イスラエルのプログレッシヴ・ロック・グループ「ZINGALE」。 74 年結成。80 年解散。唯一作はジャジーで技巧的な佳作。最近復活したらしいです。
David Hofesh | vocals, harmonica |
Yonatan (Johnny) Stern | vocals, 12-string |
Efraim Barak | guitar |
Ehud (Udi) Tamir | bass |
Ady Weiss | Fender Rhodes, keyboards |
Tony Brower | violin, mandolin |
David Shanan | drums |
David (Doody) Rosenthal | sound, effects & percussion |
77 年発表のアルバム「Peace」。
75 年海外発表を目指して録音するも、諸般の事情で 77 年に国内発表される。
内容は、ヴァイオリン、エレクトリック・ピアノのジャジーなプレイとソフトなハイトーン・ハーモニーが特徴のキャッチーなシンフォニック・ロック。
フュージョン、ジャジーなポップスなど肌触りのいい 70 年代後半らしいサウンドを使った作品である。
ただし、ソフトな音を使いながらも尖ったフレーズを折り重ねたまま傾いだリズムとともに急旋回する器楽の展開が多い。
やや無理矢理気味の演奏ではあるが、そういうところも「70 年代プログレ」らしさである。
一方、叙情的で落ちついたところではノーブルなヴォーカルと繊細なハーモニーでメロディアスに迫り、いざそうなれば、リズミカルになっても力みすぎることなく CARAVAN のような王道風のジャジーなポップス路線を歩めるのだ。
それでも、総合的してみると、歌よりもいっぱいいっぱいのテクニカルな器楽が主である。
一番似ているのは CARAVAN だと思うが、突っ走る器楽という点ではベルギーの MACHIAVEL やアルゼンチンの ESPIRITU、また DRUID のような 70 年代中盤以降の YES フォロワーにも通じるところがある。
B 級 YES フォロワーのような線が細くやたらと鋭角的な演奏をグレードアップしているのは、(ドリーミーな歌唱を除けば)ヴァイオリンとエレクトリック・ピアノの存在だろう。
ヴァイオリンは、ヒステリックになる一歩手前のレガートな調子でアンサンブルをなめらかにし、エレクトリック・ピアノはバッキングにもソロにも積極的に前面に出て演奏にジャジーで洒脱な表情をつけている。
ヴァイオリンは、レガートに歌うプレイのみならず、場面によっては切り込むように奔放なプレイも放ち、電気処理したサウンドも多用している。
なににせよ、役者として芸風は幅広い。(牧歌調の場面、クラシカルな場面でのロマンティックな演出はいうまでもない)
リズム・セクションは技巧的というか、やたらとうるさく音を出してくる。
YES 以来の伝統らしくベースが硬く、強めな音で目立ちまくるのはお約束として(もっとも TPO は分かっているらしく、曲によっては普通にジャズっぽいベースも弾けている)、ドラマーはジャズ畑だと思われ、軽めの音ながらやたらと手数が多い。
一方、ギターはオーソドックスなプレイが主。
派手なところはヴァイオリンに譲っている感じである。
テクニカルな「攻め」からアコースティックな「癒し」まで幅広いセンスのある、ファンタジックでスペイシーなシンフォニック・ロックの佳作。
CD にはボーナス・トラック 6 曲つき。独特の猛々しさのあるロックンロールがおもしろい。
下のように CD とオリジナル LP では曲順が異なる。
CD クレジット
「Heroica」(4:21)
「Help This Lovely World」(3:49)
「Carnival」(5:58)
「Love Song」(6:12)
「7 Flowers Street」(2:53)
「One Minute Prayer」(0:45)
「Lonely Violin Crying For Peace」(3:11)
「Stampede」(5:33)
「Soon The War Is Over」(7:53)
以下ボーナス・トラック。ヘブライ語での歌唱あり。
「Why Didn't I Win The Lottery」(4:26)
「Everything Will Be OK」(3:19)
「Genesis」(4:36)
「Good To Be Together」(4:37)
「Party Inside」(2:54)
「Green Scooter On The Way To Asia」(6:20)
LP クレジット
A side
「Love Song」(5:52)
「Carnival」(5:23)
「Help This Lovely World」(3:44)
「Heroica」(4:13)
B side
「Lonely Violin Crying For Peace」(3:06)
「Stampede」(5:31)
「Soon The War Is Over」(7:46)
「7 Flowers Street」(2:51)
「One Minute Prayer」(0:45)
(KRYPTON DD-35095 / ES 050)