イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「PALLAS」 。77 年結成。作品は七枚。ネオ・プログレッシヴ・ロックの草分けグループの一つ。 珍しく GENESIS 系ではなく、ハードロックの系譜にある作風である。
Ronnie Brown | keyboards |
Niall Mathewson | guitars |
Graeme Murray | bass, bass pedals |
Colin Fraser | drums |
Paul Mackie | vocals |
2014 年発表のアルバム「wearewhoweare」。
新ヴォーカリストを迎えてからの二作目。
内容は、ダイナミックでドラマティックなプログレッシヴ・ハードロック。
冷たくデジタリーなインダストリアル・サウンドながら、険しく決然とした表情に人間らしい感傷も入り交じる男臭さにあふれる世界である。
NWOBHM や RUSH などアメリカのプログレ・ハード系を横目で見ながら YES や PINK FLOYD への強い憧れも持ち続けた、細々ながらも堅調なるブリティッシュ・ロックの潮流の一つである。
かつては、ネオ・プログレとして異色の存在だったが、近年の PENDORAGON などはこちら側に寄ってきている気がする。
ニッチといってしまうと陳腐だが、そういう「狭間」な場所で個性を発揮し続けてきたといえるだろう。
がっちりと骨太なのにしなやかにしなり、細やかで多彩、そしてオオゲサで極端であることが必ずしも劇的効果としてのコントラストを生まぬことも知悉している。
奇を衒う寸前で自然な展開へ流れ込む呼吸も抜群。
とにかくバランス感覚に優れた演奏であり、楽曲展開である。
個人的には、独特の「潔さ」を感じる音である。
バランスのいい安定感ある演奏で特に要になっているのが薄暗くも悠然としたストリングス系キーボード。
また、ポール・マッキーの歌唱スタイルはかなり昔の HM/HR 風ではあるが、IQ 的な重厚でシンフォニックな演奏との取り合わせは悪くない。
ステレオタイプなプログレ・メタル然としていないだけでも好印象だ。
製作資金は、indiegogo.com を通したクラウド・ファンディングによるとある。コントリビュータには、プラチナ、ゴールドとランクがあるらしく、それぞれに謝辞がある。
「Shadow Of The Sun」(07:39)IQ に迫る雄渾でシンフォニックなデジタル・ハードロック。80 年代の勲しに年輪を加えて到達した境地である。
ストリングス系の音がいい。
「New Life」(04:51)ほの暗く冷たくメロディアスなバラード。伴奏ではピアノ、ソロでギターをフィーチュア。
「Harvest Moon」(07:19)怪しく劇的なプログレ力作。
序章こそ教会風の厳かで清らかな音を散りばめているが、次第に破戒気味となり、ネオ・プログレらしい偏執的なムードが高まってゆく。ヴォーカリストも演劇的な表現を駆使する。
「And I Wonder Why」(07:04)ウェットながらもハードロックのストレートな強さとしなやかさが現れた英国ロックらしい佳品。こういう少女マンガっぽさも大切。
「Dominion」(09:09)ブラスっぽいシンセサイザーやとぐろを巻くように粘着質で潔さのまったくない感じが怪しい交響楽に聴こえる。
ひさびさに病んだ英国情趣を確認。
しかし力作。
「Wake Up Call」(06:33)ダイナミクス大きく迫るハードロック。硬質なベースや暗くスペイシーなシンセサイザー・サウンドが主役である。ギターは後半過ぎてからのソロで存在感をアピール。
「In Cold Blood 」(3:52)バラード。独唱。雨に滲む深夜の街灯のようなエレクトリック・ピアノ。ガラス越しの潮騒のようなストリングス。
「Winter Is Coming」(7:59)インダストリアルなデジタル・ハードロック。
長い間奏部のヒネリの効いた展開が非常にカッコいい。
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Euan Lowson | lead vocals, backing vocals |
