アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「5UU'S」。 84 年デヴィッド・カーマンを中心に結成。88 年解散し、94 年に再編し、2004 年まで活動。 作品は九枚。 RIO 影響下のチェンバー・ロック第二世代。
Dave Kerman | composition, lyrics, instruments |
Udi Koomran | sound |
Deborah Perry | singing |
guest: | |
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Avi Belleli | singing on 3 |
Michael Ezrony | speaking, reciting on 1,2,6 |
Aviv Barak | hand percussion on 3 |
Yoram Fogel | wind-up toy monkey on 1 |
Zahl Patish | tap dance solo on 2 |
2003 年発表の第六作「Abandonship」。
サンジェイ・クマール氏もクレジットから去り、マルチ奏者デイヴ・カーマン、紅一点デボラ・ペリー中心に PRESENT つながりであろう中近東系のゲスト・パフォーマーを迎えた作品である。
このグループの作風は、アヴァンギャルドの極致にありながらいわゆる現代音楽調ではなく、体力気力の限界を暴走するような超硬度ロックが核にある点で唯一無二であり、本作品もその点ではまったく変わらない。
打楽器系の音を最大限フィーチュアした HENRY COW のようなレコメン・テイスト(などと書くと本筋からいって怒られそうだが)が健在であるばかりか、最盛期の KING CRIMSON につながる凶暴ロックとしてのカッコよさがブッちぎりである。
今回は、得意の分厚く塗り込めたノイズ、過激なサウンド処理をやや抑え気味にして、コラージュを多用しながらも音の明快さが際立つ作りになっている。
意図的なのかどうかはわからないが、おかげで音の核心が見えやすい。
ペリー嬢のヴォイスも相対的に目立っている。
カーマンがほぼすべての器楽をコントロールしているための一貫性だと思うが、個人的には専任ギタリストかキーボーディスト(またはその両方)が参加したほうが、より刺激的な内容になったと思う。
2 曲目、3 曲目は「太陽と戦慄」にしびれたプログレ・ファンには絶対受けるはず。6 曲目は再録。
カーマンのオルガンの演奏スタイルは、サンジェイ・クマールの芸風と完全に同じ。
分かりやすい傑作です。
「Yordei Hasira #2」(2:12)打楽器類、小型鍵盤他ガジェットと加工されたアドホックなヴォイスのみによる暴力的な序章。
「Couple #3 Is A Solo」(4:14)打撃音とペリー嬢のヴォーカルをフィーチュアした工業用ドリルのようなヘヴィ・ロック作品。
ひたすらにアグレッシヴな打楽器群、自信にあふれた無調フレーズを断続的に叩きつけるキーボード、激しいリフを刻むギター、ベース。
硬いタッチと思い切りの良さが痛快です。
ノスタルジックな音のコラージュもハマっている。
「Thoroughly Modern Attila」(9:21)UNIVERS ZERO、KING CRIMSON 風の不気味さを強調したヘヴィなノイズ・ミュージック。
オルガン、ギター、ピアノらによるアンサンブルは薄っぺらな嬌声や狂気じみた怒号を上げながら、紙くずのように丸まるかと思えば、ガラガラとどこまでも崩れてゆく。
邪悪なチェンバー・ミュージック、パンキッシュな短気と凶暴さ、MAGMA ばりのアジテーション(デス声)、フリーのドシャメシャ、発狂の果ての弛緩、そういったすべてに思い切りディストーションをかけて歪ませてから、フルスロットルのエンジンで振り回す感じです。
中盤のエネルギーをため込むような KING CRIMSON 風の展開からのスタイリッシュな復回、そして結末の付け方もカッコいい。
残骸や破片が飛び散っているような惨憺たる状況だが、ドラマティックでもある。
両手に持った包丁をすり合わせるような音がコワい。
「Penguins On Dizengoff」(5:49)
打楽器的な音響処理と即興を駆使した現代音楽変拍子ロック。
この曲もそうだが。ここまでの他の作品でもピアノの低音部のインパクトが巧みに利用されている。
パーカッシヴな破裂系の音とオルガンのようなサスティンのある音とのコントラストも得意技だ。
中盤は、打楽器からのノイズを集中した即興演奏のようだ。
ギクシャクしつつも何かを語ろうとする。
ノイズに削り取られて様変わりした「One More Red Nightmare」か。
壊れた玩具の楽隊のイメージも。
「Suits」(2:45)荒々しい騒音が取り巻く無調の歌もの。
再びペリー嬢のアルト・ヴォイスをフィーチュア。
どことなくナンセンスか歌詞、怒号のように吼えるベース、邪教の教会音楽のようにエキゾティックに響くオルガンなど、特徴がよく出た作風である。
終盤は、ピアノとドラムスの爆発的な乱れ弾き。
ピアノの乱打が絶叫に聴こえる。虫の大群の羽音のようにおぞましいノイズ。
「Ringing In The New Ear」(0:40)奇妙なナレーションまたはモノローグとノイズ。
