COLOSSEUM

  イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「COLOSSEUM」。 68 年結成。 ブルーズ・ロックの研鑽を経て、ジャズ、ロック、クラシックの融合へと進み、新たなサウンドを創出した実験精神旺盛なグループ。 傑物揃いのブリティッシュ・ロック勢にあっても、一際燦然と輝く音楽集団だ。 2018 年ジョン・ハイズマン逝去。

 Those Who Are About To Die Salute You
 
Jon Hiseman drums
Dick Heckstall-Smith tenor & soprano sax
Dave Greenslade organ, vocals
Tony Reeves bass
James Litherland vocals & guitar
guest:
Henry Lowther trumpet on 1
Jim Roche guitar on 7

  69 年発表のデビュー・アルバム「Those Who Are About To Die Salute You 」。 内容は、ブルーズ・ロックを軸にジャジーなアドリヴを大胆かつ丹念に盛り込んだジャズロック。 管楽器、オルガン、リズム・セクション、ギターが互いをはばからずに豪快に自己主張する姿をぎゅっと凝縮した傑作である。 本作品の新しさは、全体のノリで味わいを出していたブルーズ・ロックに、徹底して音数の多いテクニカルな展開とサイケでけたたましい爆発力を持ち込んだところであり、さらにすごいのは 5 曲目を代表に骨太な叙情味もしっかりと貫かれていることだ。 いってみれば、ロックにおける濃厚なロマン主義である。 この、あらゆる方向に向いた幅広さと懐の深さが他の同系統のアーティストとは段違いなのだ。 英傑 CREAM を露払いに、満を持して知将見参といったところである。 音楽を吸収する貪欲さはとどまることを知らず、ハードなブルーズロックに加えて MANFRED MANN ばりのクールなラテン風味やオリエンタルな風合いまでもが用意されている。 ヘクトールスミス、グリーンスレイド、リーザーランドのソロがとにかくカッコいい。 白眉は、ラストを飾るタイトル・チューン「Those About To Die」。 奔放なアドリヴを世界を揺るがすドラミングが煽り立て、ジャズ、ロック、クラシックを巡りつつ、驚いたことにすべてが極上のグルーヴに収束してゆく。 宇宙一イケイケで知的なダンス・チューンなのだ。
   タイトルは元々はラテン語で「morituri te salutant」、すなわち古代の剣闘士からの皇帝に向けた敬礼の言葉だったようだ。(コンラッドの「闇の奥」にも引用がある) バンド名とダイレクトにつながる洒落たタイトルであり、皇帝は聴衆、剣闘士はメンバーだとすると、これから聴衆のために死闘を繰り広げますというバンドからの宣言と受け取ることもできる。(そのわりにジャケ写は情けないが) プロデュースは、トニー・リーヴスとジェリー・ブロン。

  「Walking In The Park」(3:56)ブラス・セクションをしたがえた快調で艶やかなるブルーズ・ロック。グレアム・ボンド作。 リーサーランドのワウ・ギター・ソロをフィーチュア。ドラムスが派手。

  「Plenty Hard Luck」(4:27)CREAM 風のブルーズ・ロック。 ちょっと斜に構えたオルガン・ソロ、コテコテのサックス二管吹きソロをフィーチュア。リーサーランドのヴォーカルもいい感じだ。

  「Mandarin」(4:24)タイトル通り東アジア、日本風の音階を使った異色作。念仏や読経を思わせるベース・ソロあり。インストゥルメンタル。

  「Debut」(6:20)ブルーズ進行ながらもモンド風味もたっぷりの痛快作、爆発的ドラムス添え。腰にくるグルーヴ。 ジャズよりもロックになるように工夫しているユニークなサックス・ソロ。 そして、クールなオルガン・ソロ。インストゥルメンタル。

  「Beware The Ides Of March」(5:37)ゲイリー・ブルッカーに怒られるか? それともバッハは万人のものか? グリーンスレイドはハープシコードも操る。 インストゥルメンタル。

  「The Road She Walked Before」(2:43)ピアノはグリーンスレイドだろうか。 小品ながらも映画音楽のように小粋でクインシー・ジョーンズ張りにソウルフルな名曲。

  「Backwater Blues」(7:39)ジム・ロチェの達者なブルーズ・ギターをフィーチュアしたヘヴィ・ブルーズ大作。 ベシー・スミス作。ここではハディ・レッドベターの演奏に強く影響されているようだ。