Graeme Murray | vocals, bass, Moog Taurus bass pedals, 12 string guitar, backing vocals |
Ronnie Brown | keyboards, backing vocals |
Niall Mathewson | guitars, guitar synthesizer, backing vocals |
Derek Forman | drums, backing vocals |
84 年発表のアルバム「The Sentinel」。
内容は、ハードできらびやか、感傷的な、いかにも英国らしいシンフォニック・ロック。
YES をぐっとハードロック寄りにして、80 年代産業ロック風味を加えたイメージである。
(同時期の本家 YES の音がここの音よりはるかにポップで明るいところがおもしろい)
また、1990 年代以降米国からプログレ・メタルが勃興、隆盛するが、本作品の作風は、その出現前に生み出された孤高のメタリック・プログレということもできそうだ。
センチメンタルな自己陶酔型のメロディやパワーコードは HR/HM 産であり、きらびやかにして退廃ムード漂うサウンドは、ニューウェーヴ、ニューロマンティック路線だが、絢爛大仰にしてリリカルなキーボード(この時期にしては珍しく、パーカッション系デジタル・シンセサイザーよりも、金管系の美しいアナログ・シンセサイザー、ストリングス系のサウンドが多用されている)、ヴォリューム奏法と朴訥なアルペジオが得意なギター、ぶんぶん唸るベースラインで取り囲むような演奏は、消そうにも消せない烙印だらけの 70 年代プログレッシヴ・ロックのものである。
派手なドラム・サウンドはこの時代ならでは。
ほぼ死滅状態だった「手数を惜しまないプレイ」を放つところが 70 年代ロックの矜持である。(この時期、こういうドラミング含め 70 年代ロックの伝統が残っていたのがハードロックを継承した HM/HR のワールドだったために、このグループのサウンドがそちら寄りに聴こえてしまったという事情もありそうだ)
軽薄短小気持ち良ければすべて良し時代の BGM となったパンク、ニューウェーヴ、産業ロックの流れに色目を使いつつも、初心を思い返してヤケクソ気味にうち立てた反旗は暗黒時代に見事に翻り、後の時代への礎となった。
アルバムの中核を成すのは、後半を占める長大な叙事詩「Atlantis Suite」。
YES の大作やアメリカの YES 系プログレ・バンド(STARCASTLE 辺りか)の作品を連想させる、英国クラシックの香り豊かな力作であり、率直で力強いメロディ・ラインをさまざまなプログレ・クリシェで彩った豊麗なアンサンブルをダイナミックにドライヴし、劇的に、ポジティヴに飛翔する。
ヴォーカルは祈りと化し、ギターの調べはコラールと化し、キーボードの響きは天界の進軍ラッパと化す。
ダウランド、パーセル、ヘンデル、ブリテン、レノン/マッカートニーの衣鉢はここでも引き継がれている。
終曲の彼岸的盛り上がりは、ジョン・アンダーソンが SEBASTIAN HARDIE に参加した如きである。
また、この大曲だけでなく、前半を固めるキャッチーなナンバーにもどこかトリッキーで尖がったところがあり、プログレ・バンドらしさがよく出ている。
ヴォーカリストの歌唱スタイルが 80 年代調であることに抵抗がなければ、オールド・ファンにもイけると思います。
プロデュースはエディ・オーフォード。
84 年のオリジナル LP では、目玉である「Atlantis Suite」が短縮、分断されていたが、2000 年発表の INSIDE OUT 盤では盤構成がメンバーが当初望んだ形に戻されている。
「Shock Treatment」(4:29)
「Cut And Run」(4:59)
「Arrive Alive」(4:05)
「Rise And Fall (Part 1)」(6:05)
「Eastwest」(4:58)
「March On Atlantis」(5:23)
「Rise And Fall (Part 2)」(4:08)
「Heart Attack」(7:59)