「Noah's Flame」(8:58)素っ頓狂にして凶暴、衝撃的轟音渦巻くクラシカル・ヘヴィ・チューン。
ネジがぶっ飛んだ嬌声ヴォイス、イライラしすぎて血が昇ったようなギター、重いチェーンを振り回すような音響、きっぱりと道をつけるオルガンとピアノらをインダストリアルなノイズが取り巻く。
荒々しいが端正なアンサンブルである。
中盤チンドン屋かパンクな雅楽師となって、変態っぽさも強まるが、終盤に向けて、ギターを含めた弦楽器をピアノや打楽器が強烈に叩きのめす展開へ。
最後は血まみれの重戦車の暴走のようなカッコいいトゥッティ。
ロックなインパクトを誇示する傑作である。
「Hill Of Spring」(3:36)ノイジーで強烈な変拍子トゥッティで突進するパンキッシュなヘヴィ・ロック。
再び嬌声ヴォーカルあり。
演奏をリードするドラムスがカッコいい。
高密度のガレージ系 HR/HM と現代音楽の交差点でクラクションが鳴り止まぬ。
オープニングの奇妙な音はクイーカだろうか。
「Doubt Be Met」(1:39)イタコ風のヴォーカルとオルガンによる呪い。意外に美声であり、 ART BEARS への連想もむべなるかな。
「Belly-Up」(9:01)
狂ったグラインダーのようなノイズ・パンク・ロック、ただし緩急絶妙。
ピアノと打楽器、ヴォイスによる劇的な緩徐パート。
ピアノがシュアーなテンポでリードするパートのカッコよさは、真正プログレのもの。
オルガンも冴える。
序盤と終盤のパイプの音が印象的。
エンディングも洒落ている。
(CUNEIFORM RECORDS RUNE 158)
"BEL MARDUK & TIAMAT" | "ELEMENTS" | ||
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Jon Beck | bass | Jon Beck | bass |
David Kerman | drums, keyboards | David Kerman | drums, keyboards, guitar |
Randy Coleman | guitar | Greg Conway | guitar |
Greg Conway | guitar | Sanjay Kumar | keyboards |
Curt Wilson | vocals | Curt Wilson | vocals |
MOTOR TOTEMIST GUILD |
「Hunger's Teeth」以前の初期作品の編集盤「Point Of Views」。
84 年の第一作「Bel Marduk & Tiamat」から、MOTOR TOTEMIST GUILD との共演による86 年の第二作「Elements」にシングルを加えた内容である。
初期は通常の 5 ピース編成であり、ややプログレがかったオルタナティヴ系のロック・バンドというイメージだ。
男声版 ART BEARS のようなシリアスな作品もある。
なお CD 収録に当たってデビュー・アルバムの 7 曲目「Contemporary Global Friction」は割愛されている。
1 曲目から 8 曲目までは「Bel Marduk & Tiamat」より。
内容は、前述の通り、ニューウェーヴ調ヴォーカル入りの屈折ロック。
変則リズム・チェンジや幅広い音色のオルガン、衝撃的なピアノの音は、きわめてプログレ的。
独特の金属的なキーボードの音が、ダイレクトに HENRY COW を思わせるところもある。
パンクの時代を経たヘタウマ歌唱が、今となっては、やや古めかしく感じられるところもある。
しかし、そのヴォーカルが現代音楽調の作品では狂暴なイメージを強める効果をもっている。
そして、最も特徴的なのは、強圧的な打楽器の演奏である。
これまたパンク風のシンプルであろうドラム・キットで奇妙なパターンを引っぱたきまくる。
もっとも、ドシャメシャ音数勝負ではなく、厳密に決った変則パターンを力いっぱい叩くというべきか。
何にせよ、いわゆるグルーヴとは縁遠い。
打楽器のリードとキーボードのサポートによる硬く骨っぽく挑戦的な演奏でありながら、綿密な計画性も感じられる。
パンク・バンドによる現代音楽というとあまりに雑だが、やはりチェンバー・ロックの血筋を色濃く引く作風といえるだろう。
2 曲目「The Scale Of Life」や 5 曲目「Ancient Internationalism」のようなポップなハーモニーとシリアスな演奏の組み合わせは、十分プログレ・ファンにもアピールしそうだ。
7 曲目「Sporting」も、リズム・チェンジと KING CRIMSON 風の変拍子ポリリズミックなギター・プレイが冴える。
カッコいいハード・プログレであり、ナチュラル・トーンのギターがほとんど初めて存在感を見せる。
あっけにとられるほどギターは古典的テクニカル。
8 曲目は、キーボードの不協和音、アウトスケールとヴォーカル・ハーモニーがいかにもレコメンな佳作。
全体としては、70 年代プログレを引きずりつつもユニークな個性が目覚める直前といったところだろう。
9、10 曲目は 85 年発表の 7 インチ・シングル「Bar Code」より。作風は前作と同じ。
9 曲目「Misery Loves Company」は、神経質なヴォーカル・ハーモニーとパーカッシヴなキーボードによる骨折変拍子ロック。ノイジーなサックスが加わっているので、フリージャズ的な印象もある。
