スイスのプログレッシヴ・ロック・グループ「NAUTILUS」。 74 年結成。 作品は二枚。現役のようです。
Urs Lerch | bass |
Peter Fibich | drums |
Christian Bauer | guitars, vocals |
Dieter Ruf | guitars, vocals |
Ralph Stucki | keyboards, vocals |
78 年発表のアルバム「20000 Miles Under The Sea」。
内容は、へヴィなサウンドと暑苦しいヴォーカルで迫るシンフォニックなハードロック。
ヴォーカル、ギター、メロディ・ラインなどなど明らかに純ハードロック出身であり、油断すると簡単にそっち側に倒れる。
(オルガンがジョン・ロードだ、とか、音の感じが URIAH HEEP だ、とか細かくいい出せばいろいろある)
アコースティック・ギターやストリングスで叙情的な表現を試みるも、繊細な歌心は確かに感じられるが、それを上回って毛深い荒々しさが強調されている。
そして、そうならないように、ギタリストは YES に倣ったプレイを心がけ、達者なキーボーディストが重苦しくもカラフルなサウンドと技巧的なプレイで前面に出てくる。
鍵盤奏者は、ハードロックにもプログレにも貢献できるパーカッシヴでへヴィなオルガン、スペイシーな演出に欠かせないストリングス・シンセサイザー、万能のアコースティック・ピアノ、これらを満遍なく配して、アンサンブルに厚みをつけ、叙情的な表現を支えている。
オルガンでクラシカルなフレーズを弾き飛ばしてキャバレエのフロア・ミュージックのようにセンチメンタルで蓮っ葉な感じを出せる、これがホンモノである。
とにかく武骨ではあるが、別のいい方をすれば、典型的なオールド・ロックの良心あふれる作品なのだ。
YES や GENESIS や PINK FLOYD といった英国大御所よりも、それらに影響された音楽性でセールスをあげた ELOY によく似ているというべきだろう。
ハードロック系の NEKTAR や BIRTH CONTROL ほどのキレがないところも同じだ。
しかし、それがポップな親しみやすさに通じているのもまた事実である。
そう思わせるのは、ドイツのハードロック・バンドによくある独特のサイケデリック・テイストと、知性と野放図さが一つになった独特の荒々しい祝祭感である。
ヴォーカルは英語。
「20,000 Miles Under The Sea」 (5:14)
「Sleeping In The Wind」 (5:01)
「Like A Bird」 (4:19)
「Deep Inside Me」 (5:58)
「Lady」 (5:00)
「Lost In Time」 (7:21)
「To The Sky」 (3:51)
「Opus For Ghosts, Crocodils And Four Living Persons」 (1:48)
(NLP 7801)