スイスのプログレッシヴ・ロック・グループ「WANIYETULA(GALAXY)」。69 年結成。83 年解散。作品は二枚、他に発掘盤あり。
Richard Kersten | lead vocals, acoustic guitar |
Heinz Kuhne | guitars, vocals |
Norbert Abels | keyboards, vocals |
Herman Beckert | bass |
Victor Bergmann | drums |
78 年発表のアルバム「Nature's Clear Well」。
75 年録音、78 年発表。
販売権を入手した米国レーベルが販売前にグループ名を「GALAXY」に変更したそうだ。
内容は、スイス/ジャーマン・ロックには珍しい YES、GENESIS 系の陽性シンフォニック・ロック。
ハイトーンのコーラス、ナチュラル・トーンのギターによる饒舌だがひっかかりの多いプレイ、なめらかな筆致でファンタジーを彩るストリングス系キーボード、堂々としつつもひねりもあるトリッキーなアンサンブルなど、シンフォニック・ロックの王道をゆく。
キーボードは、ピアノ、オルガン、シンセサイザー、メロトロンまでヴォーカルやギターを支える役割として、きわめてぜいたくに音を使っている。
すばやいオブリガートや場面転換時など要所で現れる音が実に的確だ。
リズム・セクションは音数を細かく刻み、あたう限りたたみ込んで、性急さや緊張感の演出をリードしている。
また、ヴォーカリストが奏でると思しきアコースティック・ギターの音が常に鳴っていて、歌唱と演奏にジャーマン・フォーク的なイメージがある。
一見明るいが心の奥底にうずまく怨念が時おり表情を曇らせるような、不気味な二面性があるのだ。
好みの分け目は、美声かどうかが微妙なうえにやや暑苦しい(訛りもあると思う)ヴォーカル表現に象徴される泥臭さ、垢抜けなさだろう。
シンフォニックなロックとしてのそつのないまとめ方、ヴォーカルの「くせ」から来るイメージ、爽やかなはずがなぜか胃がもたれるような位相系エフェクト中心サウンドは、NEKTAR や中期の OMEGA に共通する。
ハードロックやグラム・ロック的な要素についても同じである。
プロデュースは、ディーター・ディルクス。AM ラジオのように平板な音像をなんとかすれば、もっと聴き応えのある作品になると思う。
「Nature's Clear Well」(10:50)
「You've Really Got It Fixed」(4:22)
「Warning Walls」(5:14)
「Dreams Out In The Rain」(6:22)
「I've Come From A World」(4:19)
「Wish I Were Happy」(6:16)
(V78 GA-F1005 / SPALAX CD 14893)