  「Those About To Die」(4:53)想像の翼のままに自由に飛び回り、あくまでスリリングに展開するジャズロック。

(Fontana STL 5510 / ESMCD 643)

 Valentyne Suite
 
Jon Hiseman drums
Dick Hecktall-Smith tenor & soprano sax
Dave Greenslade hammond organ, vibraphone
Tony Reeves bass
James Litherland guitars, vocals

  69 年発表の第二作「Valentyne suite」。FONTANA から VERTIGO への移籍第一弾。(VERTIGO レーベルの第一作でもある) 前作が、徹底してハードなブルーズ・ロックであったのに対し、本作はあまりに多彩な音楽性をパンチのあるサウンドへと叩き込み、R&B のなめらかさで仕上げた痛快な内容である。 ブルーズの魂、ロックのワイルドさ、ジャズの運動性、クラシックの構築性、すべてを充実させた稀代の傑作であり、いわゆるブリティッシュ・ジャズロックの代表作の一つといえるだろう。 荒々しく猛るようでいてどこまでも緻密な演奏には、ライヴで培った手練の術ばかりか、アカデミックな学究精神すら感じられる。 アートロックという名の下の甘っちょろいブラス・ロックや、ビートポップに毛の生えた青臭いニューロックとは訳が違うのだ。 そして精密さとワイルドさの高次のバランスを象徴するのが、ハイズマンのドラムス。 美しいシンバル・ワークと怒涛のフィル、タム回し、バスドラ連打。 爆発的手数と超ド級の重さが、演奏の推進力なのは間違いない。 この強力なリズムに立ち向かうのが、ヘクトール・スミスのモダン・ジャズ調のつややかな管楽器と、グリーンスレイドのクラシックとソウル・ジャズをブレンドしたようなヘヴィなオルガンだ。 リーザーランドのギターも健闘するが、これだけ猛者が集まるとやや分が悪い。 もっともヴォーカルだけは、ソウルフルな黒さが適度であり、なかなかいい線をいっている。 作品は、前半 R&B 色の強いしなやかなナンバーでまとめ、後半はグリーンスレイドのクラシカルかつジャジーなオルガンがリードする巨大なインストゥルメンタル組曲である。 本アルバムを象徴するこの大作は、多くのミュージシャンの蒙を啓き、ロックの可能性を押し広げたに違いない。 特に、インタープレイの嵐と化して熱狂する終盤がすばらしい。 プロデュースはトニー・リーヴスとジェリー・ブロン。

  「The Kettle」(4:28)ハムバッカーのワウ・ギターをフィーチュアしたブルージーな歌もの。 聴きものはとにかく凄すぎるドラムス。 遠慮会釈なく牙をむくように挑戦的な姿勢を見せるにもかかわらず、安定感は抜群であり総体としては重厚という表現が相応しい。 甘めのヴォイスとギターのオブリガートの絡みもセクシーだ。 ヴォーカル/ギター、ベース、ドラムスのトリオによる CREAM ばりの演奏である。

  「Elegy」(3:13)やや線は細めながらソウルフルなヴォーカルがカッコいい R&B 調の快速チューン。 弦楽が、なめらかにスリリングに伴奏する。 ここでもドラムスが凄まじい。 間奏では、メロディアスなソプラノ・サックスが朗々と歌う。 黒人映画のサントラのような強烈な匂いがある作品だ。 ストリングス・アレンジ/指揮はニール・アードレイ。

  「Butty's Blues」(6:46) オルガン、ブラスをフィーチュアしたサイケでジャジーなブルーズ・ロック。 作風は前作に通じる。 クセになるヴォーカルと重厚にしてギトギトなハモンド・オルガン。 ヘクトール・スミスの悩ましげなテナーに加えて、ブラス・セクションもフィーチュアし、BS&T ばりの濃いビッグ・バンド風の展開を見せる。 モダン・ジャズとブルーズ・ロックの火花散る邂逅である。 本曲もブラス・セクションのコンダクトをニール・アードレイが担当した模様。佳曲。