10 曲目「Hot & Cold Frog」は、重量感あるピアノをフィーチュアした神秘的な現代音楽調とダイナミックな変拍子アンサンブルが鮮やかなコントラストを成す作品。
プログレです。
11 曲目以降 19 曲目までは、第二作「Elements」より。
キーボーディストのサンジェイ・クーマンと MOTOR TOTEMIST GUILD の参入により、一気にチェンバー・ロック化。
管絃楽器を大きくフィーチュアしたシリアスなアンサンブルと強烈なビートが一体となった、複雑にしてエネルギッシュな作風となる。
このせいか、ヴォーカリストのスタイルはさほど変わらないのに、前作のようなポスト・パンク、ニュー・ウェーヴのタッチはあまり感じられなくなった。
もつれるような変拍子、突進力、込み入りながらも説得力あるフレーズらは、より深化し、音の強靭さは前作を凌ぐ。
11 曲目「Ignominies」は名作。
12 曲目「Imperfection」はピアノとヴォーカルがフィーチュアされた現代音楽。東欧やロシアのクラシック作品と通じるものがある。
13 曲目「Resentments」は KING CRIMSON のような緊張感に痺れる序盤から、再びピアノによる重々しい変拍子アンサンブルがスピーディにドライブされる。オルガンのオブリガートにはプログレの醍醐味あり。かなりカッコいい作品だ。
14 曲目「Acknowledgements」は、ほっと一服の逸品。ピアノを囲んで家族で歌った古きアメリカの遺伝子が息づく。
15 曲目の表題作「Elements」は、再び硬派な作品。
16 曲目「In Life's Hands」は、リズムやリフこそ強迫的でサックスもピアノも暴れるが、叙情味あるキャッチーな作品。ベースが存在感をアピール。
17 曲目「The Artist」は、インダストリアルなムード漂うメランコリックな歌もの。
いわゆる 80 年代ニューウェーブのイメージもあり。ここでもベースがカッコいい。
18 曲目「Causes Of Merit」は、木管(バスーンだろう)の中低音が不気味なチェンバー・ロック。
透明感あるピアノや歌メロがクールなリリシズムを湛える。
19 曲目「The Futility Of Oneness」は、ヴォーカルとキーボードが歪なテーマでユニゾンし、変拍子パターンのボトムで、ギターやキーボードが絶叫する恐ろしげな作品。ニ部構成と思われる。後半には雅楽にも通じる世界が。
20 曲目「Carousel Of Progress」は、第二作のメンバーのみ(MTG は未参加)による充実作。
元々 ReR の編集盤に収録されていた。
演奏のキレや音の整理の仕方などは飛躍的にアップ。
シャープに突き進む演奏がカッコいい。
レコメンというと、アナーキーな凶暴さやそれと裏腹なナンセンス、ユーモア、さらにはアカデミックな音楽素養といったイメージがある。
本作品は、そういった側面を網羅しつつ、いわゆるプログレとしての語法をしっかりと入れこんでいるところがユニークだ。
個人的には、あまりあり得ない、この微妙なバランスの上に作られた音が、かなり楽しいです。
Sanjay Kumar | keyboards etc |
David Kerman | drums, guitars, keyboards, etc |
Robert Drake | vocals, basses, guitars, violins, etc |
guest: | |
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Tomas DiMuzio | electronic & computer sound |
Susanne Lewis | vocals on 10,11 |
James Grigsby | guitar, vibes on 1, bass on 8 |
Michelle Bos | noise, effects |
94 年発表の第三作「Hunger's Teeth」。
MOTOR TOTEMIST GUILD との合体プロジェクト U TOTEM から戻ったデイヴ・カーマンが、新メンバーでグループを再編して発表した野心作である。
MTG の参加した第二作に比べて、いわゆるチェンバー・ロック性はやや減退、ダイナミックなロック色を大幅に強めたヘヴィな内容となっている。
特徴的な金属的キーボード・サウンドとともに、シーケンスやテープ逆転など、エレクトリックな実験色も豊かである。
演奏は、圧迫感ある変拍子ビートとエキゾチックなねじれや突拍子ないユーモアセンスによるアヴァンギャルドなものであり、ハードルの高さを感じるリスナーも少なくないだろう。
ただし、過激な電気処理によって加工されて感じられにくくはなっているが、ヴァイオリンやキーボード、ヴォーカルらによるクラシカルなタッチは導入されている。
そして、ヘヴィとはいってもいわゆる HM/HR 的な面は皆無だ。
猛々しい轟音の嵐に、独特のシンフォニック、プログレ調、ときに切ないまでの叙情性が、はっきりと浮かんでくる。
さて、この変化の大きな要因は、THINKING PLAGUE のロバート・ドレークの参入だろう。
特徴的なハイトーン・ヴォイスとトリオ編成をものともしないマルチ・プレイヤーぶり(ジョン・ウェットンばりのヘヴィなベースが印象的)が、5UU'S に新しい世界を拓いたようだ。