「Atlantis」(7:59)
「Ark Of Infinity」(7:05)
(Harvest SHSP 2400121 / IOMCD 058)
Alan Reed | vocals, guitars |
Graeme Murray | bass, Taurus bass pedals |
Niall Mathewson | guitars |
Ronnie Brown | keyboards |
Colin Fraser | drums |
99 年発表のアルバム「Beat The Drum」。
再結成第一作。
内容は、70/80 年代ハードロックを継承したメロディックなブリティッシュ・ロック。
シンフォニックなテイストが強くないのでごく普通っぽく聴こえるかもしれないが、根底にはスタイルをぶっ飛ばすだけの男らしい「潔さ」がある。
そして、センチメンタリズム、ペシミズム、頑固さ、一本気といった英国気質がみなぎっている。
それが特徴だ。
とにかく、ドラマを衒いなく真っ直ぐに描いている。
過剰に演出を効かせるのではなく、メッセージを歌詞にのせてパワフルな「ビート」で送り込む。
頼るのは自分の音だけ。
そして、決して泣きすぎない。
感傷的にならないぎりぎりの一線で思い切り踏ん張っている。
だから、バラードににじみ出てくる情感に品格と誇り、重厚さがある。
徹底してロックなマインドという点では、MARILLION よりもこちらが好み。
地味といえば地味だし、多少よれるところもあるが、不器用な真っ直ぐさというのは大いなる魅力である。
楽曲のタイトルにも英国的な質実剛健さがにじみ出ている。(歌詞もなかなかジャーナリスティックな内容らしい)
もちろん単調な内容では決してなく、骨太な男っぽさを軸にして、さまざまな変化をつけている。
ミリオン・ヒットを飛ばす一線級(そんなバンドが現代にもあるのだろうか)ではないが、「偉大なる中堅ロック・バンド」の系譜にしっかりと足場を持っていると思う。
個人的にふだんはほとんど耳にしないエリアの作風ではあるが、丹念に作りこまれた筋の通った作品として好感が持てる。
自らの美意識に確固とした自信のある、真正面で一途なロックです。
浪花節、判官贔屓の日本人に「向き」の音だとも思う。
「Call To Arms」ASIA をやや重くしたようなアリーナ系ハードロック。タイトルは「徴兵」の意。
「Beat The Drum」英国クラシックの気品を漂わせるハードロックの佳作。
「Hide & Seek」
「Insomniac」ネオ・プログレらしい演出の効いた作品。本アルバムにおいては目立つ。ベース・ラインの元気さもこのグループの特徴の一つ。
「All Or Nothing」80 年代風のパーカッション・シンセのリフレインが特徴的なニューウェーヴ寄りの作品。
「Spirits」国歌調の感動作。バグパイプの音も聴こえる。
「Man Of Principle」快速、軽快な FOREIGNER 風産業ロック。異色。後半ギターが泣きじゃくる。
「Ghosts」オーソドキシーを極める英国ハードロック。ここまであまり言及していないが、シンセサイザーのプレイは音こそ薄味ながら魅力的。
「Blood & Rose」ピアノが紡ぐバラード。
「Wilderness Years」
「Fragments Of The Sun」仄かに異教的なムードも漂わせる重厚な終曲。ギターがむせび泣く。
(IOMACD 4038)
Alan Reed | vocals, acoustic guitar |
Graeme Murray | vocals, bass, Moog Taurus bass pedals |
Niall Mathewson | guitars, acoustic guitar, nylon guitar, tambourine |
Ronnie Brown | keyboards |
Colin Fraser | drums |
2001 年発表のアルバム「The Cross And The Crucible」。
実質再結成後の第二作。
内容は、憂鬱で重厚、しかして誠実なる王道シンフォニック・ロック。
