LIFT

  アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「LIFT」。 72 年結成。 79 年解散。 作品は一枚。 2001 年、活動全期にわたる音源を CD 化。

 The Moment Of Hearing
Chip Gremillion keyboards
Chip Grevemberg drums, percussion, vocals
Cody Kelleher (1-3) bass, bass pedals
Richard Huxen lead & steel & 12 string guitars
Courtenay Hilton-Green (1-3) vocals, flute
Mike Mitchell (4-8) electric & acoustic guitars, Mellotron
Tony Vaughn (4-8) bass, bass pedals, vocals
Laura Poppy Pate (4-8) lead vocals, synthesizer

  2001 年発表のアルバム「The Moment Of Hearing」。 74 年発表(90 年に CD 化)の「Caverns Of Your Brain」(右側のジャケット)に未発表音源を追加した決定盤。 内容は、「サード・アルバム」YES 直系のテクニカルなシンフォニック・ロック。 女性のようなハイトーン・ヴォイス、ハーモニー、手数の多すぎるドラムスとリッケンバッカー・ベース、メロトロンやムーグ・シンセサイザーなど多彩なキーボード、などによる、スピーディにして込み入った変拍子アンサンブルが特徴である。 跳ね回るようなリズムとともに、長調によるクラシカルなフレーズも駆使した、王道的、典型的な演奏である。 また、2 曲目では、8 分の 6 拍子でけたたましく攻め立てる EL&P ばりの無節操突進型の演奏も披露。 YES と異なるのは、フルートの存在。 そして、ギターとキーボードでは、圧倒的に後者の存在感が大きい。 メロディアスなところとリズミカルなところの変化はなんとかつけているものの、いかにもアメリカのグループらしく、基本的には、緩急/音量の変化なく一定の快速テンポで押し捲るスタイルである。 リフを刻む粒だったギター、シンセサイザーと、ゆったりと流れ広がるメロトロン、ストリングス・シンセサイザーの明確な音質の対比を活かした、立体感のある演奏が最大の魅力だろう。
   また、今回初めて発表された 76 年以降の作品では、女性ヴォーカルをフィーチュアしている。 作風はぐっとメロディアスになり、「静寂」GENESIS 風の音や RENESSANCE に近いところもある。 (シンセサイザーなどがデヴィッド・ヘンチェルの音作りに似ているということだろうか) 前半の旧作がとことんせわしないだけに、後半の展開では一息つける。 この後半は、クラシカルなシンフォニック・ロックとしてはかなりの出来といえるでしょう。 最終曲は、ほとんどジョン「Star Wars」ウィリアムス。
   今となっては、さほどすごいところがあるようには感じられないのですが、ハマると抜け出せなくなるタイプの作品であり、特に、プログレにのめり込み始めた頃に聴くと間違いなく術中に落ちるでしょう。

  「Simplicity/Caverns」()前回の CD 化では 2 曲に分かれていたが本来は 1 曲と扱うべきものだそうです。
  「Buttercup Boogie」()
  「Tripping Over The Rainbow」()3+4 拍子の疾走には中期以降の GENESIS もあり。

  「Perspectives」()SYNPHONIC のコンピレーションにも収録された作品。
  「The Toast」()
  「The Waiting Room」()
  「The Masque」()
  「Wind Psalm」()
  
(SYNCD-19)


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