それは、周到な複雑さをもつ楽曲をインダストリアルかつノイジーなサウンドでまとめあげて、なおかつきらびやかな質感も与えるという「三倍速三倍密プログレ」のような独自の世界である。
全体には、性急で凶暴なイメージを突きつけてくる作風である。
クリアーな質感と血飛沫を上げるようなアグレッシヴなタッチ、そして意外なまでにナイーヴな表情の組み合せこそが、このグループの打ち立てた個性だろう。
完成度という点で次作に匹敵し、音の明晰さ、分かりやすさという意味では次作を凌ぐ。
改めて、内容は、透明感あるヴォーカルと凶悪な演奏が矛盾なく轟音とともに迫るシリアス・ロック。
ざらざらした荒々しさとメタリックな光沢が同居する危険に満ちたサウンドである。
徹底した変拍子、冷気ほとばしるオルガン、ヴァイオリンによるサステインの効いた分厚い音、ピアノ/ヴァイブなど打楽器系の尖った音、三味線のようなバンジョーなど個性的な音が満載である。
「Well...Not Chikenshit」(6:35)
凶暴なノイズ、常軌をすっ飛ばすメロディ・ライン、変則リズムによるパンキッシュなアヴァンギャルド・ロックと、テクニカルなキーボードやベース・ラインによる古典的プログレの味わいを一体化した奇跡的な傑作。
ハイトーンのメイン・ヴォーカルは、音程を激しく上下する無調に近いメロディを駆使、普通っぽさを意図的に払底する。
ディストーション・ベースとドラムスが強力なエンジンであり、その上でキーボード、ヴァイオリンがスリリングなプレイを放つ。
すべてに、悶えて絶叫するような狂おしさがある。
硬軟、激緩の鋭い対比を、大胆なまでに変態的なリズム・チェンジとともに繰り返す。
逞しく凶暴な演奏と繊細な演奏が一つの流れを作ってゆくところは、いかにもプログレ的といえるかもしれない。
アヴァンギャルドなピースを組み合せて、烈しく突き進みドラマを描くヘヴィ・ロックである。
「Roan」(3:03)
凶暴な賛美歌。
ヴァイオリン、ストリングスらによる厳かな賛美歌風の序章を経て、ガラスの割れる音をきっかけに、レコメンらしい破壊的アンサンブルがヴァイオリンのリードの下、挑戦的な表情で立ち上がる。
このいかにも ReR 風の全体演奏が、ロック・ギター・ソロに塗りかえられる辺りが新鮮だ。
危険極まるサウンドの嵐の中、透徹なピアノとメロディアスな賛美歌ハーモニーが印象的。
サウンドはデンジャラスだが、クラシカルで厳かなイメージのある作品だ。
「Mangate」(2:55)
テープ録音によるサウンド・コラージュ。
性急で息が詰まりそうな独特の調子である。
いくつかの音の断片が、強い風に吹き飛ばされるように、途切れてはつながり、散ってゆく。
こういった音は昨今エレクトロニカといったグループに入るのだろう。
「Geronimo」(4:51)
内省と爆発、弛緩と緊張を激しく揺れ動きながら何かを探し続けているようなドラマティックな力作。
内向の果てのような薄暗がりの世界で、突如、メタリックな絶叫とともに凶暴でクシャクシャな演奏が沸騰する。
無機的、金属的な重みやノイズなどインダストリアル風のアプローチだが、重苦しさだけではなく、破綻した精神のような独特のなまめかしいけたたましさがある。
そして、嵐の間を縫って、緩んだ精神を象徴するようなバンジョーとともに、あまりにナイーヴな声が顔を出す。
しかし、こういう作風にしてオルガンやベースの動きにクラシカルなプログレ・テイストあふれるところが意外である。
荒々しいベースは、鉈を振るうように演奏を断ち切る。
終盤、シグナルのようなオルガンのシーケンスの余韻におぞましさを残したまま、説得力あるミドルテンポの演奏が始まる。
ドラムスがやや抑えられているので、インダストリアルな UNIVERS ZERO。
散りばめられているので分かり難いが、キーボードはいかにもプログレらしいクラシカルなプレイである。
不思議なことに、聴き終わるとやはりシンフォニックな響きが残っている。
「Glue」(2:41)
シャフル・ビートによるノイジーなパンク小品。
自棄(ヤケ)気味のフロア・タムによるビートがいい感じだ。
本来「ノリ」があり得ない作風だけに新鮮。
初期の ELEPHANT 6 のような感じもある。
改めて、轟音渦巻くインダストリアルなサウンドによる叙情派フォークというイメージを抱いてしまう。
そういえば、YES も初期の目標は「フォークとヘヴィなサウンドの合体」だった。
自宅録音。
「Opportunity Bang」(5:18)
歌謡曲調のバラードと HENRY COW 調の早口疾走ロック、シンフォニックな演奏が唐突に交錯する、レコメンらしい作品。
センチメンタルな朗唱とヘヴィで素っ頓狂な変拍子アンサンブル、奇妙にユーモラスなオブリガートなどが強引にまとめられて流れを作る。
そう、SAMLA に近いものあり。
そんな中で、キーボードはまたしても完全にプログレ。
序盤の快速ソロ、後半のシリアスなソロのオルガン、歌のバックのピアノなど、70 年代プログレファン納得のプレイである。
中盤以降は、スピード、リズムの急激な変化とともにせわしなく場面転換する得意のパターンであり、超絶的な骨折演奏を繰り広げる。
悠然と現代音楽風のストリングスを経て、終盤、イカれたロングトーン・ギターを中心としたヘヴィな変拍子アンサンブルがかなりカッコいい。
特にオルガンが合流する辺りで興奮。
エンディングはメロトロン?
