ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループ「ZEBULON」。作品は一枚。 CAMEL 直系のロマンティックなインストゥルメンタル・ロック。
Ollie Ernst | keyboards |
Michael Krenke | bass, siefkophone |
Thomas Krenz | guitar, percussion |
Micky Schmidt | drums, percussion |
80 年発表のアルバム「Zebulon」。
内容は、華やぎと温かみのあるファンタジックなシンフォニック・ロック・インストゥルメンタル。
CAMEL や NOVALIS らに通じる、穏やかで優美、ときにジャジーなしなやかさもあるロックである。
レスポール系の饒舌で太い音色のギターと透明感あるキーボードによる互いに高めあうようなコンビネーションとロマンティックなテーマをシャープなリズムで支える作風は、70 年代中盤から多くのプログレ・バンドが採用したスタイルである。
軽やかでナチュラルな変拍子パターンや緩急などアンサンブルや展開は、CAMEL を大いに参考にしているようだ。
ロックの攻撃性を代表するハードなギターやヘヴィなリズム、またスリルを演出するたたみ込むように忙しないインタープレイも要素として存在しているが、カラフルなキーボード・サウンドと親しみやすいメロディを基本にしたアンサンブルによる丹念な演奏が、音楽全体にクラシカルで愛らしいイメージを与えている。
逆にロック的なファクターは、メロディアスで優美なシンフォニーを単調にしないためのアクセントやメリハリとして機能している。
エレクトリック・ジャズの発展とロックとの合流、そこを経たフュージョンの隆盛の影響を受けて、多くの技巧派のバンドがジャジーなインストゥルメンタルへと傾倒したが、この作品もやや遅れて現れたそういう流れにあるものだろう。
そして、元来ドイツ・ロックにある濃密なロマン指向がその流れに交わり、本作品のようなメロディアスでファンタジックなジャズロックを生み出したのだ。
アコースティック・ギターの使い方は GENESIS に倣っているようだが、マジカルなサウンドとシンプルなフレーズで雰囲気をみごとに作り上げるキーボードのセンスは、ピート・バーデンスに近い。
ブルージーによく歌うギターと星を掃くようなシンセサイザーが暖かくポジティヴなヴァイヴレーションでリスナーを包み込む。
このスタイルからして、本作はおそらく誰かの一生の愛聴盤になり得る。
内容から推量するに、製作からかなり遅れて発表された作品ではないだろうか。
「Opium Haut Opi Um」(5:32)
「Crazy Marck」(4:16)
「Pudding Explosion」(9:11)CAMEL そっくりの力作。
「Walpurgisnacht」(6:06)「ワルプルギスの夜」
「Galappagos」(4:30)傑作。
「Schwanenflug」(4:35)ストリングス・シンセサイザーが美しいファンタジックな作品。謎の楽器 "siefkophone" を使用しているそうだ。
「Zombie D`Amour」(5:18)
(PR E605)