アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「PARALLEL MIND」。99 年結成。作品は二枚。 最新作は 2015 年の「Connections」。 KOPECKY のベーシストが参加。
William Kopecky | 5-string bass | ||
Nibandh Nadkarni | keyboards | ||
Joe Babiak | drums, percussion, trumpet, flugelhorn | ||
guest: | |||
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Saar Schnitman | guitar on 1 | Rene Spacapan | cello on 2 |
Jason Pachona | mandolin on 7 | Hamid Assian | violin on 7 |
Julia Heyden | lead vocals on 4 | Lisa Leers | choir on 5 |
Andrzej Cupek | choir on 5 | Eric Ernst | choir on 5 |
Suman Nadkarni | indian classical vocals on 4 |
2005 年発表の第一作「Colossus ADEA」。
内容は、キーボードを中心としたクールな現代音楽調ロック・インストゥルメンタル。
強固でアグレッシヴな変拍子パターン反復を支えに、クラシカルにジャジーに時にフォーキーに躍動するヘヴィでコンテンポラリーな(ハードロックが基本にあるという意味)音である。
音の質感が硬く、演奏にメカニカルで冷ややかなイメージがあるところが特徴だ。
アコースティック・ピアノでクールにビートを刻み、パーカッシヴなハモンド・オルガンでたたみかけるように攻め込み、シンセサイザーが自由に飛翔する。
特に、心地よい緊張感を維持するピアノとほとばしるようなハモンド・オルガンのプレイがいい。
リズム・セクションもきわめて多彩で現代的な技巧を放っている。
ツーバスもロールする。
ベース・ラインの目立ち方もいかにも今様である。
HR/HM 風味もフュージョン風味もあるテクニカル・ロックとしてはアブストラクトすぎず、無機的すぎず、高密度すぎないので、攻撃的ながらもクラシカルな旋律や和声がなじみやすい。
発展の仕方と展開が明快で、弦楽や管楽器といったクラシカルなサウンドや SE によるアクセントもいい。
要はオールド・プログレ・ファン向けの分かりやすさがあるということだ。
逆にいえば、スピードやスリル、激しさは今の水準からするとさほどでないのかもしれない。
ドラマーが担当するらしきトランペットの入る作品では、若干だがラテン/アジアン・テイストも現れ、そのミスマッチがおもしろい。
意図的であるないにかかわらず今を生きる音楽家として技巧面のデジタルな明晰さと正確さは当然だが、そのベースにあるもの、つまり精神性はかなり 70 年代の音に拠っているようだ。
そういう二つの要素を矛盾なく抱えているところが人間らしいし、バンド名もその辺に由来するのかもしれない。
ゲストとしてギター、マンドリン、チェロ、ヴァイオリンが現れる。
思い切りモダン・ロック側に寄せたピアノ室内楽、A TRIGGERING MYTH のロック色を強めたような作風といってもいい。
クラシックの造詣は深そうだ。
組曲の一部でスキャットとインド古語の歌が入る以外はインストゥルメンタル。
「Chromatic」(14:18)分かりやすい名曲。重量感あるメカニカルかつ叙情的な音を紡ぐピアノ、アクセントの強いリズム、迸るオルガン、ゲストのギター・プレイなどすべてがプログレ寄り。
「Opposite Of Know」(8:13)後半のオルガン・ソロがカッコいい。序奏とエンディングのリリカルなアンサンブルもよし。
「Colossus ADEA」
「The Guardian」(4:33)7 拍子のスリリングな疾走チューン。一本調子が潔い。
「Into The Depths」(4:59)神秘的なヴォカリーズに包まれた美しい作品。
「Underwater Cities」(4:52)5 拍子と 6 拍子が交錯するトラッド色ある作品。
「Resurface Earth」(4:03)ロマンティックなピアノがリードするフュージョン・タッチの作品。変拍子のヒネリもあり。
「Casa De Jig」(7:43)フランスの MINIMUM VITAL 風の古典舞踊チューン。こちらはモノクロームの魅力。変拍子ジャズロックへと展開。エキゾチズムのスパイスも効かす。傑作。
「Beginning's End」(12:45)シンセイサイザーを主役にしたヘヴィ・チューン。ピアノをフィーチュアしたフュージョン風、クラシック風の展開もあり。
(UNCR-508)