挑戦的なプログレらしい作品だ。
「The Shears」(1:25)
MANHATTAN TRANSFER を思わせるドウワップ風混声アカペラ・コーラス。
街のざわめき。
自宅録音による小品。
不気味な歌詞である。
「Bachelor Needle」(2:16)
オルナタティヴ・ロック風のコミカルな作品。
オープニングとエンディングの妙にしおらしいバラード調の演奏が奇妙だ。
メインパートは、リズミカルな演奏。
独身者の針って何だ?
「Truth, Justice, And The American Way」(5:35)
ハイテンションでエネルギッシュ(もっともそのエネルギーの噴射方向が変わっている)な佳作。
おなじみのノイズ、低音を強調した重層的インダストリアルともいうべきアレンジが冴える。
前半の重量感あふれるピアノ重奏が、さっと翻って軽妙な演奏に変転するところの呼吸はみごと。
中盤は、ジョン・アンダーソンによるパンク。
ライヴ風の音響処理であり、荒っぽいが、演奏はプロフェッショナルな安定感あり。
終盤のノイズ・ギターとドラムスによる即興が強烈だ。
パワフルな推進力を感じさせる作品だ。
「Equus」(5:06)
HENRY COW 風のミドル・テンポ・チューン。
スザンヌ・ルイスの無表情かつコケットなリード・ヴォーカル(もっともメロディはなぞることを拒否するようなものだ)をフィーチュアし、ギターやオルガンによるシンフォニックな高まりもある。
前半、メインのアンサンブルは完全な ReR 型。
中盤、ギター、オルガンがリードする演奏は、リズムやアクセントこそ変則的だが、淡々とした表情がかなり意外、というか不思議な効果をもつ。
ここで、今までの曲の断片が現れているような気がする。
一歩引いたような、さりげない作風である。
「Traveler Waits For No One」(3:27)
頭のいい人が頭が悪いふりをしているような、レコメン変拍子ロケンロー。
ヴォーカルは、スザンヌ・ルイスをフィーチュア。
ギターはやや変態だが、噛みつくようなかけあい、軽快なビート感など、いいノリである。
キーボードが楽しそうなソロを繰り広げる。
(ReR 5UU1)
Bob Drake | guitars, bass, vocals, violin, etc |
David Kerman | drums, guitars, keyboards, etc |
Sanjay Kumar | keyboards etc, talking |
guest: | |
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Tomas DiMuzio | electronic & computer sound |
Scott Brazieal | vibes |
97 年発表の第四作「Crisis in Clay」。
内容は、アグレッシヴなアヴァンギャルド・ロック。
刃物のようにきらめく硬質なサウンドと破壊的な打撃音、そしてその間隙を流れるドレイクのクリスタル・ヴォイスが特徴である。
強靭なドラム・ビートが傾いだ秩序を強要し、轟々たるキーボード・サウンドが世界を漆黒のヴェールで包み、狂気のヴォイスがこの暴虐統治を賛美する。
険しい現代音楽にデスメタルやハードコアに通じるアナーキーさを持ち込み、あろうことかプログレッシヴ・ロック・テイストでアクセントした力作である。
前作の流れにある作風ながら、ビートの強烈さとサウンドの重量感はいや増し、無秩序なノイズが生む危険なイメージも強まった。