  「The Machine Demands A Sacrifice」(3:55) 再び R&B 調のジャズロック。 主役がオルガンと管楽器であるにもかかわらず、ジミ・ヘンドリクスの作品を思わせる謎めいたところがある。 泥臭いファンクなグルーヴとフルートらによる素朴なデリカシーが交差し、独特の雰囲気をもつ。 中盤のオルガン・ソロでは、4 ビートへと変化し、一気にモダン・ジャズ。 終盤の奇妙な反復が、呪術的なムードを強める。 メロディ・ラインが弱いのが残念。

  「The Valentyne Suite」 クラシック、ジャズ、ブルーズ・ロックを勇壮なドラマで貫いた一大スペクタクル。 次々と飛び出すモチーフと縦横無尽のソロが一丸となり、最後までハイ・テンションのキープされる圧倒的な演奏である。 ややオリエンタルな響きを帯びた旋律が用いられることにも注目。 オルガン・ロックのファンは、本作を英国ロックの峰々を眺望するための足場としてもいい。

    「Theme One - January's Search」(6:20)きわめてシンフォニックなオープニング。 勇壮なオルガンによるテーマを軸にピアノ、サックスによる幻想パートも交え、疾走感あふれる演奏を繰り広げる。 荒ぶるオルガンをピアノで破断するシーンに息を呑む。 熱いブラス・セクション、リリカルなオブリガートを刻むギター、破天荒なヴァイブなどみごとなアクセントになるプレイが散りばめられる。 ワイルドなオルガンに加えてシャフル・ビート的なウラを刻むベースなど、THE NICE の「Rondo」に通じる雰囲気もある。 即興の海へとすべてが沈むと、後半はブルーズ、バロック音楽と多彩な変化を見せるオルガン・ソロから、そのまま熱狂的な全体演奏へ。 オルガンは大胆にピッチを揺らし、トッカータとフーガの一節も飛び出す。

    「Theme Two - February's Valentyne」(3:36) クラシカルかつメロディアスなオルガンとコラールによる教会音楽風の演奏へ、ジャジーなサックスが重なるアレンジの妙。

    「Theme Three - The Grass Is Always Greener」(6:57) 緩やかながらも堂々とした演奏へと落ちつくかと見せて、やはりどうしても掟破りの熱狂へと突き進んでしまう。 しかしこれがたまらなくカッコいい。

(Vertigo VO 1 / ESMCD 642)

 Daughter Of Time
 
Jon Hiseman drums
Dick Hecktall-Smith tenor & soprano sax
Dave Greenslade piano, hammond organ, vibraphone, vocals
Mike Clarke bass on 1,5,7
Louis Cennamo bass on 2,3,4,6
Dave "Crem" Crempson guitars, vocals
Chris Farlowe lead vocals on 1,2,4,5,7
Barbara Thompson tenor & soprano & alto & baritone sax on 1-4, flute, vocals

  70 年発表の第三作「Daughter Of Time」。 ハイズマンによれば、前二作がライヴで培った演奏力とアレンジメントをスタジオで解き放った記録であるのに対して、本作は初めからスタジオ・アルバムとして、用意された楽曲を演奏して製作されたそうだ。 一方バンドの状態は、ギター/ヴォーカル担当のジェームス・リーサーランドの脱退、ベーシストのトニー・リーヴスの脱退などやや揺らぎ始めたようだ。 ベーシストは、RENAISSANCE のルイス・セナモ、新人マイク・クラークで演奏を分け合うなど、アルバム製作での苦心の後が見える。 そして、リーサーランドの後任は、BAKERLOO の天才ギタリスト、デイヴ・「クレム」・クレムソンとなったわけだが、ギターのみならずヴォーカルも任せられたクレムソン、さすがに荷が重かったようで、専任リード・ヴォーカリストとして JUICY LUCY のポール・ウィリアムスに白羽の矢が立つ。 しかし、ウィリアムスもバンド脱退不能と判明し、急遽スタジオに迎え入れられたのが、英国 R&B の帝王、クリス・ファーロウ。 パワフルな演奏に上条恒彦かマンダムかというくらい男臭いヴォーカルが映え、王者の風格漂う重厚な作風が完成する。 確かに、やや爆発のスケールが小ぶりになったような印象はあるが、ストリングス・セクションやバーバラ・トンプソンの管楽器など、スタジオ盤としての丹精こめたアレンジがそういう点を補って余りある。 名曲「想像されたウェスタンのテーマ」収録。 グリーンスレイドのファンは、THE NICE も真っ青のファンキーにしてクールな「Bring Out Your Dead」で満足。 最終曲は、ハイズマンの破壊的なドラム・ソロ。 うまいドラマーはそれなりにいるが、「ものすごい」ドラマーというのはこの人とコブハムくらいである。 そして、爆発力だけではなく、丹念で緻密な印象も与えるからすごい。 プロデュースはジェリー・ブロン。一風変わったタイトルはフランシス・ベーコンの箴言「真理は時の娘であり権威の娘ではない」の一部かららしい。インテリだなあ。

