller | vibraphone | Francois Grillot | bass |
Jean Golanet | trumpet, bugle | Philippe Gisselmann | alto, baritone, tenor & soprano sax |
Pascal Beck | trombone | Michael Nick | violin |
Mary Cherney | flute | Jurgen Roth | alto flute on 4 |
Mano Kuhn | vocals |
80 年発表のアルバム「Strave」。
ブランゴルフのソロ名義だが事実上のグループの第一作。
内容はコンテンポラリー・ジャズ寄りの ZEUHL ミュージック。
モダンジャズからエレクトリックジャズ、フュージョンまでを MAGMA、カンタベリー的な表現で串刺しにした作風である。
シンコペーションによるグルーヴを得意とする。
奇数拍子、反復、ソプラノ・スキャット、暴力的な重低音、ヴィヴラフォンといった表現は典型的な MAGMA フォロワー・スタイル。
他のフォロワーと一線画すのは管楽器(特にトランペット)の純フリー・ジャズなプレイ、アフリカンなパーカッションなど。
重量感や逸脱感はさほどでなく、カラフルでまとまりのいいアンサンブルとわりと直球のアドリヴが印象的。
もう 5 年早く出ていたら注目度が違っただろう。
スキャット以外はオール・インストゥルメンタル。
オリジナル LP は二枚組。
現行 CD はスリーヴ上の 2 曲目以降の時間表示が誤っている。
「Delire 1-3」(16:32)第一部はランニングベースの MAGMA。第二部は 5 拍子でスキャットをフィーチュア。軽い圧迫感もあって、より MAGMA 化。テーマが明朗なため本家のような呪術的なムードはない。第三部はヴァイオリンをフィーチュア。シンコペーションによるファンキーなジャズ・ビートにミステリアスに絡む。
「Strave 1-2」(19:13)第一部は 8 分の 6 拍子のアッパーで宙を走るように疾走感のあるカンタベリーっぽい作風。フルート、鉄琴、ヴァイオリンをフィーチュア。中間部は 8 ビートのマニッシュなリフにスキャットも加わって謎めいてゆく。
第二部はまずはドラムス・ソロ。後半は RETURN TO FOREVER + エルトン・ディーン化。終盤はまたも MAGMA へ。
「Utopie」(17:57)前半はパーカッションが導くよどみなくもどこかとりとめないアンサンブル。堅調だが緩めのリフの上でパワフルな管弦楽器のレガートが閉塞的で怪しげなうねりを成す。ヴァイヴが活躍。この「豪腕による脱力」は独特。
後半はまたも RTF 風のベースのリフの上でフルート、管楽器らがさえずるジャズロックでスタート。ベースのリードでさまざまに展開するももう一つ盛り上がらず。
「Jodwernssen」(14:21)チェンバー・ミュージック風味のあるビッグバンドジャズ。込み入った変則的なリズムの上で管弦、スキャットが一つになる。リズム・パターンの変化を繰り返していく。7:30 辺りからのプログレまっしぐらな展開はどこかで聴いたような。終盤は気だるくよどむ、突き抜け感のない演奏。ミステリアスというには今一つ雰囲気の焦点が定まらない。
(OM 67016 / SOLEIL ZEUHL 27)