ハードロックと現代音楽の画期的な邂逅であり、いうなればレコメン・ハードロックの傑作である。
イレギュラーなリズムと無機的なフレーズに満ちた演奏は、普通の意味での音楽的美感とはかけ離れたものだ。
唯一透明感あるヴォイスがリスニングのきっかけになり得るが、地響きをたてる重金属サウンドとの対比ではそのヴォイスの眩しさもまた一つの刺激となり緊張を強いるものになっている。
音が塊としてぶつかってくるのがロックらしさの一面とするならば、本作の演奏はそれをさらに極端に推し進めているようだ。
打楽器の音は凶暴なばかりか性急さも極まりない。
ギターやヴァイオリンに至ってはノイズと無調のフレーズをくりかえす「乱調製造機」として機能している。
技巧的なキーボードの演奏すらもアンサンブルのバランスを取ることを忘れて次第に脈絡を外れ狂気を孕んでゆく。
したがって、光沢あるきらびやかな音の質感をのぞけば全体のイメージはパンク・ロックに近い。
シンフォニックな高まりや室内楽的な調和性もごくたまに感じられるが、あっという間に激烈で邪悪、不調和な音にかき消されてしまう。
そしてその轟々たるノイズのベールの向こうで何か悪しき企みが進行している、そんな心持にさせられる。
ゲストの一人、スコット・ブラジイルは元 CARTOON/PFS のメンバー。
今回は MOTOR TOTEMIST GUILD のメンバーの参加はない模様。
プロデュースはボブ・ドレイク。
ライナーによると、サンジェイ・クマー氏は SAMLA の影響を受けている。
ラーシュ・ホルメルのプレイとの類比も興味深い。
1 曲目「Comeuppance」(3:48)
本アルバムを代表する、ノイジーかつ硬質なサウンドと徹底した変則リズム(冒頭のアンサンブルのリズムは本当に数えられない)でたたみかけるアグレッシヴな作品。
轟音の雪崩のようなオープニングから、生音ギターやエレピ、オルガン、マリンバらによるアンサンブルはメタリックでソリッドな感触を帯び、無調のソロは狂ったようにせせら笑う。
ドレイクのハイトーン・ヴォイスもノイズの嵐にきしんでおり、アンサンブルはもはや悲鳴である。
ベースも徹底して凶暴な轟音である。
コンピュータ処理による効果音もあるらしいが、よくわからない。
自転車のベルの音はよく分かるが。
2 曲目「Broadside Hits and Near Misses」(2:22)
ピッチを変えてゆくノイズ、厳かなキーボード伴奏による賛美歌調の歌。
「It's a great mistake !」の叫びをきっかけに、パーカッションによる無秩序な打撃とヴォーカルの交歓、そして轟々と唸りを上げ始めるオルガン。
ヴォーカルとオルガンの組み合せは、荘厳である。
3 曲目「The How-To's of Self Taught」(3:40)
頓狂なピアノのテーマと謎めいたオルガンによるアンサンブルは、不気味な正統 HENRY COW 調。
イコライジングされたヴォイスがアジテート。
ピアノとオルガンら、キーボードがフィーチュアされた内容だ。
幅広いスペクトルをもつキーボードが安定したステージを作り、ジングルのようなピアノが舞い踊る。
終盤はヴォーカルとスライド・ギターによる歪なフォーク風味もあり。
最後の音はガラス瓶を転がしている?
古典的なプログレをパンクやメタルを通過した感性で再現したような曲。
4 曲目「Bought the Farm」(4:19)
冒頭と終盤で高度な運動性を見せつけるスリリングな佳作。
中間部は、ギターとヴァイブによる緩やかながらも予断を許さないデュオ。
ささやき声は「一歩進んで二歩下がる」?