  「Three Score And Ten, Amen」(5:38)後半のナレーションは、ヘクトール・スミスらしい。

  「Time Lament」(6:13) キャッチーでパワフル、無類のスケールで迫る管弦ロック。 なんというか、一つの国が興り、隆盛し、滅んでゆくような巨大なドラマがある。 ブラス・ストリングス・アレンジはニール・アードレイ。

  「Take Me Back To Doomsday」(4:26)ピアノをフィーチュアしたジャジーでメランコリックなブギー。 ロックンロールにこんなにさまざまな表情を織り込めるところが英国流である。トンプソンのフルートも暴れる。 リード・ヴォーカルはクレムソン。

  「The Daughter Of Time」(3:33) ギラギラと輝きながら、自由な発想で飛び回るシンフォニック・チューン。 ファーロウのヴォーカルにピッタリの曲調である。 ブラス・ストリングス・アレンジはニール・アードレイ。 ドラムスはもはや雪崩。

  「Theme For An Imaginary Western」(4:07)オルガンの響きが胸に迫る重厚でロマンティック、雄々しきバラード。 「Let It Be」や PROCOLS の名作と同系統である。 ジャック・ブルース、ピート・ブラウンによる名作。 トランペットのような音も聴こえる。

  「Bring Out Your Dead」(4:20)オルガンとワウワウ・ギターをフィーチュアしたクラシカルかつ軽快なブギー調のインストゥルメンタル。GREENSLADE につながる音だ。

  「Downhill And Shadows」(6:13)重量感たっぷりの王道的ブルーズ・ロック。冒頭フリーなアルト・サックス・ソロをフィーチュア。 ファーロウとクレムソンのギターのやり取りがカッコよすぎる。 重力の強い星での CREAM のライヴはこんな感じだろう。 地を這うようでいて、どこまでも高潔なところがすばらしい。 クレムソンも思いの丈をようやくほとばしらせている。

  「The Time Machine」(8:11)ドラムス・ソロ。 鼓笛隊というかクラシックの打楽器経験のありそうなプレイである。 70 年ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音。

(Vertigo 6360 017 / ESMCD 644)

 Colosseum LIVE
 
Dick Hecktall-Smith tenor & soprano sax
Mike Clarke bass
Dave Greenslade organ, vibes
Jon Hiseman drums
Dave "Crem" Crempson guitars & vocals
Chris Farlowe lead vocals

  71 年発表の作品「Colosseum LIVE」。 圧倒的な演奏力と卓越したアンサンブルで本領を発揮した濃密にして肌理細やかなライヴ・アルバムである。 男臭く妖艶な圧巻のヴォーカル・パフォーマンス、"華麗なる" というべきクレム・クレムソンのブルーズ・ギター、つややかな管楽器群、そして怒涛のドラミング。 演奏は、極限まで荒々しく、力強く、しなやか、そして知的である。 改めてこのグループはやり残したことがほとんどない、稀有のグループだと感じた。 バンドとしての運動性は、全盛期のフランク・ザッパ・グループや KING CRIMSON に匹敵。
   LP 二枚組。今買うなら、71 年のライヴからの選曲であるボーナス・ディスク付きの ESOTERIC からの二枚組 CD がお薦め。 ボーナス・ディスクの「The Valentyne Suite」を聴いていると、本グループはロック・バンドというよりはエレクトリックでヘヴィなサウンドのオーケストラというべきなのだと思う。

  「Rope Ladder To The Moon」(9:46)唖然。圧巻。ジャック・ブルース作。
  「Walking In The Park」(8:24)グレアム・ボンド作。
  「Skellington」(15:00)ソウルフルで「黒い」メインテーマ、そしてクレムソンの爆発的なブルーズ・ギターをフィーチュア。
  「I Can't Live Without You」(7:53)CD ボーナス・トラック。
  「Tanglewood 63」(10:16)剛腕なのにこういうメロディアスでダンサブルなジャズロックもこなせるという芸達者ぶり。 マイク・ギブス作。
  「Encore ... Stormy Monday Blues」(7:33)アーロン・ウォーカー作。
  「Lost Angeles」(15:47)イケイケ感が半端ないアッパー・チューン。しなやかな疾走をオルガンがリードする。

