ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループ「ODIN」。71 年結成。 作品は一枚。VERTIGO レーベル。リーダー格の鍵盤奏者ジェフ・ビーアがドイツ人でギタリストのロブ・ターストルがオランダ人、あと二人は英国人という国際色あるメンバー構成。 発掘ライヴ盤とセッション収録盤(未発表曲あり)の二つの音源あり。
Jeff Beer | keyboards, vibraphone, percussion, vocals |
Rob Terstall | guitar, vocals |
Ray Brown | bass, vocals |
Stuart Fordham | drums, percussion |
72 年発表のアルバム「Odin」。
ドイツ VERTIGO から発表された作品。
内容は、オルガンが縦横無尽に活躍するハードでエキセントリックなプログレッシヴ・ロック。
基本的には荒々しいサウンドのハードロックである。
演奏力が高いために、アンサンブルに初期 YES のようなの構築感、立体感がある。
そして、明らかにハードロック路線を外れた、ザッパの影響色濃い個性的な作品やイージーリスニング調のインストゥルメンタルなどもある。
「Gemini」のカヴァーを要請したレーベルとの指向性の違いが、そのままアルバムに現れている気がする。
おそらくは、ザッパ指向のアヴァンギャルドなセンスを活かした作品に本質があるのだろう。
最終曲において、そのセンスをあえてハードロックに埋め込んだ傑作を生み出せている。
ギター、オルガンともに存在感あるプレイを放つが、それらと対等のレベルで独自の動きを見せるベース・ラインがユニークだ。(だから YES っぽく聴こえるというのもあるだろう)
プロデュースはグループ。
「Life Is Only」 (10:55)初期 YES のハードロック化。インストがエネルギッシュ。やや思いつき風に展開する(即興演奏ともいう)ので長い。ヴォーカルはビーアとブラウン。
「Tribute To Frank」 (1:58)フランク・ザッパへの献辞らしい。ヴァイヴも入っていかにもな感じ。宅録系カンタベリー。
「Turnpike Lane」 (3:43)フリーでコミカルながらもまとまりあるポップ・ロック。
この作品もかなりザッパ影響下(スキャットの垢抜けなさだけは問題)。みんな「Hot rats」が好きなんだなあ。
ワウ・ギターをフィーチュア。
「Be The Man You Are」 (2:45)アコースティック・ギター伴奏の弾き語り。ヴォーカルはターストル。
「Gemini」 (8:54)ブルージーな快速ハードロック。
QUATERMASS も演奏していたスティーヴ・ハモンドの作品。リード・ヴォーカルはブラウン。
「Eucalyptus」 (2:51)
「Clown」 (8:35)秀逸なるオルガン・ハードロック。テクニカルな硬派にしてセンチメンタルなところなど、澱みない流れの中での細やかな変化がすばらしい。ヴォーカルはビーア。
ドラムスのプレイはなかなかモダン。
(Vertigo 6360 608 / REP 4230-WP)