角張ったリフレインをメロトロン・ストリングスが貫き、フリー・ジャズ調のピアノが暴れる。
終盤も冒頭と同じパーカッシヴでスピーディなアンサンブルが爆発する。
クラシカルなエレピのソロが唐突に断ち切られる、置いてきぼりをくらったようなエンディングだ。
ドラマティックであり、プログレらしい作品といえるだろう。
5 曲目「Simply Agree」(1:38)
ぐしゃぐしゃな打撃音と毛羽立ったヴォーカル・ハーモニー以外は、断続音しかないミュージック・コンクレート風の作品。
無調の平板な旋律と騒音だけの救いのない世界である。
6 曲目「Goliath in the Sights」(4:18)
リズムを強調した狂暴な変則ハードロック。
メインのリフの部分は 4/4 拍子のようだが、小節ごとにアクセントが変化するため、リズムを取ろうとするとつまづいてしまう。
メイン・ヴォーカル・パートは再び無調の平板な旋律。
変態的なウネウネ・オルガン、ギターがそれぞれカッコいいソロを見せる。
後半のリフの部分は、7拍子、8拍子、6拍子が混在する。
本アルバムの中では分かりやすい部類に属する曲だろう。
7 曲目「December」(2:56)
普通の作品をノイズで覆い尽くしてしまったようなプロダクションの魔術。
頓狂なやりとりを経て後半は、さらに轟音ノイズが高まり、すべてが煮えたぎる。
壊れてしまったラジオをフルヴォリュームにしているような感じです。
8 曲目「Hunter-Gatherer」(3:30)
HENRY COW 風変拍子ブリット・ポップ。
無調ギター、ファズ・ベース、オルガンをフィーチュア。
珍しくノイズはなく、各パートの音の分離がいい。
おちつきどころを失ったアンサンブルに独特の浮遊感が生まれる。
「I hate therefore I am」哲学者ばりの救いのない歌詞が印象的。
9 曲目「What Price Virtue?」 (3:19)
レコメン風プログレの傑作。
ヴォーカルにアジられてキーボード、ベース中心のアンサンブルが疾走する。
メロトロンも聴こえるようだ。
突進力を感じさせるスピーディな作品だ。
絶叫するギターとともに EL&P ばりのオルガン・ソロもあり。
ギターの断片には KING CRIMSON もある。
プログレッシヴ・ロックのエッセンスが詰まっている。
10 曲目「Darkened Doors」(4:55)
凶暴で荒々しいチェンバー・ロックにカンタベリーの諧謔を持ち込んだ異色作。
HENRY COW そのもののようなピアノのリフレインが印象的なイントロダクション。
ストリングス系シンセサイザーによる空ろな調べとメランコリックな歌唱。
リズミカルなピアノが刻むクラシカルなテーマと静かなヴォーカルをかき消すように、後半はドラムスが割り込んで強引に引きずり回し、轟音渦巻く展開となる。
メロトロン・クワイアだろうか、厳かなコーラス、そしてオルガンは木管楽器にように響く。
ガラガラと崩れ落ちる音、ドラムス乱れ撃ち、騒音が狂乱するエンディングである。
激辛の HENRY COW。
11 曲目「The Encounter」(3:26)
グラマラスで挑戦的なガレージ変拍子ロック。
ストリート風の演奏をキレキレにこなす。
ギター、ドラムスがドライヴする直線的なパンクロックにキーボードが捻じれと歪みを刻んでゆく。
オルガンのプレイはここでもテクニカル。
しかし、主役は変態的なリズムを貫いて演奏全体を取り仕切るドラムス。
分かりやすい変態リズム。
12 曲目「The Wilful Suspension of Disbelief」(3:41)
ややテクノっぽいところを見せる。
ハモンド・オルガンが用いられているようだ。
中間部のスピーディな演奏がカッコいい。
かなりポップ。
13 曲目「Cirrus」(3:38)珍しくアコースティック・ギターから入りシンセサイザーは響いているが全体の音が薄い。
そしてハーモニウムをバックにイコライザを効かせたようなヴォーカルが入る。
今までに無い感じの曲。
リズムが入るが完全な変則でハモンドのリフとギターのメロディが繰り返される。
再びリズムが引くと、イントロ同様シンセサイザーの響きとアコースティック・ギターが美しいコンビネーションである。
ノイズとヴォーカル。
再び不規則なリズムが入ってギターまたはオルガンが響いて終わる。
強烈な変拍子ソング。ヴォーカル・パートがはっきりと聴こえる。
14 曲目「Weaponry」(1:11)いきなり激しくパンクっぽい演奏が爆発。
このリフとキラキラしたメロディ、軽快なリズムはなかなかポップである。
シンセサイザーの旋律も歯切れよい。
唸るベースもカッコよし。
完璧な1分間ハード・パンク。
15 曲目「Absolutely, Absolute」(3:48)は唸るベースとシンセサイザーのメロディがからみ合う珍しくリズムよりメロディが勝ったイントロ。
ギターに導かれてヴォーカルが入る。
ヴォーカル・メロディも明確である。
バッキングのアンサンブルもキャッチーである。
シンセサイザーのメロディも鮮やかである。
メロディラインがはっきりしているせいか、今までで一番キャッチーな作品。
演奏はハードだが明確であり、ほかの曲のような異常なまでのノイズや暴力的なサウンドはない。
16 曲目「Ringing in the New Ear」(0:42)
おそらくビリヤードをしている SE のみの曲。
一瞬で終わり。
このエンディングが何か意味を持つのか、材料不足で深読みはできない。
いわゆるプログレに加えて、メタルやパンク、ノイズまで幅広い要素をもつ現代的な Recommended Record 系ロック。
