RAMSES

  ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループ「RAMSES」。 72 年結成。作品は五枚。ドイツロックらしさあふれるロマンティックな作風。

 La Leyla
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Hans D. Klinkhammer bass
Reinhard Schröter drums, percussion
Norbert Langhorst guitar
Winfried Langhorst keyboards, vocals
Herbert Natho vocals

  76 年発表のアルバム「La Leyla」。 内容は、メロディアスで甘めのタッチのシンフォニック・ロック。 誠実なのに不器用な垢ぬけなさがあり、甘ったるいのに粗削り。 ストリングス系シンセサイザーとともにオルガンも駆使するところ、レスポールらしいなめらかで太目のトーンで泣くギター、ファルセットのスキャットなど 70 年代前半のムードが色濃い。 DEEP PURPLE 辺りのクラシック寄りハードロックの影響が強そうだ。 星を吹き上げるようなシンセサイザーとドロドロと湧き上がるオルガンとノイジーな反復など、下手をすると 60 年代末のサイケデリック・ロックの残滓もありそうだ。 そのあたりも含め、ELOYWALLENSTEINNOVALIS とも共通する感覚がある。 同国ではないが EELA CRAIG も思い浮かぶ。 70 年代中盤のロックの大人化、つまり AOR、シティポップス的な洗練とは一切無縁である。 かと思うとジャズロック、フュージョンの片りんを見せるところはあって、おもしろい。 一曲目の垢ぬけなさや一本調子のミドルテンポに耐えられれば、以降はハードに攻めたり重々しく迫ったりドラマティックに展開を広げたりと多彩な表情を楽しめる。 キャッチーなメロディラインなのにどこか面映ゆくカマトト風なところは南米ロックとも共通する。 ヴォーカリストの力量不足は英語での歌唱というハンデを考えれば仕方がないのだろう。 ヴォーカルは英語。 プロデュースはコニー・プランク。

  「Devil Inside」(4:45)この泣きのテーマのもっさり感が本作全体を象徴している。中盤のジャズロック的な展開が意外だった。
  「La Leyla」(7:25)クラシカルなハードロック寄りの表現が主。BEGGARS OPERA のような VERTIGO オルガン・ロックの系譜でもある。メロトロンもあり。
  「Garden」(5:03)BARCLAY JAMES HARVEST を思わせるフォーキーなポップ・チューン。シングル向き。
  「War」(6:25)邪悪系ハードロックもどき。
  「Someone Like You」(8:13)初期 URIAH HEEPCAMEL 風のエモーショナルなシンフォニック・ロック。メロトロンフルートが印象的。
  「American Dream」(5:00)乱調美、分裂症気味の作品。印象には残る。
  
(SKY 002)

 Eternity Rise
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Hans D. Klinkhammer bass
Reinhard Schröter drums, percussion, backing vocals
Norbert Langhorst guitar
Winfried Langhorst keyboards, vocals
Herbert Natho vocals

  78 年発表のアルバム「Eternity Rise」。 内容は、前作のハードロックっぽさを取り除いて、よりメロディアスにハーモニックに洗練したシンフォニック・ロック。 たった二年ですっかりあか抜けた。 大きな変化である。 薄味化をそのまま淡く格調あるポップ・テイストに切り替えることに成功している。 豊かな音色のバッキングと美しいオブリガートなど、キーボードだけではなく管弦楽のサポートも得ているようだ。 ヴォーカルは英語。ファルセットがよくなった。 プロデュースはグループ。

  「City Life」(4:17)メランコリックだがメロディアスなシンフォニック・ロック。サビの甘いハーモニーなどポップ・テイストが顕著。 金管楽器の音が印象的。
  「Only Yesterday」(6:00)前作の作風に近いがギターやオルガンのリフやオブリガートがすっきりしている。凝ったリズム・チェンジを繰り返すアンサンブルもキレがいい。 イントロのポリフォニック・シンセサイザーが印象的。 YES 的な際どさと変化に富むプログレッシヴな作品だ。
  「Time」(5:10)ヘヴィなオルガンが唸ってハードロックに回帰するかと思ったが、寄り添うピアノとギターが格調を高めて、いつしか気高きバラードへ。オルガンも教会化。ドラミングやオルガンの唸りのせいで今にも凶暴化しそうだがなんとか穏やかな雰囲気を保ってゆく。
  「Windy」(4:27)アコースティック・ギターをフィーチュアしたフォーキーかつシンフォニックな歌もの。光のヴェールのように透明感あふれるストリングス・シンセサイザーの響き。ピアノが時にエレガントに時に力強く取り巻く。
  「Agitation Play」(4:56)渦を巻く荒々しい序章からオルガンとギターがリードする勇壮なアンサンブルへ。シャフル・ビートで突き進む。 タイトル通り、扇動的に迫るオルガン、ドラミング、そしてギター。抑えていた DEEP PURPLE 趣味がここで突出する。オルガン・ファンは満足か。インストゥルメンタル。
  「Eternity Rise」(10:59)バンドが一体となって繰り広げる力強い演奏がいい。クライマックスがずっと続く。ベタベタだが名曲。
  
(SKY 020)


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