イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「ZZEBRA」。IF 出身のデイヴ・クインシー、テリー・スミス、OSIBISA 出身のローティ・アマオらによって結成された。 直後に RIFF RAFF、MARK-ALMOND のトミー・アイアも合流。 作品は二枚。99 年「Take It, Or Leave It」、2009 年「Lost World」と二つの未発音原が発掘さる。
Dave Quincey | alto & tenor & soprano sax, piano, clavinet |
Gus Yeadon | piano, guitar, flute, clavinet, lead vocals |
Terry Smith | guitar |
Loughty Amao | conga, drums, baritone & tenor sax, flute, assorted african percussion, vocals |
Liam Genockey | drums, percussion, vocals |
John McCoy | bass |
74 年発表の第一作「Zzebra」。
内容は、青春のむさ苦しさと野性味にあふれるへヴィ・ジャズロック。
このグループの音楽は、後にメンバーとなるトミー・アイアの言葉を借りれば「電化ジャズ、へヴィ・ロック、北ナイジェリアのフォークの結合」だそうだ。
確かに、爆発的ジャズ・ギター・ソロ、かなり目いっぱいながらも逞しくなめらかなサックスらを手数の多いリズム・セクション(エレピ含む)が支え、パンチのあるビッグ・バンド・ジャズのファンキー・テイストと骨太なロック・ビートががっちりと結びついて、にぎにぎしく精力あるジャズロックになっている。
テクニックもなかなかだが、とにかくエネルギッシュで重量感のある音である。
切れ味は「カミソリ」ではなく「ナタ」のそれだ。
また、スチール・ドラムスが聴こえてきそうな、デリケートなアフリカン・テイストもいい感じだ。
パーカッションを活かしてさまざまなスタイルでダンサブルに迫っているので、それなりにポップな面もある。
音楽的な散らかり方は IF と同等だし、たくましい雑食性は大歓迎だ。
残念なのは、独特の田舎っぽさ、垢抜けなさのいい収めどころを見つけにくいこと。
ヴォーカリストに個性の核になれるだけの華がもう少しあればよかったのかもしれない。
なお、アイアは、脱退を決めていたガス・イードンに代わって一部の演奏に参加したようだ。(クレジットなし)
コリン・ホジキンソンを上品にしたようなジョン・マッコイのベースがやけに目立つ。
プロデュースはケン・バージェス。
「Cobra Woman」(6:14)
「Mr.J」(4:17)
「Mah Jong」(5:10)
「Ife」(6:20)アフリカン(北ナイジェリア?)・テイストあふれるジャジーでミニマルなバラード。JADE WARRIOR 的。ひんやり涼しく、ほのかにユーモラス。
「Spanish Fly」(4:16)迫力ある変拍子ハード・ジャズロック。スペイン/サラセン風味のエレクトリック・ピアノから RETURN TO FOREVER に通じるところも。カスタネットの音が加速をあおる。
「Amuso Fi」(5:16)SANTANA 風のラテン・ロック。歌謡曲風でもある。OSIBISA の芸風である。
「Rainbow Train」(5:50)思い切り英国風 R&B なジャズロック。
「Hungry Horse」(6:45)キャッチーなテーマに乗ったアドリヴ大会。
(POLYDOR 2383 296 / DISC 1954 CD)
Dave Quincey | sax | Loughty Amao | percussion, sax, flute, vocals |
Steve Byrd | guitar | Liam Genockey | drums, vocals |
John McCoy | bass | Tommy Eyre | keyboards, flute, vocals |
Alan Marshall | vocals | Jo Newman | vocals |
Kim Moore | vocals | Lesley Duncan | vocals |
75 年発表の第二作「Panic」。
トミー・アイアが正式参加。
野性味あるビッグ・バンド調ジャズロックにエレクトリック・キーボードによる都会的な演出やファンタジックな陰影による叙情性が加わった。
ジャジーかつスペイシーなキーボード・サウンドのドライヴするいかにもな 70 年代プログレ/ジャズロック・テイストと、デイヴ・クインシーがリードするキャッチーで上品なスタンダード風テーマやラテン・ポップス調などややノスタルジックな響きを無理なくまとめている。
R&B 的な要素ももちろんあるが、汗臭い熱気に加えて、スティーヴィー・ワンダーと同じ方向の暖かみや知性も感じられる。
そう感じられるのもキーボード・サウンドと無縁ではないだろう。
また、ヴォーカルやハーモニーにも懐の深さと冴えがあり、前作よりも繊細な詩情があると思う。
アイアのキーボード・プレイ/アレンジは圧巻。
プロデュースはグループ。
「Panic」(4:36)
「You've Lost That Lovin' Feeling」(6:15)RIGHTEOUS BROTHERS のカヴァー。
インストゥルメンタル・ヴァージョン。
「Karrola」(4:01)
「Liamo」(6:01)
「Death By Drowning」(3:00)
「Tree」(6:03)エレガントにしてテクニカルなジャズロック。シンセサイザーの肌理細かいニュアンス、センシティヴなハーモニーもいい。傑作。
「Put A Light On Me」(4:57)スペイシーなソウル・チューン。
「La Si Si-La So So」(5:17)グルーヴィなジャズロック。リズム・セクション全開。
(POLYDOR 2383 326 / DISC 1955 CD)