INDEXI

  ボスニアヘルツェゴヴィナのロック・グループ「INDEXI」。 62 年結成。 初期のビートグループからプログレ時代を経て、90 年代も活動した。 2001 年リード・ヴォーカリスト、ダヴォリン・ポポヴィックの逝去に伴い解散。

 Modra Rijeka(Blue River)
 
Davorin Popovic 
Fadil Redzic 
Nenad Jurin 
Dorde Kisic 
Sobodan A.Kovacevic 

  78 年発表の第四作「Modra Rijeka(Blue River)」。 ポップ・アーティストとしてのキャリアをもつグループが、さらなる表現の可能性を求めて、 ユーゴを代表する詩人 Mak Dizdar の作品にインスピレーションを求め、ロックにより幅広い芸術的要素を取り込むことになった作品である。 ユーゴスラヴィアの政情には全く不案内だが、アーティストの気概に国境や言語はさほど関係ないだろう。 この作品も、高度なプロフェッショナルによって生み出されたに違いない。 英米の影響をゆっくり、がっちりと吸収し、自らの土壌と体質に染み込ませた上ですくい上げた、叙情的なサウンドである。
   内容は、ソウフルフルなヴォーカルとギターによるリズミカルな曲調にシンセサイザー、オルガンで広がりをつけたポップなシンフォニック・ロック。 音色は 70 年代中盤以降のものであり、英米との時間差はまったく感じない。 動きのある場面ではテクニカルなベースが大いにリードし、叙情的な場面を支えるのは、技巧派アコースティック・ギターによるエキゾチックなプレイとファンタジックなキーボードである。 印象派風のピアノも美しいし、アナログ・シンセサイザーも的確に使っている。 楽曲は、テクニカルなシンフォニック・チューンから、ロックンロール、バラード、フォークソングまでさまざまであり、アルバムを一貫する色調はない。 しかし、安定感のある高度なアンサンブルに個性的なプレイを散りばめ、メロディアスなインストゥルメンタル中心に進むスタイルは、プログレ・ファン向けといっていいだろう。 優美なインストゥルメンタル・パートと比べて、ヴォーカル・パートがアッケラカンとキャッチーなところもおもしろい。 ヴォーカルは、おそらくクロアチア語。 デレク・シャルマンとケリー・ミネアのように、硬軟声質の異なる複数のヴォーカリストがいるようだ。 メインの作曲家も二人おり、おそらくこの二人が自らの曲を歌っていると思われる。
   イタリアン・ロックの歌ものファンや 70 年代のメインストリーム・ロックのファンにはお薦め。 あまり期待しなければ、おそらくかなり驚かされる出来映えです。 、

  「Modra Rijeka」(1:01)おそらく本作のテーマである詩の朗読。
  
  「Blago」(4:02)GENTLE GIANT にきわめて似たテクニカル・ロック。ギクシャクしたテーマ演奏に対して中盤のオルガンの受けがいい感じだ。エフェクトしたベースが大活躍でリードする。 テーマ部が、GENTLE GIANT の「Runaway」に酷似。
  
  「Brod」(4:58)オルガン、シンセサイザーなどのキーボードによるクラシカルかつフォーキーな調子とロケンローが一つにつながった面白い作品。抒情的な場面の説得力がみごと。ジェットマシン、フランジャー系の音が特徴的。
  
  「More」(11:17)テクニカル器楽を生かしたドラマティックなプログレ大作。序盤では再びベースがギター並に活躍し、GENTLE GIANT そのもの。 ゲイリー・グリーンばりの超絶的なアコースティック・ギターや弦楽、ピアノ、ジャジーなオルガンもフィーチュアされる。 中盤のピアノによる近現代クラシック風のファンタジックな演出がいい。 スケール感が YES に通じる。 傑作です。
  
  「Zapis O Zemlji」(0:38)朗読。
  
  「Slovo O Covjeku」(5:51)イタリアン・ロックによくあるタイプの、牧歌的でノスタルジックな響きのある作品。 しみじみといい味わいです。
  
  「Pustinja」(4:30)一転して、70 年代後半らしい、ジャジーだがややサブアーバンなポップ・チューン。キーボードが多彩。
  
  「More II」(4:18)リズミカルなギターのコード・ストロークに支えられたシンセサイザーとサスティンの効いたギターで進むミドル・テンポの勇ましいインストゥルメンタル。 得意のベース・ソロやジャジーなオルガン・ソロも交える。 タイトルからして A 面の大作のパート II でしょうか。 キーボードのプレイやアレンジは EL&P 風。 テープ逆回転風のテーマが「古新しく」ていい。
  
  「Modra Rijeka」(6:52)悲歌風ながらもエレガントで劇的なバラード。サビではテクニカルなアンサンブルが弾け、伊ロック的盛り上がりが再び。管弦楽も参加。木管の調べが哀しくも美しい。MAXOPHONE 辺りと通じるセンスです。
  
(NARATON CD 012)


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