荘重なるキーボード・サウンドの城壁に護られ、重く鋭いリズムとしなやかなギターが雄たけびを上げる、勇壮にして人生の悲哀に満ち満ちた物語である。
シンフォニックなプログレ色は、復活作「Beat The Drum」をはるかに上回っている。
アトモスフェリックで厳かなサウンドをロック・ギターが貫くリアルなタッチの作風は、東欧の雄、SOLARIS の近作とも共通しないだろうか。
ドラムスによる大きなノリも非常にカッコいい。
英国ロックらしさを象徴する陰鬱さは濃密な霧のようにアルバム全体をおおっており、一部 PINK FLOYD を思わせるところもある。
キーボードによるサウンド・スケープはその陰鬱さを微妙な陰影と色彩で変化させ、楽曲の味わいを深めている。
やや声量に乏しいヴォーカリストによる突き抜け切らない歌唱表現もかえっていい感じになっている。
プロデュースは、ニール・マシューソンとグレアム・マーレイ。
「The Big Bang」(3:20)
「The Cross And The Crucible」(9:06)
「For The Greater Glory」(7:36)
「Who's To Blame」(4:45)
「The Blinding Darkness Of Science」(6:43)
「Towers Of Babble」(8:11)クラシカルなタッチも交え、ややエキセントリックな表情を見せながら変転する傑作。
「Generations」(5:21)スライド・ギターの調べにグッとくる。
「Midas Touch」(11:14)力の入った歌唱と中近東風のエキゾティックなタッチ、そして堰を切ったように噴き出すインストゥルメンタルが胸を打つ幻想大作。終盤、ENID に匹敵する一大シンフォニック・メロドラマと化す。
この作品には、MARILLION や IQ と同じく YES、GENESIS に憧れ、プログレ復権に賭けた男たちの並々ならぬ決意が見える。
「Celebration!」(7:22)人類の営みについて慈愛に満ちたポジティヴなメッセージを送る感動作。いい余韻が残ります。
(IOMACD 2024)
Alan Reed | vocals, hustings |
Graeme Murray | bass, bass pedals |
Niall Mathewson | guitars, acoustic guitar |
Ronnie Brown | keyboards |
Colin Fraser | drums |
2005 年発表のアルバム「The Dreams Of Men」。
内容は、前作を上回る重厚さを誇るシンフォニック・ハードロック。
ハードロック・マインドからは図らずもナンセンスやシニカルなユーモアが生まれることが多いが、この作品では、ひたすらな真剣さが生まれ出ていて、重厚なコンセプトを支えている。(真剣極まるナンセンスという荒業もあるが、それはごく特殊な例である。脱線)
弦楽奏や教会オルガンの音もシリアスなイメージの演出に大いに貢献しているが、それ以上に、この厳格でマッチョなイメージを支えているのは、へヴィなロック・サウンド(ギター・サウンドといってもいい)そのものである。
ギターとベースによって重々しくグラインドする演奏がじつにカッコいい。
ただし、いわゆる HR/HM 的な単純な音になっているわけではないし、スタイルに依拠してもいない。
その出自たるスコットランドの土に根づく調べのみを縁に、ストイックな男の魂の叫びを音にしたような、ひたすら真剣で真っ直ぐな音である。
揚げ足取りや屁理屈の言い訳が通用しない、真面目さとひたむきさに重きをおく世界である。
現実的という名の安易な邪想がはびこる世の中に「何かが違う」と感じたら、一時でもこういう世界に身を置いてみるのが一つの処世だと思う。
ピアノの爪弾きに振り絞るような歌が重なる瞬間には、センチメンタリズムを越えたものがあるように感じる。
「プログレメタル」を自然な音として受けとめている世代にもお薦めできる作品。
70 分を越える濃密なリスニング体験になるので、体調を整えておこう。
ところで、このバンドのギタリストはアンディ・ラティマーのファンでは?
また、アラン・リードのヴォーカルをあまり際立たせないミックスには何かポリシーがあるのでしょうか?