  以下ボーナス・ディスクの内容。
  「Rope Ladder To The Moon」(10:57)
  「Skellington」(14:43)
  「I Can't Live Without You/Time Machine/The Machine Demands A Sacrifice」(21:42)
  「Stormy Monday Blues」(5:14)
  「The Valentyne Suite:」 (21:20)
    「January's Search
    「Theme Two - February's Valentyne
    「Theme Three - The Grass Is Greener

(BRONZE ICD 1-2 / ECLEC 22545)

 A Story Ended
 
Dick Hecktall-Smith tenor, soprano & electric saxPaul Williams vocals
Careb Quaye electric & acoustic guitarMark Clark bass, vocals
Rob Tait drumsDave Greenslade piano
Gordon Beck pianoGraham Bond piano, organ, moog synthesizer, vocals
Jon Hiseman drumsChris Spedding guitars
Chris Farlowe lead vocals

  72 年発表の作品「A Story Ended」。 COLOSSEUM 解散後に発表された管楽器奏者ディック・ヘクトール・スミスのソロ作品。 ソロとはいえ、顔ぶれはほぼそのまま COLOSSEUM であり、音楽も R&B 色の強いジャズロック、つまりほとんど COLOSSEUM である。 さらに、ヘクトール・スミスは、前面に立ちつややかな音色でソロのスペースをやや大きめに広げてはいるが、基本はアンサンブルの一員であり、バンド全体の強靭なグルーヴにすべてを捧げている。 A 面のヴォーカルは、マイク・クラーク、ポール・ウィリアムス、グラハム・ボンドが分けあって担当。表現力や存在感はウィリアムスだが、怪しい黒っぽさを発揮するグラハム・ボンドも味がある。 白眉は、B 面巻頭の爆発的な「The Pirate's Dream」。クリス・スペディングのギター、グラハム・ボンドの飛び道具「ムーグ・シンセサイザー」、帝王クリス・ファーロウのマッチョなヴォーカル、もはや圧巻としかいいようがない。クレム・クレムソン作曲というクレジットから察するに COLOSSEUM 末期の作品のようだ。
  AMR ARCHIVE の紙ジャケット CD には、本作の作品のライヴ・ヴァージョン、および MANCHILD としての二作品をボーナス収録。 このライヴ録音が、ものすごい。スミスのサックスは、得意の二管吹きの荒業などスタジオ盤を超える圧倒的な存在感を見せる。 もちろん、「The Pirate's Dream」もあり。
  プロデュースはジョン・ハイズマン。作詞はピート・ブラウン。録音エンジニアにトム・ニューマンの名前もあり。 なお、アルバム・タイトルはマクラも含めると「Dust In Te Air Suspended Marks The Place Where "A Story Ended"」であり、T.S. エリオットの詩からだそうです。 文武両道とはこのことか。 うーむ、カッコいい。

  「Future Song」(4:06)
  「Crabs」(5:12)
  「Moses In The Bullrushourses」(3:41)
  「What The Morning Was After」(5:30)
  「The Pirate's Dream」(11:09)
  「Same Old Thing」(6:41)
  「Moses In The Bullrushourses」(7:44)ボーナス・トラック。ライヴ・ヴァージョン。
  「The Pirate's Dream」(10:18)ボーナス・トラック。ライヴ・ヴァージョン。
  「No Amount Of Loving」(9:25)ボーナス・トラック。ライヴ・ヴァージョン。ポール・バターフィールドの作品。
  「I'll Go Back To Venus」(3:44)ボーナス・トラック。MANCHILD 名義。 パンチのある演奏をメロディアスなヴォーカル・ハーモニーが潤す、いい感じのブリット・ロック。
  「I Can't Get It」(3:04)ボーナス・トラック。MANCHILD 名義。 前曲と同じ雰囲気だがサックス、エレピが強調されて、よりジャジー。ブルージーなギター・ソロもカッコいい。

(BRONZE ILPS 9196 / AIRAC 1187)


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