アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「HOWEVER」。 77 年結成。 80 年代に二枚の作品を残す。 管楽器奏者、キーボーディストは、THE MUFFINS のトム・スコットと同じ前身グループ出身。 HAPPY THE MAN をシリアスにしたような技巧的インスト・ロック。
Bill Kotapish | electric & acoustic guitar, bass, backwards cymbals, voice |
Joe "Stellar" Prince | set drums, percussion |
Peter Mark Prince | lead voice, piano, synths, clavinet, fretless bass, bass, bass pedal, synth bass, kalimba, autoharp, manjeer bells, 12 string guitar, additional guitars, plucked violin, stick |
Bobby Read | lead voice, alto & soprano sax,voice, saxophones, synths, piano, percussion, clarinet, flute ocarina, guitar, glockenspiel |
guest: | |
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Don Berkemeyer | voice, flute, recorder, bassoon, WX11-wind synth, bass guitar, gong |
Tim Valdes | marimba on 5, xylophone on 11 | Gary McAleer | violin on 3,11 |
Harold Howland | vibe on 5,8 | Annie Gadbois | cello on 4 |
81 年発表のアルバム「Sudden Dusk」。
内容は、HAPPY THE MAN の叙情性をそのままに、THE MUFFINS のようなややシリアスな現代音楽調を見せる技巧派ロック。
凝ったインスト/アレンジに GENTLE GIANT やカンタベリーなど英国プログレの影響を見せるのだが、そこはアメリカのグループらしく、ヴォーカルやハーモニーの基調にスウィングするジャズがある。
そのジャズのセンスは、さすが本場だけあって「Kew. Rhone.」辺りには負けていない。
ところが、ジャジーなヴォーカル・ハーモニーによるテーマが他を引きずり回すうちに、リズムは変則的になり、子供じみたユーモアが生まれ、アンサンブルはこんがらがってくる。
切れ切れのフレーズがめまぐるしく積み重なるローラーコースターのような演奏に、突如モダン・クラシカルなピアノやドローンが重なり、再び MANHATHAN TRANSFER ばりのハーモニーが戻ってくる。
その上、シンセサイザーやサックスは、きわめてファンタジックな色あいの音でメロディを描いている。
ふくよかなソプラノ・サックスがささやくデリケートな歌は、最初期の RETURN TO FOREVER か、はたまたブラジリアン・ジャズか。
ユーモラスな人懐こさを基本に、とにかくさまざまに変化を繰り返してゆき、それでいて、しっとりとした感触を残してゆくなかなか珍しい音楽である。
全体として、デリケートなファンタジーとレコメン的な強圧さ、さらにはナチュラルなジャズ・テイストがまとまった秀作といえるでしょう。
1 曲目は、シリアス、リラックスと目まぐるしく雰囲気の変化するきわめて HAPPY THE MAN 的な作品。
キュウキュウいうキーボードや変拍子のリフはまさにそのまんま。
昔の TV のジングルのようなハーモニーもおもしろい。
2 曲目は、アコースティック・ギターとフルートなど、透明感あふれるサウンドによるアヴァンギャルドなチェンバー・ミュージック。
3 曲目は、ヴォイスをフィーチュアした変拍子アヴァン・ポップ。
KING CRIMSON 並みのヘヴィ・ギターとコロコロしたマリンバが特徴的。
ジョン・グリーヴスの作風に通じるところあり。
4 曲目は、メローにたゆとうソプラノ・サックス、ゆったりとさざめくアコースティック・ピアノによる HAPPY THE MAN の叙情的な作品を思わせるファンタジックな内容。
ときおり見せるシリアスかつ頓狂なところは、レコメン系に迫る。
5 曲目は、厳しく深刻な音ときわめて技巧的で目まぐるしい展開の向こうに、脱力系のユーモア・センスと優しげな表情が見える傑作。
混声のハーモニーが特徴的だ。
突如高まるシャープなギターとシンセサイザーによるサウンド・スケープがカッコいい。
6 曲目は、アタック音を抑えて、デンジャラスにして漂流するような心細さを演出するコンクレート・ミュージック風の佳作。
雅楽を思わせる管楽器、電子音がおもしろい。
7 曲目は、NATIONAL HEALTH からメローなフュージョン・タッチまでも見せるジャズロック。
9 曲目も、ニューエイジ調ながらも小刻みに変化してゆくジャズロック・インストゥルメンタル。
10 曲目は、ドラムレスで 4 曲目と同じ傾向ながらも密やかなブラジリアン・ジャズ・テイストを見せる異色作。
11 曲目は、CD 化に際してのボーナス・トラック。多声部ハーモニーはもろ GENTLE GIANT ながら、演奏は SOFT MACHINE、HENRY COW (タイトルとは裏腹に)調という力作である。
(KDCD 1011)
Bill Kotapish | guitars, bass, voice, percussion |
Joe "Stellar" Prince | drums, percussion |
Peter Mark Prince | lead voice, keyboards, bass, guitars |
Bobby Read | lead voice, sax, clarinet, flute, keyboards, percussion |
Terresa Gayle | vocals |
Brad Allen | trumpt, drums, synthesizer |
Don "Whitz" Berkemeyer | flute |
84 年発表のアルバム「Calling」。
オリジナル LP 収録曲と 88 年までに録音されたCD 化に際しての追加トラックから構成され、曲順も LP からは大きく変更されている。
(歌ものが主の LP 収録曲各々を効果音やインスト曲で取り囲んでいる感じだ)
オリジナル LP 収録曲は、カンタベリー風のジャズロック。
ヴォーカルを中心に、キャッチーなようでいて微妙なひねりと凝ったしかけがあり、アンサンブルの生み出す音が幾何学模様を連想させるところがきわめてカンタベリー的だ。
HATFIELDS のシニカルなユーモアを若干抑えたような作風から、GENTLE GIANT を思わせる教会旋法ロック、HENRY COW や KING CRIMSON のような緻密でヘヴィな作品もあり、その多彩さと完成度から知られざるアメリカン・カンタベリーの逸品といえるだろう。
特に歌ものに顕著だが、音数を抑制したところから豊かなイマジネーションやエモーションが湧き出てくるところなど、近年のアメリカン・カンタベリーの一派、HUGHSCORE に通じる作風である。
インストゥルメンタルにもプログレらしいピリッとした緊張感がある。
THE MUFFINS との交流という話に納得できる内容である。
最終曲の SE は日本の祭り囃子。
ここのジャケットは再発 CD のもの。
「Orion」(3:38)
「Sigh」(2:11)LP 収録曲。
「Into The Dance (Favour Me Oblivion)」(4:51)LP 収録曲。改題。キット・ワトキンスが客演。
「How You Doin' ?」(3:50)
「463-646-3463」(0:19)
「What Goes Around ...」(1:03)
「On The Face Of The World」(6:56)LP 収録曲。
「Earthtime」(3:44)
「Stop Sign」(2:12)LP 収録曲。
「Intermission」(0:18)
「Bell Toll」(1:50)
「Calling!」(2:48)LP 収録曲。
「Airplay」(3:14)LP 収録曲。
「Little Ricky (The Next Generation)」(5:48)LP 収録曲。ギターがカッコいいハード・チューン。
「Heroes Return」(4:06)LP 収録曲。
「Scylla And Charybdis」(4:37)
「Wild」(8:35)LP 収録曲。アメリカン・カンタベリーの大傑作。軽妙にして優美、そして深い。
「The World War」(0:31)LP 収録曲。
「What Goes Around Comes Around」(2:18)
「Chips」(2:33)LP 収録曲。
「"Mitterly Bitten"」
(KDCD 1013)