「The Bringer Of Dreams」
「Warriors」
「Ghostdancers」 名曲。
「Too Close To The Sun」
「Messiah」 HM/HR ではない重金属サウンドが特徴的。意外性あるアレンジも冴えた佳作。
「Northern Star」 ヘヴンリーなインストゥルメンタル。
「Mr.Wolfe」 凶暴さがカッコいい佳作。
「Invincible」
「The Last Angel」
(SPV 48550 DCD)
Paul Mackie | vocals |
Graeme Murray | bass, bass pedals |
Niall Mathewson | guitars, acoustic guitar |
Ronnie Brown | keyboards |
Colin Fraser | drums |
2011 年発表のアルバム「XXV」。
内容は、ハード・ドライヴィンでダイナミックなシンフォニック・ハードロック。
25 年を経た代表作「The Sentinel」の続編らしい。
MARILLION のような大風呂敷の仰々しさや PENDRAGON のような甘みはなく、魂の荒ぶりに身を任せた伝統的なハードロック路線であり、直線的なイメージの演奏ながらも、次第にベース主導のしなやかさが沁みてくる作風である。
(2 曲目のどこかでギターの音が、7 曲目冒頭のドラムスとヴォーカルが、LED ZEPPELIN に聴こえた。間違いなく幻聴である)
年経るに連れ分かったことは多いかも知れないが、だからといってバラードに落ちつくのはまだまだ早い、走れる限りは暴走してやろう、そんな気概が感じられる。
また、ギターやドラムスなど、アタックの強い、重く芯のあるサウンド/演奏だが、いわゆる HM/HR の曲芸的にデフォルメされたスタイルとは異なる。
メロディアスでシンフォニックなハードロックに PINK FLOYD、PORCUPINE TREE 影響下のドイツ、ポーランド系に顕著な現代の苦悩を象徴する陰鬱さ、薄暗でもがくような深刻さを加味した感じといえばいいだろうか。
元来病んだ音は英国の専売特許だが、逆輸入することで再認識し、それと直情的で肉体的なハードロックが組み合わさって新しい味わいの音になったのかもしれない。
へヴィ・メタリックながらも、弾力のある、跳ねるようなグルーヴがいい。
そして、ギターとシンセサイザーのコンビネーション、呼吸のよさは IQ と同レベルの水準である。
ストリングスを生かした THE ENID ばりの重厚で厳かな表現や、感傷には堕ちない憂愁の表現もみごとである。
リード・ヴォーカリストがアラン・リードからポール・マッキーに交代するも、ハードでヘヴィなサウンドとの相性はよく、シャウトも似合う。
ウェットでエモーショナルな英国メロディアス・ハードロックの傑作。
PENDRAGON が一時こういったハードな作風に寄せていたこともあった。
ボーナス DVD 付の盤もあり。
「Falling Down」(7:29)翳りを抱きつつもキャッチーなハード・チューン。どこかの国のバンドだとこういう芸風は必ず馬鹿っぽく(プロレスっぽく)なるが、英国伝統の魔術がそれを阻む。
「Crash And Burn」(5:28)序盤、わりとヤンチャなハードロックに重量感あるピアノと荘厳なシンセサイザーをぶち当てるミスマッチが冴える。そこからは一気の出足。
「Something In The Deep」(6:50)スペイシーで薄暗く厳粛なるバラード。重厚な管弦楽がフィーチュアされる。
「Monster」(6:21)ホラー噺を語らせるミドル・テンポのハードロック。「Tales From The Crypt」を連想させる 80 年代っぽいタッチ。
ギターの泣きは MARILLION 風、というかネオ・プログレ王道。
「The Alien Messiah」(6:50)THE WHO か? モノローグなど大仰なドラマ仕立てで迫る。
「XXV Part 1: Twentyfive Good Honest Men」(6:28)風格漂う重量級シンフォニック・チューン。フランスの NEMO と共通する雄々しく気高いマインド。
「Young God」(5:18)前曲の存在感に気圧されたか、メタリックなギターと暗めのアトモスフィアがいま一つ活かせていない。
それとも、「Dazed And Cofused」と同種の落ちつきどころのなさの醸し出す空気を目指したか。
ただし、この不安定な感じはプログレ直伝ではある。
「Sacrifice」(4:22)エネルギッシュなリフで迫るキャッチーなハードロック。NEW TROLLS か。ギター・ソロがキュート。若さ溌剌。
「Blackwood」(2:02)ADIEMUS 的なインテルメッツオ。女声のスキャット。次曲の前奏か。
「Violet Sky」(5:07)MAGENTA と同系統のバラード。U2 に寄せたヴォーカル。
「XXV Part 2: The Unmakers Awake」(6:00)終曲に相応しいどこまでも高く飛翔するようなシンフォニック・ロック。管楽器の多い管弦楽のようなイメージです。ストレートな名曲。
(MIR 7337 2)