騒音的であり固い質感をもつ音にもかかわらず、きらめくような美しさ・透明感ももちあわせている。
暴力的なサウンドが光の粉をまきつつ襲いかかってくるのだ。
あたかも倒れた獲物の周りを舌なめずりしつつゆっくり歩く猛獣のような獰猛な感じもある。
過激にして謎めいた音楽だ。
全編ドラミングは積極的かつ攻撃的であり、その勢いのまま楽曲を叩き切ったかのように、短い曲でたたみかけてくる。
この作風も独特だ。
前半 9 曲目くらいまでは圧倒的なノイズやコンクレート・ミュージック的な音片に支配された作品が多く、10 曲目以降は耳が慣れたせいもあるのか、やや分かりやすい作品へと変化する。
お薦めは 1、10、11、14、15 だろうか。
通して聴くとかなり疲れるが、こういうスケールのミュージシャンがいる辺りが、さすがアメリカン・カルチャーの層の厚さである。
(ReR 5UU2)
Dave Kerman | guitars, keyboards, drums, percussion, occasional bass, vocals, tapes, noises, etcetc |
Deborah Perry | vocals(THINKING PLAGUE) |
Keith Macksoud | bass(PRESENT) |
Mark McCoin | exotic percussion, unconventional soloing |
Sanjay Kumar | additional keyboards(U TOTEM) |
Charles Turner | piano solos |
2000 年発表の第五作「Regarding Purgatories」。
ロバート・ドレークが脱退、遂にカーマンのソロ・プロジェクトと化し、カーマンのマルチプレイとゲストによる作品となる。
サウンドも前作のきらびやかなものから一気にスリム化し、凶暴にして怪奇な Recommended Record 調へと変化。
狂ったエンジンのように変則的なリズムで血煙をたてながら驀進する演奏である。
さらに THINKING PLAGUE の女性ヴォーカルをフィーチュアしているために THINKING PLAGUE から遥か ART BEARS にまでイメージが広がる。
もちろん轟音ベース、金属的なキーボードやギターの発する超ド級の攻撃性をアコースティックな透明感で包み込んだソリッドな音色など独自色もしっかり打ち出している。
苛むような尖鋭性のなかにヴォーカルやピアノから発せられる落ちつきもある。
そして、視界が揺らぐようなサウンド・コラージュやヴォーカル処理もみごと。
激しく苦悶するような暗い音楽なのは間違いないが、素っ頓狂な軽さはなく、演奏にはがっちりとした安定感と屹立するような決意がある。
過激に前進する運動性よりも安定点での腰をすえたパフォーマンスという印象である。
「Meteora」(7:31)尺八を思わせる管楽器(ただのビンかもしれない)がもつれあうイントロから一気に超ヘヴィなメタリック・サウンドへ。
ディストーション・ベース/ギター、追い立てるようなドラムスら、すべてが凶暴。
賛美歌を思わせるヴォーカルを大胆に変調しコラージュ。
ドラムスはストリート的なぞとは到底いえない殺気だったプレイ。
ベースは、ほとんど KING CRIMSON のジョン・ウェットンであり、ギターはフレッド・フリス。
アクセントのピアノ、パーカッションも鮮烈。
最後はほとんど声明である。
強圧的にしてドラマもある出色のオープニング・ナンバーだ。
「Pinwheel」(5:12)力強いドラムスの乱れ撃ちとサンジェイ・クーマン特有の金属的なキーボード、フリーなピアノが交錯するオープニング。
厳格にして重厚なピアノ演奏が追いかける。
メロトロンを思わせるイコライジングされたオルガンが滔々と流れる。
一転ピアノ伴奏によるけだるい女性ヴォイスのハーモニー。
THINKING PLAGUE 直系の展開である。
気まぐれなピアノに挑発されて始まるヘヴィな演奏。
ここでもクーマンのキーボードが自由に動き回りピアノ、ベース、ドラムスが変拍子をドライヴする。
なんと敏捷にして圧迫感のある演奏だろう。
最後は現代音楽を思わせる重苦しいピアノ・ソロ。
1 曲目に続き力強い主張とドラマを感じさせるヘヴィ・ロックの傑作。
「Below And Beyond」(5:14)チェロを思わせるキーボードのうねるような旋律がどこまでも続く。平板な表情の女性ヴォーカル。
「To Fall On Deaf Ears part one」(4:51)ギターを大きくフィーチュア。
イコライジングされた狂気のヴォイス。
迸るノイズと千鳥足のキーボード。
ブレス・コントロールによる奇妙なノイズが狂乱しドラムスは変拍子を乱れ打つ。
キーボード、ギターによるきわめてシリアスなアンサンブル。
終盤再びギターが金切り声を上げる。
過激です。
「Half-Akin To Gladstone」(1:44)ピアノ伴奏による歌もの。
ヴォーカルはデボラ・ペリーと思われる。
ジャジーなメロディは解決されずに宙ぶらりんのまま余韻となる。
「Drachma」(4:28)
「First Person Jocular」(4:36)
「String Of Hey-Days」(2:40)
「Day 29」(2:18)
「Gordion Knot」(4:44)
「Stand On Ceremony」(1:43)
「To Fall On Deaf Ears part two」(10:35)
(CUNEIFORM RECORDS RUNE 135)