アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「AURORA」。76 年結成。 99 年の発掘盤で知られる。 ヴァイオリンを使ったジャンリュック・ポンティ影響下のスペイシーなジャズロック。 ヴァイオリン奏者、ドラマーは再編 HANDS に参加。
Skip Sorelle | guitar |
Roy Vogt | bass |
Martin McCal | drums |
John Sharp | keyboards |
Mark Menikos | violin |
99 年発表の発掘アルバム「Aurora」。
SHROOM プロダクションによる 77 年録音の発掘盤。
内容は、けたたましいヴァイオリンが主役の技巧派ジャズロック。
フロントを務めるヴァイオリン、ヤン・ハマー似のシンセサイザー捌きを見せるキーボーディスト、スラップやトレモロで目立ちたがるベーシスト、手数足数の多い「うるさ型」ドラミングらで構成されるアンサンブルで、エネルギッシュにぐいぐいと迫るスタイルである。
息せき切るように性急でテクニカルなプレイでたたみかけてくる、その過剰さがいかにもアメリカ人らしい。
各パートがスリリングに追いかけあうかと思えばヴァイオリン主導の超速ユニゾンを決めるところなどは、MAHAVISHNU ORCHESTRA 直系だ。
(ラテン風味が加わると中期 RETURN TO FOREVER そのものな感じも出ている)
一方、メロディアスでゆったりとした展開にあえて変拍子を決めてくるなど、その審美センスは CAMEL や後期の SOFT MACHINE、ニール・アードレイの諸作にも通じるなかなかのものだ。(70 年代中盤 VIRGIN 主導のニューエイジ・ミュージックが巷にあふれた時期だ)
ギタリストだけはマクラフリンほどぶっ飛んではおらず(というかマクラフリンが変なギタリスト過ぎるのである)、フレーズもナチュラルな調子でメロディアスに決めてくる。
ジャズからロックへの無茶なアプローチという点では、むしろラリー・コリエルっぽいかもしれない。
また、意図的なマハヴィシュヌ・モードから抜け出たときに見せる、穏やかで暖かみのあるシンフォニックなアンサンブルはじつにいい感じだ。
HAPPY THE MAN と同質のファンタジーを感じさせるところもある。
しかしながら、あくまで基本姿勢は、ヴァイオリンの光沢ある音と挑戦的なフレージングを活かして、切れ味も圧迫感も三倍増しで押し捲る演奏にあるようだ。
全体に、良質のエピゴーネンでもいい、という開き直りがあるせいなのか、パフォーマンスの突き抜け感がなかなかいい。
緻密な上に忙しいという、どうにも切迫した感じが無理なく楽しめるファンにはお薦め。
ドラムスの音が録り切れていないところが残念。
4 曲目以降はライヴ録音だそうだ。
全曲インストゥルメンタル。
プロデュースはグループ。
収録時間は 70 分あまり。
ふくよかで叙情的な展開がいいので、特に ARTI+MESTIERI のファンにはお薦め。
「Opus 8」(11:53)
「Within」(5:56)
「Dancing On A Plain In Spain」(8:14)
「Is There Any More?」(4:27)
「Off-Blue」(4:54)
「Eurhythmia」(5:02)
「Savage Lust」(6:55)
「Polyfolk Dance」(5:05)ジャン・リュック・ポンティのカヴァー。
「Khartouhm」(9:58)
「Jubilee」(10:40)
(SP-99007)