イスラエルのプログレッシヴ・ロック・グループ「ATMOSPHERA」。 75 年結成。78 年解散。 録音を残すも未発表。
Efrayim Barak | vocals |
Moti Fonseka | guitar |
Alon Nadel | bass |
Yuval Rivlin | keyboards |
Ami Lipner(Me El-Ma) | drums |
Ovadiya Aharony | vocals on 3,4 |
Tsoof Philosof | bass on 3,4 |
2002 年発表のアルバム「ATMOSPHERA」。
70 年代録音マテリアルを集めた CD 二枚組発掘編集盤。
一部再録や後身グループの作品もあり。
内容は、ハイトーンのヴォーカリストとベースが中心で気負う鋭角的でトリッキーな器楽によるファンタジックで透明感あるシンフォニック・ロック。
間違いなく YES 系だが、細かくいえば、牧歌調でソフトなメロディ・ラインは DRUID、分かりやすい「宇宙っぽさ」は STARCASTLE に近い。
1、2 曲目に関していえば、技巧は十分、アンサンブルも安定していてアレンジも練れており、B 級感なし。
アメリカ辺りのフォロワーよりも出来はいい。
1、2 曲目と同レベルの完成度で 3、4 曲目を聴きたかった。
CD#2 のライヴ音源は音質がかなり悪い。
その一方で、後身グループの作品とドラマーの宅録作品はかなりの力作揃い。特に最後の 3 曲は、プログレから離れこそすれそのままアルバム・マテリアルになったと思う。
ドラマーを中心に、総じて、メンバーのミュージシャンとしてのポテンシャルはかなり高かったのではないだろうか。
ヴォーカルは英語。
「Lady Of Shalott」(16:24)リリカルできらびやか、清潔感もある王道プログレ。77 年録音。傑作です。
「Cuckoo (Love's Labour's Lost)」(16:48)サウンド面と演奏面の両方でトリッキーな冴えを見せる力作。聴かせどころではオーセンティックに迫る。この集中力はみごと。77 年録音。
「Tomorrow」(10:48)75 年録音。リハーサル・デモ音源。状態はブートの中の上。
「Love Is Waiting For A Lover」(7:58)75 年録音。リハーサル・デモ音源。状態はブートの中の上。めまぐるしい変化が演奏していて楽しそう。ブルース・ロック風の展開も。
「Cuckoo - alternate version」(16:25)2 曲目の 2002 年の再録、再ミックス・ヴァージョン。イントロにピアノ・ソロが入り、メロトロンが大幅に導入されている。
「Lady of Shalott (Videoclip) (1977)」(10:27)VCD トラック。
「Me El-Ma (Videoclip) 」(4:25)VCD トラック。
「MIO Catalog」VCD トラック。
「Announcement」(0:37)ライヴのアナウンス。何語でしょう。ヘブライ語?
「Tomorrow - Live at Belt Lessin」(11:00)76 年録音。ヴォーカルのみ 78 年録音。録音悪し。
GENESIS 的なオルガンやギターによる緊張感とリリシズム、そして高揚。曲そのものと演奏はかなりいい。
「Lady of Shalott - Live」(12:42)ラジオ・ショウ向けの録音。抜群に垢抜けている。名曲。
「Catharsis」(7:46)後身グループ ISTOPY 名義の作品。81 年録音。衝撃的でアヴァンギャルドな作品。ヴォーカルは怪しげなアングラ一人芝居調を熱演。81 年でこの内容ということは筋金入りです。フランスの BOOZ やカナダの BREGENT を連想。傑作。
「Nightmare」(6:32)84 年録音。インダストリアル調のカタストロフィックなシンセサイザー・ミュージック。前衛オペラ風のヴォーカルあり。ドラマーによる宅録。リード・ドラマーという点で共通するフランスの TIEMKO に近い感性。
「Toridtagitar」(5:23)84 年録音。ドラマーによる宅録。前曲と同趣向だが、やや ENO っぽくニューウェーヴなニュアンスのある作品。すばらしい同時代センス。
「The Children Dance」(8:59)87 年録音。ドラマーによる宅録。カンタベリーな女性ヴォイスとニューエイジ風の演奏から、一気に 4AD 的なゴシック、ハードエッジな世界へ。ドラムンベース的なループの処理もカッコいいです。
(MIO 020-021)