オランダのプログレッシヴ・ロック・グループ「BONFIRE」。74 年結成。 作品は一枚。 全曲を手懸けるフランク・ウィットがリーダー格か。
Frank Witte | Fender Rhodes, vibes, Steinway grand piano, recorders, vocals on 9,10 |
Kees Den Hoed | bass |
Eugene Den Hoed | guitar, flute |
Gees Meerman | drums, windchimes |
Harald Heynen | guitar on 9,10 |
Michel Van Schie | bass on 9,10 |
Jaap De Weyer | drums on 9,10 |
75 年発表の唯一作「Bonfire Goes Bananas」。
内容は、ギターとキーボードが前面に出る元気いっぱいのジャズロック。
ジャジーなフレーズを交えたシンフォニックでハードな曲調を中心に、フュージョン寄りからハードロック寄りまで実に幅広いスタイルの演奏を見せる。
この音は、SOLUTION や SUPERSISTER などオランダのグループに共通する、ジャズを素養にしたミュージシャンがアート・ロック的なアプローチを試みた結果と思われる。
FINCH の第三作をテクニカルに突き詰めてソフィスティケートしたような、深刻さのない明るい演奏と、ネジを巻くようにメカニカルでアグレッシヴな調子が特徴だ。
また、ユーモラスなメロディにはカンタベリー一派に通じるものもある。
ギターは、ナチュラル・ディストーションの音色を用いたハードロック調に、ジャジーなプレイを交えるスタイルである。
まさにヤン・アッカーマンを思わせるスタイルである。
特に、メロディアスなプレイには FOCUS を思わせる気品と泣きがある。
キーボードは、オルガン、エレピ、ピアノ、クラヴィネット、ストリングスがなど。
ソロよりも、歯切れのいいユニゾンやハーモニーを中心にするところもカンタベリー調である。
リコーダーの素朴な音も、みごとなアクセントになっている。
特筆すべきは、旧 B 面を占めると思われる 6 曲目の大作。
2 曲目はタイトル通りテンポの異なる 2 つのパートが交互に現われ、メロディアスなパートはやはり FOCUS を思わせる。
アッカーマン風のギターと美しいピアノによる WIGWAM と FOCUS の折衷のような 3 曲目は、小曲ながらロマンチックな佳曲。
4 曲目は中華風のひょうきんなテーマをジャジーにアレンジしたユーモラスな曲。
ユーモラスでテクニカルな曲と演奏スタイルは、メロディ・センスではやや引けを取るものの、SOLUTION や SUPERSISTER といった有名どころに迫る。
おそらくは、ダッチ・ロック隆盛期に、一線グループの影響を思い切り受けて登場した作品なのだろう。
「けっこうハードなイージー・リスニング」というのはいいすぎだろうか。
全曲インストゥルメンタル。
プロデュースはジョン・ダンドレラ。
キーボード以外のメンバーを一新した 80 年録音のボーナスの 2 曲ではリズムがシンプルな縦揺れに変化し、エレクトリック・ポップ色が現われる。
それでも、ギターとキーボードがリードするスリリングなインスト・パートは健在。
「Delirium」(3:14)リズムを強調した、やや攻撃的な作品。
「Contrast」(5:10)変拍子が特徴的なエネルギッシュな全体演奏にロマンティックでメローな響きも交えてメリハリをつけた佳品。
「Vuurstaal(Part II)」(3:10)クラシカルなピアノとギターによる、優美で暖かみのあるバラード。ひかえめなフルートの響きもいい。ギターのフレージングがヤン・アッカーマンによく似ている。
「Chinese In Europe(Part I)」(3:17)
「Circle」(6:29)勢いで弾き倒す怪作。
「The Sage Of The Running Nose」(18:50)カンタベリー的という意味では一番それらしい大作。
「Contrast」(3:38)シングル・ヴァージョン。
「Circle」(2:48)シングル・ヴァージョン。
「There's Always A Reason」(5:15)80 年収録の未発表曲。
「Ohne Wörte」(5:14)80 年収録の未発表曲。
(PSEUDONYM CDP-1016-DD)